被安打16、12四死球の反省

早大の主将・香西は東大2回戦で先発し、7回無失点で勝利投手となった[写真=矢野寿明]
▽東京六大学リーグ戦第4週(10月4日)
早大6-1東大(早大2勝)
この秋は雨天中止が相次ぎ、第2週の立大-法大3回戦(10月7日に予定)と第3週の明大‐早大3回戦(10月6日に予定)が未消化となっている。早大は第4週(10月3、4日)で連勝。積み残しのカードは、中1日で行うとの連盟規定があり、6日に明大3回戦を戦う。早大としては秋の命運を左右する、重要局面を迎えたわけである。ここまで4勝3敗、勝ち点1。昨春以来の天皇杯奪還を目指す上で、勝ち点を2つ落とすことは許されない。
早大は法大との開幕カードを1勝2敗で落とした。明大1回戦(9月27日)は先勝も、台風の影響で2日の雨天順延で迎えた2回戦(同30日)は0対17と屈辱の大敗を喫した。投手陣が16安打を浴び、12四死球と大きく乱れた。0対17となった8回裏二死二塁、七番手で救援し、打者1人を抑えた主将・香西一希(4年・九州国際大付高)は「17失点」について、こう受け止めている。7回無失点で今季初勝利(リーグ戦通算5勝目)を挙げた東大2回戦後に聞いた。
「本当に悔しかったです。自分も最後の一人だけ投げさせていただいたんですけど、ピッチャーで負けた試合だったので、帰ってからしっかり皆で話し合いました。『前に向かって進んでいくしかない』と。(東大との)この2試合は四死球も少なく(計1個)戦えたので、明後日もしっかりピッチャー陣で試合をつくっていけるようにやっていきたいと思います」
南魚沼キャンプで土台づくり

香西は主将。キャプテンナンバー「10」を着け、神宮のマウンドで躍動する[写真=矢野寿明]
香西は今春の開幕カードだった東大1回戦でリーグ戦先発を果たした。3年秋までの通算26試合の登板はすべて救援。この春のオープニングで、主将として大役を任された。1安打13奪三振、無四球完封。打者28人で準完全試合を達成し、
小宮山悟監督の起用に応えたが、大学で初めて1試合を投げ切った代償は大きく、その後は上半身のコンディション不良により、第5週まで登板できなかった。チームは勝ち点1の5位に低迷。この夏は、自ら先頭に立ち、たっぷりと汗を流してきた。
新潟・南魚沼キャンプが行われたベーマガスタジアムの一塁ベンチには、参加選手が目標設定した用紙が掲示。第116代主将・香西の欄には「投げて技術力、体力の向上。びっくりするくらい走ってみる。下半身の強化。きついときにもう一歩頑張って踏み出して、逆境に立ち向かえる自分の心の強さを自分で知る。自分がやる姿で後輩たちに示す」と決意が示されていた。サブグラウンドではショートダッシュ、球場横では急勾配の坂道走、球場内ではポール間走と、時間を見つけては、ピッチングの土台となる下半身を鍛えてきた。
ヤクルト・石川雅規の引退試合で涙
この秋は夏場の成果を、十分に発揮している。7試合中5試合に登板。10月2日にはプロ志望届を提出した。先発した東大2回戦の前日、神宮球場では憧れの存在である
ヤクルト・
石川雅規の引退試合が行われた。香西は安部寮でテレビ観戦し、マウンドでの最後の雄姿に感極まり、涙が出てきたという。
「高校時代も石川さんの動画を見て勉強させていただいて、結果を残すことができました。引退試合の次の日にマウンドに上がることができるとは、本当に幸せでした。石川さんは自分よりも体が小さいと思うんですけど(石川は167センチ、香西は171センチ)、それでもあれだけ長く続けられ、『自分もやれるかもしれない』と勇気を与えてくださった。自分も緩いボールが持ち球としてありますが、なかなか勇気を持って投げられないシーンがあるんです。石川さんはカーブ、スクリュー、チェンジアップにしても、しっかりゾーンの中で勝負しているので、そこは参考になります。次は自分が次の世代の野球少年、少女たちに、体が小さくても戦っていける姿を見せられるようにしたいです」
小宮山監督は、主将・香西が努力してきた背景を明かす。
「春の最初の試合で思いのほか重傷を負ったので、そこから夏に鍛えて、夏場のオープン戦も含めて本当にしっかりと投げていますので、本当は完封させてあげたかったんですけどね。明治戦があるので、なるべく余力を残すということで代えました」
総力戦で臨む明大3回戦
繰り返しになるが、早大は中1日で勝ち点をかけた明大3回戦を迎える。先発はエース右腕・
高橋煌稀(3年・仙台育英高)が予想される。東大戦2試合では登板なく、結果的に温存することができた。2回戦はベンチからも外れ、調整に充てた。大一番で命運を託すことになるはず。ただ、小宮山監督は東大2回戦後に、胸の内をこう明かしていた。
「雨乞いしようかな……。(チームとしては)休養が欲しいでしょう。皆がもう本当に『準備万端、整いました』という状態で、できればやりたい。それでも勝てるかどうか分からない相手ですから、この状況でかなり厳しいハンディを負っているという認識ではありますけど、捨て身でいきます」
明大1回戦で7回2失点で今季初勝利を飾った高橋は中8日で、明大3回戦を控えている。今春に2つの完投があるが、試合展開によっては継投もある。東大1回戦でリーグ戦初先発初完封勝利の
安田虎汰郎(3年・日大三高)に、主将・香西も当然のようにスタンバイして、総力戦で臨む。屈辱の17失点からどう立て直してくるのか、注目の一戦である。
取材・文=岡本朋祐