首位・阪神と0ゲーム差の2位

橋上監督代行の手腕もあって、シーズン最終盤まで優勝争いを続けている巨人
シーズン最終盤になり、セ・リーグの首位争いが熾烈だ。巨人が9月19日の
中日戦(東京ドーム)で今季最多の14得点を挙げて大勝。
広島に敗れた首位・
阪神とのゲーム差が0になった。9月3日には5ゲーム差離れていたが、半月で一気に縮めた。20日は巨人、阪神がともに勝利し、ゲーム差は0のままだ。
阪神との直接対決では8勝16敗と大きく負け越している。8月11日から本拠地・東京ドームで同一カード3連敗を喫すると、同月28日からの敵地・甲子園で再び3連敗。何度も突き放されたが、気持ちを切らさずに追いかけてきた。
戦力を見ると、阪神の方が上であることは否めない。投手陣は
村上頌樹、
高橋遥人、
才木浩人とエース級の3人が計33勝をマーク。一方で、巨人はエースの
山崎伊織が右肩のコンディション不良で5試合登板にとどまり、1勝のみ。
戸郷翔征も12試合登板で4勝と白星が伸びていない。ドラフト1位左腕の
竹丸和幸、左肘痛のリハビリで春季キャンプは三軍スタートだった
井上温大が10勝をマークしているが、規定投球回に到達している投手がいない。救援陣も「勝利の方程式」に不可欠なセットアッパーの
大勢が7月上旬から2カ月以上戦列を離れている。
勝つ確率が高い戦略を常に選択
盤石とは言えない状態だが、
橋上秀樹監督代行の手腕が光る。先発から救援に配置転換した
森田駿哉が20試合連続無失点を記録するなど、新たな役割で力を発揮。一軍昇格した5月はビハインドの場面で登板機会が多かった
堀田賢慎も好投を積み重ね、36試合登板で防御率0.73と抜群の安定感でチームに貢献している。
打線も阪神は
森下翔太、
佐藤輝明、
大山悠輔の強力クリーンアップが固まっているのに対し、巨人は
トレイ・キャベッジが打撃の好調を持続できず3度のファーム降格を味わうなど、中軸を固定できない。リーグトップの36盗塁をマークするなどプロ2年目でブレークした若手成長株の
浦田俊輔も9月14日の
DeNA戦(横浜)で負傷し、「右肘靱帯損傷」で離脱する事態になった。
だが、ベテランの
坂本勇人や
丸佳浩をポイントゲッターとして起用する策が的中して打線の破壊力が落ちていない。他球団の首脳陣は「橋上監督代行は奇をてらっている采配をするわけではないが、選手が能力を発揮できる環境を整え、勝つ確率が高い戦略を常に選択しているイメージがあります。見習う点が多いですね」と語る。
監督代行からリーグ3連覇

監督代行から監督となり、オリックスをリーグ3連覇に導いた中嶋監督
監督代行から名将に成り上がった指揮官として浮かぶのが、オリックス元監督の
中嶋聡氏だ。2020年8月に当時の
西村徳文監督が最下位低迷の責任を取り、シーズン途中で辞任したのを受けて監督代行に就任。
紅林弘太郎、
杉本裕太郎、
中川圭太、
宗佑磨など生え抜きの選手たちが一本立ちし、翌21年からリーグ3連覇を達成した。巧みな用兵術と采配が「ナカジマジック」、「中嶋イリュージョン」と形容されて話題になった。
野球評論家の
堀内恒夫氏は、「忘れてはいけないのは中嶋監督の存在だ。彼は目立たないところが良いね。それが現代の名将の絶対条件だよ。どこかの監督みたいに、必要以上に目立つパフォーマンスを披露しない。だから、選手の力を引き出すことができるんだね。『心はもと活(い)きたり、活(い)きたるものには必ず機あり』。この言葉は、幕末の志士であり思想家の吉田松陰が発した格言だよ。活きた心を持つ人は、それを活かせる機会に必ず出会う。監督の志が高ければ、チームも方向性を見失わないで、必ず好結果を引き出すことができるというわけだよ」と手腕を絶賛していた。
監督がシーズン途中に交代したシーズンで優勝したケースは非常に珍しい。1975年に広島のジョー・ルーツ監督が開幕して15試合で突然辞任すると、
野崎泰一ヘッドコーチの監督代行を経て、
古葉竹識が新監督に就任。5月以降にチームを立て直して球団創設26年目で初優勝を飾っている。
橋上監督代行も交流戦直前に就任し、見事な戦いぶりを見せている。シーズンは残り9試合。V奪回に向けて一戦必勝の戦いが続く。
写真=BBM