長期間好調をキープ

四番として打線をけん引。三冠王がほぼ確実な佐藤輝
巨人と熾烈なデッドヒートを制し、リーグ連覇に輝いた
阪神。投打で目を見張る活躍を見せた選手が
佐藤輝明、
高橋遥人だ。
佐藤は昨年に40本塁打&102打点で2冠王に輝き、自身初のシーズンMVPを受賞。今年はさらに進化している。月間MVPを3度受賞するなど好調を長期間キープし、リーグトップの打率.311をマーク。チームメートで成長著しい
森下翔太と切磋琢磨しながら、39本塁打、105打点と数字を伸ばして三冠王が見えてきた。強打者の指標となるOPSは驚異の1.009。阪神の前監督で野球評論家の
岡田彰布氏は、主砲の成長ぶりを週刊ベースボールのコラムで称えている。
「率の高さを表すとき、『ボールの見極め』が良くなった……と評されている。見極めるために、ポイントを近くにして対応している、と解説する声もあるけど、オレの見立ては逆なんよね。本人に確かめてはいないけど、意識として『前でさばく』感覚で打席に入っていると思っている。詰まるより泳ぐ。佐藤輝のパワーなら、泳がされるような状態でも、前でさばけば打球は飛んでいく。引き付けることで詰まる打撃をするより、前さばきの意識でいけば、どうにでも対応できる状態にある。それにより選球眼が高まり、率を上げ、率をキープするための『四球』が取れるようになる」
「五番・大山(
大山悠輔)がホームランにこだわらず、タイムリーな打撃を続けていることも佐藤輝には有利に働く。五番がいいから、四番と勝負することになる。ホームラン、打点が増える必然的な条件が備わっており、三冠王のポイントはやはり打率やろな。これから先、(規定打席未満から)突然に現れる『隠れ首位打者』のようなバッターが怖いよな。そういう選手が現れない限り、佐藤輝の三冠王の可能性はかなり高いと見る。昨年に得た自信と確信で、ホンマに安定感が増したもんね。入団してから一昨年まで大きな波があった打撃だったが、昨年、そして今年は特に少々のことでは崩れなくなった。これからも前さばきの意識をうまく続けていければ……そら、夢は広がるよね」
沢村賞の最有力候補

開幕から10連勝を飾るなど先発陣の軸となった高橋
「打の主役」が佐藤なら、「投の主役」が高橋遥人だ。
村上頌樹、
才木浩人のダブルエースに加え、高橋が大ブレークしたことがリーグ連覇の大きな要因になった。昨年までは度重なる故障に苦しんだが、今年は開幕から10連勝。月間MVPを3カ月連続受賞した。7月以降は疲れが見えた時期があったが、9月に4勝と再び盛り返している。23試合登板で16勝3敗、防御率1.87。規定投球回数を初めてクリアし、最多勝獲得が確実に。防御率も村上とハイレベルな争いを繰り広げ、沢村賞の最有力候補となった。
かつて、阪神の左腕エースとして活躍し、03年に20勝をマークした
井川慶氏は高橋の活躍ぶりを絶賛していた。
「私の現役時代と同じ『29』を着ける高橋遥人投手は、開幕から素晴らしい、そのひと言です。私と比較されるようですが、球質は全然違います。彼の球質の特長は、低い位置から真っすぐが伸び上がっていき、その球質がさらに強いのです。7月13日時点で10勝1敗。本当にいいペース。ただ、1年間、先発でシーズンを投げ抜いていない怖さはあります。しかし、今の投球を続けられれば、確実に20勝はいけると思います。当然、このまま一定の調子は続かないと予想します。私も、調子の波を課題にして、1年間活躍するためにはどうしたらいいかということをオフシーズン中から考えながら調整していましたね」
「でもやはり開幕から1年間やらないと分からない部分が多いので、ここから本当の勝負になってきます。ただ初の10勝到達は、今後の励みにもなると思います。現在の防御率に自信を持って、これまでと同じことをやっていけばいいのかなと思います。点を奪われて悔しがる姿も、闘争心があっていいです。感情を表に出しても、次の投球に引きずらないっていうのは、すごく大事ですね。ここから先も、高橋投手の活躍は楽しみですね」
MVPは記者投票によって選出される。佐藤と高橋。どちらもMVP受賞にふさわしいが、三冠王獲得なら佐藤が有利に動くかもしれない。戦いはまだ続く。CS、日本シリーズを勝ち抜き、3年ぶりの日本一に向けて2人の活躍は不可欠だ。
写真=BBM