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【大学野球】今春のベストナイン三塁手の東大・小村旺輔が3安打で気を吐いた理由

 

唯一のタイムリー


東大の六番・三塁の小村は8回表に左前適時打。左打席からしぶとく、逆方向への一打だった[写真=矢野寿明]


▽東京六大学リーグ戦第2週(9月22日)
明大17-3東大(明大2勝)
 絶望的な点差に広げられても、下を向くわけにはいかない。三塁側の東大応援席から大声援が続く限り、東大ナインはあきらめない。

 0対13で迎えた8回表。7回から救援した明大の二番手・平嶋桂知(2年・大阪桐蔭)を攻め立て、無死満塁から秋元諒(3年・市川)の犠飛で1点を返し、なおも、二死満塁から小村旺輔(4年・武蔵)の左前打で加点し、続く主将・堀部康平(4年・県船橋)の押し出し死球で3点目を挙げた。この日、唯一のタイムリーを放った六番・小村は言う。

「なかなか点が取れてなくて、苦しい試合が多かったので、その中でみんながつないでくれて、結果として点が入って良かったと思っています。タイムリーは差し込まれていたんですけど、うまく対応できました。打ったのは変化球、スプリットだと思います」

 粘りも及ばず、東大は3対17で連敗し、勝ち点を落としている。開幕カードの慶大戦から4連敗。チーム6得点に対して、43失点と、厳しい戦いが続いている。

「だいぶ苦しいな、というのが正直なところかと思います。ピッチャーとキャッチャー、バッテリーとして準備はしてはいるんですけど、それがしっかり出せてないというか、うまくいっていない結果なので、立て直して頑張っていかないといけないなと思っています」

自分のことにフォーカス


バットでチームを鼓舞。残り3カード、野球人生のすべてをかける[写真=矢野寿明]


 小村は今春、打率.278で三塁手部門のベストナインを初受賞した。相手校からの徹底マークに遭った今秋は、開幕3試合で6打数無安打。この日の明大2回戦、2回表に今季10打席目で初安打(投手内野安打)をマークすると、7回表に左前打、そして8回表の適時打で3安打の固め打ちである。台風の影響で、明大1回戦から中2日。気持ちを切り替えて臨んだ一戦だった。

「第1打席はラッキーな形ではあったんですけど、開き直っている部分があったので『何でもいいからヒット出てくれ』じゃないですけど、そういう気持ちで打席に立っていました」

 結果が出た要因を語る。

「春からある程度、打席に立っているので、分析されているなというところはあります。 ただ、ここまでの試合は相手の配球がどうだとか、ちょっと考えすぎて、自分で変に意識してしまったところがあったので、今日は自分のことにフォーカスしようと思い、それが良い結果につながったのかなと思っています。結局、相手があることなので、結果をコントロールできないなと思ったので、自分ができることをしっかりやろう、と。余計なこと考えず、タイミングを取ることだけに集中する。その中で、変化球とかに対応できたらいいなというところは意識していました」

 東大は今春、法大から2017年秋以来の勝ち点奪取。この秋は母校・東大を指揮する大久保裕監督が主将だった1981年春の「赤門旋風」の勝ち点2(4位)を上回る成績を目指してきた。秋の開幕2日前の9月10日。小村は関係者が集まった懇親会でこう言っていた。

「この秋、チームは勝ち点3という目標を掲げたので、そこに自分がチームに対して貢献できるように全力でプレーしたいと思います。」

 東大は第3週に試合が組まれておらず、第4週では早大と対戦する。第5週の立大、第7週の法大と残り3カードである。

「やるしかないので。ブラさず、しっかりチームで向き合ってやっていきたいなと思っています。自分はチームを勝たせる選手にならなきゃいけないと思っているので、全員でしっかり頑張っていきたいと思っています」

淡青に染まった東大応援席


 明大1回戦から中2日で迎えた同2回戦。台風の影響で、2日の順延となった。シーズン前から雨が続いている。東大球場には三塁側に室内練習場はあるが、十分なスペースが取れるとは言い難い。実戦に近いメニューを組むのは物理的に難しく、コンディションの調整は厳しいのが現実だ。あえて、小村にその質問をぶつけてみた。

「実力が出るのが神宮なので、自分たちの実力不足というところです。言い訳をするつもりはまったくない。昨日はチームとしてもミーティングをし、できることが限られている中で、自分たちでベストの準備をしようとは言っていたので。1週間空くので、次のカードに向けてしっかり準備していきたいなと思っています」

 小村は懇親会で「思い出に残る試合」を、こう語っていた。

「2024年秋の慶應2回戦です。自分が出場(九番・遊撃)して、初めて東大が勝った試合だったんですけど、試合後、あいさつした時にスタンドが一面の東大の淡青の色に染まっていて……。 そこから降り注いでくる拍手、歓声というのが今でもすごく印象に残っています。秋はその光景をもっともっといっぱい味わえるように頑張っていきたいと思います」

 東大の応援席は熱狂的だ。1回から9回までペース配分することなく、全力応援を展開している。小村は競技者としてプレーするのは、今秋が最後。スタンドの淡青の大声援を背に残り3カード、最後の1球まで勝利を目指し、神宮で燃え尽きる。

取材・文=岡本朋祐
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