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「最下位に低迷する戦力ではない」戦前の下馬評高かった「タレント軍団」は

 

開幕ダッシュに失敗


今季チームを率いた井上一樹監督


 レギュラーシーズン2試合を残し、借金21で最下位に低迷。中日はこの現実をどう受け止めるか。

 昨年まで5年連続Bクラスと低迷していたにもかかわらず、戦前の下馬評が高かった。その理由は能力が高い選手がそろっていたことだ。先発陣は高橋宏斗、金丸夢斗、柳裕也、大野雄大、カイル・マラー、涌井秀章に加えて即戦力ルーキーの中西聖輝、櫻井頼之介の加入で層が厚くなった。得点力不足が課題の打線もメジャー通算164本塁打のミゲル・サノーを獲得。岡林勇希、福永裕基、村松開人がチャンスメークし、サノー、細川成也、石川昂弥と長距離砲たちが中軸を務める。もちろん、すべての選手が計算通りに働くわけではないが、大きな可能性を抱かせた。

 ところが、シーズンが開幕すると救援陣が崩れる試合が続き、3、4月に8勝19敗と大きく負け越し。春先にいきなり2ケタの借金を背負ったのが大きな痛手だった。7月は12勝11敗、8月は13勝13敗とチーム状況が上向くが、9月は8勝11敗1分けで最下位に沈んだ。

主導権を握ってもつかめない勝利


 試合の主導権を握っても勝利をつかめない展開が目立つ。9月26日のヤクルト戦(神宮)が象徴的な試合だった。4回一死一、二塁の好機で、この日に今季初昇格となった高卒2年目の森駿太がプロ初アーチとなる先制3ランを放ったが、先発の涌井が直後に3点を失って降板。5回以降は救援陣が無失点で踏ん張っていたが、打線に好機であと1本が出ない。同点の9回にマウンドに上がった橋本侑樹が山田哲人に痛恨の一発を被弾してサヨナラ負け。今季の逆転負けは40試合と、不名誉な球団新記録を作ってしまった。サヨナラ負けも12試合と12球団で突出して多い。

 他球団の首脳陣は「中日を弱いとは感じません。チームの柱になる選手は何人もいるし、最下位に低迷する戦力ではない」と警戒を口にする。実際にデータを見ると、474得点はリーグ4位で昨年の403得点から大幅に増えている。120本塁打は阪神と並んでリーグ2位タイ。バンテリンドームに「ホームランウイング」が新設された影響は間違いなくあるが、破壊力は他球団に見劣りしない。球場が狭くなったことで懸念されていた投手陣もリーグ3位の防御率3.28を記録。エースの高橋宏が6月まで状態が上がらず、救援陣も勝利の方程式をなかなか確立できなかったが、吉田聖弥、森博人が救援で頭角を現したことが大きな収穫だった。

元スカウト部長の回想


 優勝争いを繰り広げていた一昔前の戦いを回想すると、オールドファンは歯がゆさを覚えるだろう。中日は星野仙一、落合博満という2人の名将がいた。熱血漢の星野に対し、冷静沈着な落合。性格だけでなく、ドラフト戦略、選手起用などチームを組み立てるアプローチは異なっていたが、元中日スカウト部長の中田宗男氏は週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っていた。

「2人の共通点は猛烈な練習量。そのために選手には泣いてもらうという意識はまったく同じでした。星野監督はファンとともに戦い、ファンを喜ばせるために選手を泣かせた。落合監督もプロなら結果を出せよと選手を泣かせた。どちらも苦労して今泣いて優勝して最後に笑おうと。でも今は違う。弱いから泣いているんです。自分やチームの成績が悪いから泣いている。泣きたいのはファンですよ……」

「星野監督は『夢』という言葉が好きでした。選手の獲得にも起用にもファンの夢を乗せ、選手たちを徹底的に鍛え上げてファンに愛されて勝てるチームをつくる。落合監督は結果を残すのがプロであると、徹底して結果にこだわった。監督として最高の結果を残すために最高の努力を続けた。そういうチームづくりに徹したと思います。両監督は監督としてのポリシーが明確でした。信念があるからブレないし、だから結果も伴っていた。監督として2人のよいところをまねようとしても、いいとこどりは無理な話。そんな簡単なものじゃありません。2人とも両極端に見えて、実は共通点も多かったことにあらためて気づかされています。まさしく『星野監督は人を残し、落合監督は結果を残した』と思います」

 強い集団を取り戻すために、どのような形で再建するか。井上一樹監督の続投を含め、球団のビジョンが問われる。

写真=BBM
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