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健常者と障がい者が同じ土俵でスポーツをする「パラBaseball5」の魅力とは何か

 

年齢、男女を問わずスポーツを楽しむ


Aコート[写真奥]ではBaseball5、Bコート[写真]ではパラBaseball5が展開。このほかオーバー35のカテゴリーも同時に行われた[写真=BBM]


「第2回 Baseball5 パラBaseball5 in 隅田公園 Presented byベースボール・マガジン社」が10月4日、隅田公園のそよかぜ広場で開催された。昨年に続いての実施である。

 Baseball5とは5人制で行う、野球・ソフトボール型の新たなダイヤモンドスポーツだ。ゴムボール1つで手軽に楽しめ、スピーディーかつエキサイティングなゲーム展開が世界中で注目を集めている。この日はアーバンスポーツとパラスポーツの新たなコラボレーションとして開催。会場ではトップレベルの選手による大迫力のプレーに加えて、車椅子によるパラBaseball5、そしてオーバー35のカテゴリーも同時に行われた。新アーバンスポーツとパラスポーツの普及・振興を通じて、老若男女、健常者、障がい者を問わず、すべての人に新たな目標や希望を持つ機会を創出することを目的とした。

 主催者である全日本野球協会・山中正竹会長はあいさつした。

「昨年は台東区の御徒町の駅前の広場で開催をいたしましたが、今年は場所をここに移しまして、東京都の新しい観光の名所であります東京スカイツリータワーの膝元でありますこの隅田公園で開催することになりました。今回はスピーディーなBaseball5のカテゴリーと、車椅子によるパラBaseball5、35歳以上の皆様方にも楽しんでいただくリーグ戦を準備させていただきました。あらゆるカテゴリーで年齢、男女を問わず自由に参加して、そして大いにスポーツを楽しむ。まさにスポーツが求めますバリアフリーのスポーツと、未来のスポーツということを皆様方に楽しんでいただきたいと思います。さらに体験会もご用意してございまして、大いにBaseball 5の楽しさを満喫していただきたいと思っております。この隅田公園からBaseball5の新しい皆様方との輪を広げて、大いにスポーツを楽しんでいただきたいと思います」

狙うは悲願の世界一


侍ジャパンを指揮する本池監督は現役の第一線でも活躍を続けており、成長を続ける日本のBaseball5界のけん引役だ[写真=BBM]


 侍ジャパンは第3回 WBSC Baseball5 ワールドカップ(12月10〜14日、プエルトリコ)に出場する。監督を務める本池太一氏はこの日、所属する東京ヴェルディ・バンバータの選手として参加。来年2月で40歳を迎えるとは思えないキレのある動きで、観衆を魅了していた。初の世界一を目指す大舞台を控え、抱負を語っている。

「10月から強化練習を始め、12月の1週目にプエルトリコに移動します。日本は前回、前々回と準優勝なので、優勝を目指して、士気を高くやれていると思います。ライバルはBaseball5の発祥の地であるキューバと、今年3月のアジアカップ決勝で敗退した台湾も力があります。他国もレベル上がっているので、そこは意識してやっていきたいと思います」

 この日は本池監督を含め、侍ジャパン代表6人が参加。トッププレーヤーにとっても、今イベントは大事な調整の場となったという。

「実は屋外でプレーする環境が、あまりないんです。体育館とは違う条件なので……。今日はサングラスをテストしたりとか、今大会の経験は、本当にありがたい場です。オーバー35のカテゴリーもありますが、まだこちらで頑張っていきたいと思います」

 指導者、また選手として競技・普及の先頭を走る本池監督はBaseball5の魅力を語る。

「今回の会場である隅田公園は最寄り駅から近く、通常であれば、こういう環境で野球はできない。Baseball5だからこそ、限られたスペースでもボール1個で競技ができる。トッププレーヤーを近くで見られるのは魅力。もっとたくさんの方に触れてほしいと思います」

パラスポーツの平等を実現


プラネッツ茨城でプレーする酒井健汰は陸上競技でも実績があるパラアスリートだ[写真=BBM]


 さて、プラネッツ茨城でプレーする酒井健汰はパラBaseball5の魅力を語った。

「パラスポーツの本当の意味である、平等というのが実現できている思いもありますし、年齢、障がいの有無、性別を分けずに一緒にプレーできるのは、Baseball5にしかない魅力ではないかと考えています。これまで障がい者として生活をしてきた中で、こうして健常の方と同じ土俵でスポーツをするという機会はこれまでなかったんです。Baseball5のおかげで自分のスポーツ観は変わったと思うので、唯一無二のスポーツになるかなと思います」

 今後の課題でもある、普及・振興についてこう語る。

「国内の認知度で言っても、BASEBALL5がピンとくる方は多くはないと思うので、ボール一つでできるので、身近なスポーツとして、公園、学校の校庭などで当たり前のようにプレーしている姿が見られるスポーツに成長してくれたらなと思っております」

 この日は初めて車いすに乗って、競技に挑戦する選手もいた。当然、操作は難しい。

「ボールさばきに加えて、チェアスキルも求められるので、慣れるまでは大変かと思うんですけど、車椅子に乗っていただくことで、それがまた障がい理解にもつながってくるのかなと考えているので、一つ大きなツールになってくるのかなというふうに思います」

 健常者も車椅子に乗ってプレーすることに意義があるという。

「同じ目線でプレーをしていただくというのは、車椅子に乗って初めて気づくこともありますので、すごく大事かなと思います。今日は本当に盛り上がりがありますし、イベントスペースで行うことによって、公園を別の形で利用されている方の目にも届く意味では、普及につながっていくと思いますし、こうして取材をしていただけることで、世の中にどんどん発信をしていただける、一つ大きなきっかけにもなる。ここで行えたということにすごく大きな意義があるのかなと思います」

野球ができるという喜び


パラBaseball5はスリリングな好ゲームが展開。打者が必死に一塁を狙う[写真=BBM]


 酒井さんは無類の野球好きだ。元ヤクルト・宮本慎也氏の大ファンで、華麗な守備への憧れから所属するプラネッツ茨城でも、背番号6を着ける。普段は茨城県小美玉市で活動している。

「先天性の骨の病気で生まれまして、小さい頃から骨折がしやすい病気になりますので、車椅子に乗って生活をしていました。そうなると、なかなか健常の方と同じように野球をやるというのは難しいので、本当に。そこで昨年の年明けころ、本松さん(本松義徳、プラネッツスポーツ振興センター代表理事)と縁で車いすソフトボールとパラBaseball5と出会ったんです。私は祖父が少年野球の監督を務めていて、父がそのコーチで、姉が選手という野球家庭で育ってきましたので、自分だけ野球ができないもどかしさはずっとありました。満を持して、と言いますか、自分も野球ができるという、本当にその喜びが強くて。障がいを理由に野球ができない人、自分も実際そうだったので、そういった人を一人でも減らせるような取り組みに力を入れたいですし、本松さんの下で、これからも長く選手としてやっていきたいという思いはあります。私は隅田公園の目の前にある墨田区役所で仕事をしており、墨田区でずっと育っていたので、地元で皆さんと一緒にできるのがうれしいです。正直、昨日は寝られなかったですね。もう、ワクワクして……。遠足前の子どもみたいな気持ちでした」

目指すはパラリンピック


イベントの合間には体験会が開催。MCがプレーの一つひとつを盛り上げていた[写真=BBM]


 体を動かすことが好きな酒井さんは、パラアスリートである。東京マラソンへの出場実績があり、障がい者スポーツの国体と呼ばれる全国障害者スポーツ大会にも過去3回出場。今月、青森で開催される同大会にもエントリーしている。100メートル、200メートルも専門種目であり、短距離、長距離とマルチで活躍。当然、目指すはパラリンピックである。

「陸上競技でも狙っていきたいですし、その陸上競技でタイムが速くなればなるほど、このBaseball5にもスピードとして生きてくると思いますので、変わらず陸上選手としても続けながら、野球じゃないですけど、Baseball5の韋駄天になれるように、努力を重ねていきたいと思います。現状のパラスポーツは、障がいの種別によってクラスが分かれているので、このBaseball5がパラリンピックの種目になるぐらいの勢いをつけてくれたら、障がいの種別を抜きにして一緒に楽しむことができる。本当の意味で、平等のパラスポーツが出来上がるスポーツになり得ると感じていますので、Baseball5の行く末が楽しみです」

 イベント会場である隅田公園は1日中、世代を超え、大人と子どもの笑顔が広がっていた。誰でも気軽に楽しめるBaseball5とパラBaseball5には、多くの可能性が詰まっている。

取材・文=岡本朋祐
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