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【東京六大学野球】春の首位打者、早大・徳丸快晴の勝負強さの理由とは

 

天覧試合で本塁打&サヨナラ打


2対2の8回裏無死一塁から早大・徳丸が決勝2ランを放った[写真=矢野寿明]


▽東京六大学リーグ戦第3週未消化分(10月6日)
早大4-2明大(早大2勝1敗)

 千両役者である。勝てば天皇杯奪還への望みがつながり、負ければVが絶望的。この大一番で今春の首位打者・徳丸快晴(2年・大阪桐蔭高)が2対2の8回裏に決勝2ランを放った。明大の三番手・松本直(4年・鎌倉学園)からの一発。打席では集中していた。「打ったのはスライダーです。真っすぐに遅れないよう、変化球にも対応できるように待っていました」。4対2。早大は明大から2勝1敗で勝ち点を奪取し、優勝戦線に踏みとどまった。

「先頭バッターの寺尾さん(寺尾拳聖、4年・佐久長聖)が四球で出て、バントではなく『打て』のサインを出してくれたので、何とかつないでいければいいなと思っていたんですが、ホームランになって良かったです。なかなか決勝ホームランを打ったことがないので、気持ち良いですね」

 とにかく勝負強い。32年ぶりの天覧試合となった今春の慶大2回戦。徳丸は2回裏に同点ソロアーチを放った。天皇陛下、愛子さまが神宮ネット裏の貴賓席に姿を見せられたのは4回表の終了後。シーソーゲームとなり、早大は1点を追う9回裏に追いつくと、徳丸のサヨナラ打で令和初の天覧試合を勝利で飾った。小宮山悟監督は「徳丸のホームランは天皇陛下、愛子さまが到着される前であり『天覧本塁打』としては認められない」と振り返ったが、これも、学生への愛情表現の一つ。期待を込める選手だからこそ、ハードルも高くなる。

 明大3回戦に話を戻す。8回裏無死一塁。小宮山監督の頭の中に「犠打」の選択肢はなかった。

「無死で四球で出た走者を、おそらく記者席でも『送るだろう』みたいな雰囲気になると思うんですけど、一番打てるバッターに、タダでアウトをやる、そんな愚は犯したくなかったので、とにかく期待を込めて打席に送りました。ホームランという結果はちょっと出過ぎですけど、それはそれで良かったかなと思います」

体調不良で南魚沼キャンプを離脱


徳丸は右越えへの勝ち越し2ランで生還すると、待ち構える4年生の四番・寺尾[左]と喜びを分かち合った[写真=矢野寿明]


 この日、早大の先発・高橋煌稀(3年・仙台育英)は序盤から飛ばして完封ペース。ところが、2対0で迎えた7回表に制球を乱し、追いつかれてしまう。野手としては、何としてでも、力投するエースを援護したかった。徳丸は言う。

「春も良いピッチングをしても、打撃陣が振るわずに負けがついていたので、何とか白星をつけられたらなと思っていました。テンポもいいですし、守りやすかったです」

 高橋は完投勝利を飾った。徳丸はチームの勝利に貢献でき、ホッとした表情を見せた。無理もない。この夏場は相当、出遅れながらも、秋の開幕に間に合わせてきた背景がある。夏恒例の新潟・南魚沼キャンプで、東京から入った8月7日である。

「南魚沼入りした日の夜、喉が痛すぎて寝られなくて……。翌日の練習を休んで病院へ行ったら、すぐに入院と言われたんです。新潟市内の病院に1週間ぐらい入院し、何も食べられず……。その後、キャンプに戻ることができず、そのまま東京に戻りました」

 約3週間の離脱。チーム本隊に戻ったのは8月末で、ほぼぶっつけ本番で開幕した。

「入院前は状態が良かったんですけど、そこからもう1回、やり直し。以降はまだ、調子は万全ではなく、この一打がきっかけで、上がっていければいいなと思います。残り2カード。もう、負けられないので、何とか優勝のために、チームに貢献したいと思います」

事実上3敗が優勝ライン


試合後の会見では決勝2ランの徳丸[左]と2失点完投の高橋[右]がポーズを取った[写真=矢野寿明]


 早大は第1週の法大戦で勝ち点を落とし、第3週の明大戦は雨天順延により、1勝1敗で、この日の3回戦が未消化だった。第4週の東大戦で連勝。東大2回戦から中1日の明大3回戦で勝利し、2つ目の勝ち点を挙げた。5勝3敗。勝ち点4を優勝ラインとした場合、自力優勝するには、9勝3敗が必要となるはず。過去の事例を見ても、25年春は早大と明大が9勝4敗、勝ち点4で並び、優勝決定戦が行われた(早大が優勝してリーグ3連覇)。24年秋は早大と明大が8勝3敗、勝ち点4で優勝決定戦(早大が優勝)。事実上「3敗」がギリギリなのだ。

 徳丸は「調子が上がらない」と言いながらも、8試合で打率.357(28打数10安打、1本塁打、4打点)と、クリーンアップとしての役割を果たしている。この春は打率.388で初のタイトルを奪取し、大学日本代表候補合宿に参加したが、高校時代のU-18代表に続く侍ジャパン入りはならなかった。無念は当然あり、この悔しさを晴らすには、結果で示すのみ。五番・徳丸のバットが、昨春以来の天皇杯奪還へのカギを握る。

取材・文=岡本朋祐
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