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ドラフト9位入団から首位打者に 下克上のカギ握る「DeNAの打撃職人」は

 

通算1000安打も通過点


チームの主軸として勝利に導く一打を放つ佐野


 DeNAが9月21日の阪神戦(甲子園)で延長11回の末にサヨナラ負け。4時間20分の激闘の末に勝率5割に逆戻りし、首位・阪神に7.5ゲーム差と逆転優勝は厳しくなったが、まだまだ戦いは続く。CSでの下克上に向けてカギを握る選手が、この試合で2本の二塁打を放った佐野恵太だ。

 2020年に首位打者、22年に最多安打のタイトルを獲得。大きな故障がなく試合に出続けている姿は若手たちの良きお手本だ。4月14日のヤクルト戦(松山)で小川泰弘から5回に中前打を放ち、通算1000安打を達成。プロ10年目で節目の記録に到達したが、まだまだ通過点に過ぎない。6月は月間打率.206、0本塁打、5打点と打撃不振に苦しんだが、7月以降はきっちり状態を上げている。

 四番で起用された9月13日の巨人戦(横浜)では、初回に小笠原慎之介の直球を右翼席中段に運ぶ先制の満塁アーチ。この一撃を含む猛打賞で勝利に貢献すると、15日の同戦でも2回に8号右越え3ランを含む猛打賞4打点の大暴れ。巨人戦に同一カード3連勝の立役者となった。

チームにある大きな成功体験


 6月終了時点で最大借金15あったが、その後に息を吹き返して借金を完済。今、セ・リーグで最も勢いがあるチームであることは間違いない。今年からCSの開催方式が変更され、勝率5割未満のチームや1位球団に10ゲーム差以上離されたチームはファイナルステージで1位球団に2勝のアドバンテージが与えられる。DeNAは7月以降の快進撃で首位・阪神と7.5ゲーム差に縮め、勝率5割をキープしている。CSで下克上を果たすために不利な条件で挑むことは避けたい。

 チームには大きな成功体験がある。24年はレギュラーシーズン3位だったが、CSで阪神、巨人を撃破し、日本シリーズでもソフトバンクを4勝2敗で下して26年ぶりの日本一に輝いた。この日本シリーズで打率.444、1本塁打、9打点と大活躍してMVPに輝いた桑原将志は昨オフに西武へFA移籍した。佐野は週刊ベースボールの取材で思いを新たにしていた。

「クワさん(桑原将志)がセンター、僕がレフトで試合に出ることが、ここ何年かはたくさんありました。横から見ていて、『ガッツマン』はまさにクワさんのためにあるフレーズだなと。そう感じるプレーを一番近くで見てきました。寂しくなりますが、来季は日本シリーズで戦うことができたら最高ですね。(FA移籍を決断した桑原には)すぐに連絡しました。球団のゴルフコンペでも改めて『ありがとうございました』と伝えました。年下の選手が試合に出ることが多くなっています。そんな中、僕自身が後輩たちを引っ張る存在にならないといけません。まだまだやれると自分自身に期待してやっていきたいです」

84番目からの下克上


 FA権の行使は野球人生の大きな分岐点だ。佐野は24年に取得して去就が注目されたが、3年契約で残留を決断した。その背景には、DeNAに野球人生を救ってもらった思いがある。明大では2度のベストナインに輝いたが守備位置が一塁だったこともあり、プロのスカウトの評価が高いとは言えなかった。チームメートで同学年の柳裕也中日の1位、星知弥が2位でドラフト指名を受けた中、佐野は支配下87人中84番目のドラフト9位で名前が呼ばれた。

 プロ入り後に代打要員で結果を残し、外野の定位置をつかんで打撃タイトルを獲得する強打者に成り上がっても、「ドラフト会議で指名してくれた恩を活躍することで返せるのであればベイスターズのために活躍をしたい。その思いが変わることはありませんでした」と感謝の思いは変わらない。

 佐野の野球人生は「成り上がり」という言葉が良く似合う。「84番目からの下克上とよく言ってもらって、自分でもそのつもりになってやっています」。日本一に輝いた24年の再現へ。目の前の試合を勝ち続け、短期決戦で頂点を目指す。

写真=BBM
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