2023年から3年連続2ケタ勝利

ケガもあり、今季はわずか1勝に終わった山崎
リーグ制覇に届かなかった
巨人だが、戦いは続く。CSを勝ち抜くことができるか。投手陣のキーマンが
山崎伊織だ。
2023年から3年連続2ケタ勝利をマーク。昨年は自己最多の156回1/3を投げて防御率2.07とエースとしての地位を固めつつあった。今年も先発の軸として計算されたが、3月14日の
日本ハムとのオープン戦(東京ドーム)の前に右肩のコンディション不良を訴え、翌15日から故障班に合流した。その後も思い描いた形で復帰のプロセスが進まない。ファームでの調整を経て、5月3日の
広島戦(Gタウン)で復帰登板に臨んだが、2球を投げたところで右肩の異変を訴えて降板。翌日にMRI検査を受け「前回と違うところ。(3月に)故障班に来たときとはまた違う(右肩の)部分がちょっとよくない」と明かした。
1日も早く一軍の戦力になりたい一方で、右肩の状態が悪化することは絶対に避けなければいけない。リハビリ途中にシート打撃を行った際にも、「思っていたよりもけっこう端折って飛ばして前に進んでいるので、肩の状態をしっかりチェックして、無理せずに進まないといけない。今日はよくても明日はガクッと悪くなるかもしれない」と調整の難しさを口にしていた。
優勝争いで痛かったエース不在
一軍初昇格は7月14日。同日の
ヤクルト戦(神宮)で6回途中3失点だった。その後は3試合連続で100球以上投げたが、8月18日の
DeNA戦(横浜)の登板後に再び一軍を離れることに。
阪神と熾烈な優勝争いを繰り広げていた中で、山崎の不在は大きかった。
レギュラーシーズン最終登板は10月2日のヤクルト戦(神宮)。直球は150キロを超え、ツーシームやフォークを織り交ぜてアウトを積み重ねた。80球程度の球数制限を設けていたため、76球を投げて4回5安打1失点で降板。白星はつかなかったが、表情は明るかった。今季は6試合登板で1勝1敗、防御率4.59。投球回数は33回1/3にとどまったが、この経験を今後の野球人生の糧にしたい。
Vの立役者となった阪神左腕

試練を乗り越えて今季16勝と飛躍的に勝ち星を伸ばした高橋
故障という試練をどう乗り越えるか。今季16勝3敗、防御率1.87と大活躍を見せた阪神の
高橋遥人もケガに泣かされてきた投手だ。左肘や左肩の故障に苦しみ、3年連続で手術を受け、23年オフに育成選手として契約。24年に支配下に復帰すると、8月11日の広島戦(京セラドーム)で1025日ぶりの白星を挙げた。今年は自身初の開幕ローテーション入りを果たし、球団史上79年ぶりの開幕10連勝を記録。開幕から3カ月連続で月間MVP受賞とリーグ連覇の立役者になった。ケガから復活の歩みが順風満帆だったわけではない。24年に左前腕のプレートを抜いた時は、リハビリが計画どおりに進まなかった。
「トミー・ジョン手術と肩の手術は、手術医の方、リハビリを見てくれた方、球団トレーナーの方がしっかりとサポートしてくれたので、つまずくことなくこられました。実際には前腕のケガのほうで、本当に悩みましたね。この腕でどうやったら投げられるのか、と」
「成績が出せているのは、やはり前腕です。ここが100%の状態になっていることが大きいです。前腕はとにかく筋肉をしっかり柔らかくして、少し可動域が出てきたら、本格的に動かしていくというステップを繰り返すだけです」
山崎もケガと向き合う中で、本人にしか分からない葛藤があるだろう。以前に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「正直、高校でもエースではなかったですし、大学でも4年間で実質的には2年しか投げることができませんでした。小学校や中学校のときも責任感を持ってやっていたわけではない。どうしても『チームの責任を背負って』というタイプではないんで……。実際に今も、プロに入ったときよりは感じるものがありますけど、戸郷(
戸郷翔征)みたいにチームを背負って投げることができているわけではないです」
謙虚な物腰である一方、飄々とした立ち振る舞いがこの右腕の魅力でもある。野球人生はこれからが全盛期だ。万全のコンディションを取り戻し、マウンドで躍動する姿を見たい。
写真=BBM