レジェンドOBから受けた高い期待

巨人に移籍した今年もケガに泣かされる形で1年を通して稼働できなかった
必死に
阪神を追いかけてきたが、最後に力尽きた。巨人が10月3日の
DeNA戦(東京ドーム)で2対5と逆転負け。マジック1だった阪神のリーグ連覇が決まった。
戦力を見ると、巨人は若返りの真っただ中に対し、阪神は脂が乗り切った選手が多い。特に打線の破壊力は大きな差があった。阪神は
佐藤輝明が39本塁打、
森下翔太が35本塁打、
大山悠輔が20本塁打をマークしているのに対し、巨人は
ボビー・ダルベックの25本塁打が最多で、他に20本塁打以上を記録した選手がいない。
山崎伊織、
戸郷翔征、
大勢ら主力投手たちが故障や不調で稼働期間が短かったことも大きく響く形に。その中で、評価が難しい投手が
スペンサー・ハワードだ。
来日1年目の昨年は
楽天でデビューから無傷の4勝をマーク。直球、スライダー、チェンジアップ、
ナックルカーブとすべての球種の制球力が高く、テンポも良いため大崩れしない。度重なる故障で48回2/3のイニングにとどまったが、巨人に移籍した今年は先発の軸として期待された。球団OBの
堀内恒夫氏は「昨季、楽天に在籍していたハワードは、デビューから先発として無傷の4勝。5勝1敗、防御率2.22の成績を挙げた。だが、指先のコンディション不良や上半身の張りで登録抹消されるなど、1年間通して投げ抜くことはできなかった。だが、投球の組み立てを理解しているから、ケガから回復すれば2ケタ勝利は十分に期待できるだろう」と期待を込めていた。
開幕直後から試練
開幕で先発ローテーション入り。だが、すぐに試練に見舞われる。4月4日のDeNA戦(東京ドーム)で4回に打球を処理した際に右足を痛めて負傷交代。都内の病院で画像検査を行った結果、「右アキレス腱炎」と診断された。4カ月近くの離脱期間を経て、一軍のマウンドに復帰したのが7月31日のDeNA戦(東京ドーム)。7回3安打無失点の好投で移籍後初勝利をマークすると、8月も4試合登板で防御率1.71と安定した投球を続けた。だが、3回3失点で降板した8月28日の阪神戦(甲子園)を最後に実戦から離れ、故障班でリハビリ生活に。腰痛の治療に専念するため米国に帰国することが9月23日に球団から発症され、CSで登板は絶望的な状況になった。
1年目の楽天時代に続き故障に泣かされる形で、7試合登板して3勝3敗、防御率1.93。投球内容は十分に合格点をつけられるが、37回1/3は少なすぎる。もちろん、ケガをしたくてしているわけではない。試合中の負傷交代は不可抗力の部分がある。
大事なケガとの向き合い方
阪神、
オリックスでプレーし、現役引退後は侍ジャパンの投手コーチを務めた
能見篤史氏はケガとの向き合い方について、週刊ベースボールのコラムで以下のように語っている。
「ケガをしたときは、まずそのことを受け入れることが大事です。それはプロ選手に限らず誰でも同じ。ケガをしてしまうと、練習や試合に出られないし、ポジション争いで遅れを取るんじゃないかと不安になったりする気持ちは分かります。でも『ケガがなかったら』と考えるのは、ただの願望でしかない。ケガをしたという事実は変えられないので、現実に起きていることを受け入れなければ、何も生まれません。受け入れて、『じゃあ今、何ができるのか』と考えることで、前に進むことができます」
「人によって、体も動き方もそれぞれ違うもの。投手なら、例えばプレートにかけている足が軸足の人もいれば、前に踏み込む足が軸足の人もいる。それぐらい違うものです。今の選手は情報量が豊富で、そうした違いや個性を自分で把握しやすくなっているから、昔の選手に比べると体の使い方が非常に上手です。だから投手の球速も上がっていますよね。体の使い方がうまいから、より大きな出力を出せる。ただ、それに体がついていかず、ケガにつながってしまうという現象も起きているように感じます。そこにどのように折り合いをつけながら進化していくか。それは永遠の課題なのかもしれません」
ハワードはコンディションを整えて先発ローテーションで稼働すれば、エース級の働きを計算できる。だが、そのハードルが非常に高い。今季の推定年俸は1億円。契約延長する場合は減俸提示になるだろう。オフの去就が注目される。
写真=BBM