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【東京六大学野球】東大の右腕・佐伯豪栄が「ケガをしてもいいぐらい燃え尽きる」と語る真相

 

競技者としての集大成


早大2回戦で4回1失点の力投を見せた[写真=矢野寿明]


▽東京六大学リーグ戦第4週(10月4日)
早大6-1東大(早大2勝)

 東大の投手は4年秋にして努力が実り、アスリートとしてのピークを迎えるケースがよく見られる。ここ最近では2023年秋に松岡由機(駒場東邦高)が法大2回戦で2失点完投勝利、24年秋には鈴木太陽(国立高)が慶大2回戦で1失点完投勝利。学生野球の集大成にリーグ戦初勝利を挙げた。多くの関係者、ファンが「もう1年、見てみたい」となるが、残念ながら卒業となってしまう。周囲に惜しまれつつ、競技者として「引退」するのである。

 この秋は右腕・佐伯豪栄(4年・渋谷幕張高)が尻上がりに調子を上げてきている。今季3試合目の登板となった早大2回戦では、0対1の4回表から二番手で救援して、自己最長となる4イニングを投げ、1失点にしのいだ。佐伯の降板後、後続の投手が8回表に4失点し、1対6で連敗した。

 佐伯は2年春から神宮のマウンドを踏み、この日が通算33試合目の登板。3年秋には最多9試合、今春も7試合と東大のブルペンを支えてきた。過去、最も長く投げたのは2年春、明大1回戦での3回1/3だった。佐伯はリーグ戦未勝利である。

「今日は打者一人ひとり、丁寧に投げられたかなと思います。これで満足してはいけないんですけど、ちょっと達成感あって。いつもは1イニングとか2イニングで交代なんですけど、今日は結構、志願して投げさせてもらったので良かったです」

 東大は1回戦の先発を務める左腕エース・松本慎之介(3年・国学院久我山)に次ぐ投手が課題だった。大久保裕監督は「合格点。踏ん張れる投手が出てきたのは良かった。佐伯はもともと140キロ近いボールを投げますが、力んでバランスを崩すケースが多かったんです。コントロール重視で『とにかく、初回(救援した最初のイニング)を頼む』と送り出し、期待に応えてくれたと思っています」と目を細めた。3年秋の立大2回戦でリーグ戦初先発して以降、先発はないが、指揮官はその可能性を示唆した。

神宮で結果を残した3つの理由


 安定した投球ができた理由は3つある。まずは、大久保監督も指摘した「入り」だ。

「先頭打者に四球を出さないというのが、下級生時代からの課題だったんですけど、この秋はクリアできるようになったかなと思います。ブルペンでバッターを立たせて、アウトコース、インコースに投げ分ける練習、基本的なことをしっかりやってきた感じです」

 次に相手校の研究である。

「しっかり分析して、打者の苦手なコースとかをイメージしながら投げられたかなと思いました。無駄なランナーを出さずゾーンで勝負して、好打者には厳しいコースを突く方針で取り組んできました」

 3つ目は新たな変化球の習得だ。

「変化球で一番得意なボールは、今日たくさん投げたワンシームなんですけど、これは3年生のアナリスト・榎祥吾(修猷館高)と春のリーグ戦終わった後に練習した新球で、しっかり投げ切ることができて良かったです。春は打たれてしまったので、何か変えようと思った時に、新しい変化球を覚えたんです。真っすぐに対して、シュート気味で垂れるんですけど、球速はあまり真っすぐと変わらないようにして投げています」

リーグ戦初勝利への思い


 東大は開幕から3カードを終えて6戦6敗。厳しい戦いが続いているが、佐伯は前だけを見る。

「個人としても、勝つ試合でなかなか貢献できてないので、しっかり勝ちにつながるような投球をしたいと思います。先発? 投げられるものならば投げたいですけど、そこはちょっと分からないです。ずっと、抑えで来ていますので。チームとしては勝ち点をしっかりと取りに行きたい。個人としてはここまで、まだ(通算)0勝0敗なので、リーグ戦で1勝できるように頑張りたいと思います」

 残るカードは10月10日からの第5週の立大戦、24日からの第7週の法大戦である。

「もう、ケガをしてもいいぐらい燃え尽きるように、最後まで投げたいと思います」

 捨て身の覚悟である。ラストシーズンにかける背番号18・佐伯のマウンドを目に焼きつけたい。

取材・文=岡本朋祐
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