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【大学野球】法大・熊谷陸が「恐怖の九番打者」と呼ばれる理由

 

足でチャンスメーク


3点を追う8回表。先頭打者で二塁内野安打を放った[写真=矢野寿明]


▽東京六大学リーグ戦第2週(9月22日)
法大3−3立大(法大1勝1分)
 法大・熊谷陸(3年・花巻東)は開幕から5試合連続、チームトップの安打数(15打数8安打、打率.533)を放っている。プレースタイルとしては、花巻東仕込みで、とにかく隙がない。相手バッテリーとしては、警戒しなければならない打者の一人だ。

 第1週、早大との開幕カード3試合、第2週の立大1回戦までは九番・二塁で先発出場。立大2回戦は一つ上げた八番で起用されたが、出塁にこだわる役割は変わらない。なぜ「恐怖の九番打者」と呼ばれるのか。

「一、二番の上位に良いバッターがいるので、何とかランナーいる形で回したいという思いで、いつも打席には立っています」

 3点を追う8回表。先頭打者の熊谷は二塁内野安打で出塁した。50メートル走6秒1の足で稼いだ一打。熊谷はミートがうまく、常にセンター返しを意識している。狙わなくても、不思議とヒットコースへ打球が飛ぶ。二塁手、遊撃手の球際へのゴロは、いくら俊敏に処理したとしても、微妙なタイミングとなる。

 熊谷の内野安打を足掛かりに、代打・片山悠真(4年・八王子)の適時打と相手ミスが重なり、同点に追いついた。試合はそのまま3対3の引き分け(プロ併用日のため、連盟規定により9回打ち切り)。終盤まで劣勢だった法大にとっては、価値あるドローだった。

ショートへのこだわり


法大・熊谷は通算58安打。4年間の目標は100安打の大台である[写真=矢野寿明]


 熊谷は遊撃のレギュラーをつかんだ1年秋に首位打者を獲得。2年春は.339、2年秋こそ打率.174と低調だったが、今春は打率.314としっかりと持ち直してきた。

 通算打率はこの日までで.356、58安打を積み上げている。順風満帆に映るが、人知れず苦労があった。今春は送球の感覚的なズレに苦しみ、本来の遊撃ではなく、二塁を守った。数をこなすしか、打開策はない。夏場は反復練習を重ね、本来の感触が戻ってきた。

「ショートができたら評価も上がってくると思うので、ショートで挑戦したいという気持ちは強いです」

 守備の不安が解消されれば、打撃に集中できる。立大1回戦では通算2号となる満塁弾を放ち、パンチ力もある。立大2回戦では、二塁、左翼、遊撃と3ポジションを守った。今秋は三塁にも入り、ユーティリティーぶりを発揮している。

「チームとしては絶対、リーグ優勝が目標で、個人としてはもう1回、首位打者を取りたいという思いがあります。チームの勝利に貢献できるような打撃、守備をしたいと思います」

 目標は4年間で通算100安打。身近にお手本がいる。一番の主将・藤森康淳(4年・天理)は立大2回戦を終えて通算90安打を放ち、この秋は100安打へ挑むラストシーズンである。

「藤森さんは昨秋、首位打者を取り、高いバッティング技術があるので、自分も負けないように、いつも練習から頑張っています」

 好きな遊撃手は巨人泉口友汰である。「バットコントロールが優れており、守備も上手なので、そういう選手に憧れています」。大学卒業後の進路は「これから考えます」と、言葉を選んだ。花巻東高では佐々木麟太郎(マーリンズ)と同級生で「いつも刺激をもらっています」と、熊谷も高いステージを見据えている。ダイヤモンドを駆け回る、野球を良く知る選手が下位打線にいるのは脅威だ。2020年春以来のV奪還へ、熊谷のバットがカギを握っている。

取材・文=岡本朋祐
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