ブルペン陣の柱として稼働

今季はリリーバーとしてチームトップの51試合に登板した星
「大器晩成」という言葉がよく似合う。
ヤクルトの
星知弥が今季取得した国内FA権を行使するか、野球人生の岐路を迎えている。
150キロを超える直球、フォーク、スライダーを軸に投球を組み立てる。走者を背負う登板が少なくないが、決定打を許さない。チームトップの51試合登板で2勝4敗1セーブ31ホールド、防御率2.63。本拠地が狭い神宮球場でこの数字は立派だ。年齢を重ねて安定感を高めていることも評価のポイントが高い。昨年は44試合登板で1勝2敗17セーブ17ホールド、防御率1.67。抑え、セットアッパーで稼働し、32歳シーズンの今年もブルペン陣の柱として活躍した。
逆境や試練を迎えても、気持ちを切らさずにコツコツと努力して花を咲かせる。故障が影響して一軍で登板機会が減った時期があったが、「いい投手がいる中に割って入っていくために何が必要なのか考えたとき、自分にとって何が一番いいのかと考えたときに、まずは真っすぐを取り戻さないと勝負にならないな」と自身の武器を磨くことにフォーカスした。下半身のトレーニングや投球フォームを見直しながら、「質のいい真っすぐというか、そこにこだわりは持っていますね。伸び上がるようなイメージを持つようにしています」と直球の質の改善に励んだ。
「一番は本人の努力」
多くの支えがあった中で、「その出会いが一番だと思う」と感謝を口にするのが、当時の
小野寺力二軍投手コーチ(現
楽天投手コーチ)だ。星が入団した2017年に指導者としてチームに復帰すると、投球フォームの修正に二人三脚で取り組んできた。小野寺コーチは「彼の場合はちょっと不器用なところがあって時間はかかったんですけど、積み重ねてきたことが少しずつ形になってきたっていうところですね」と話していた。
さらに「まあでも、一番は本人の努力だと思います。やり続けることってすごい難しいと思うんですよ。やっぱりどこかで気持ちが緩んだり、切れたりしちゃうんですよ。ケガだったり、結果が出なかったりっていうことが続くと余計にそうなるんですけど、そこでやり続けられたっていうところが良かったと思います。やめるのは簡単ですけど、続けるってすごい難しいことなんで」と野球に取り組む姿勢を評価していた。
人的補償がないCランク
振り返ると、大学時代も最終学年で輝きを放っている。明大に進学すると同学年の
柳裕也(現
中日)が下級生の時から主戦投手として活躍する一方、星は1年春のリーグ戦から登板したが、初勝利は4年春だった。秋は3勝2敗、リーグ4位の防御率2.13で柳と共に春秋連覇の立役者に。ヤクルトから2位で指名されたドラフト後に、明治神宮外苑創建90年記念奉納試合で六大学選抜の一員として臨むと、2年連続のトリプルスリーを達成したばかりの
山田哲人から自慢の直球で空振り三振を奪っている。
明治神宮大会の決勝では、柳の後を受けて5回からマウンドに上がると
ロングリリーフで無失点の快投を見せ、回ってきた打席でもアーチを放ち、大学日本一に。右肩上がりで大学生活を締めくくり、橿渕聡スカウト(現スカウトグループデスク)は、「もともといいモノを持っていたのに、それが出せなかったっていうことじゃないですか。期待されていて球も速かったんですけど、力任せというかスピードガン表示は150キロ出ていても、質が良くなかったんです。それで自分なりにいろいろ考えて、投球フォームも少し変えたり、地道にやってきたことが最後のシーズンにつながったと思います」と分析していた。
柳は中日にドラフト1位で入団すると、エースとして活躍。
佐野恵太はドラフト9位で
DeNAに入団した当時は目立つ存在ではなかったが、プロ入り後に首位打者に輝くなど強打者として活躍。星は「佐野との対戦は意識しちゃいますね」と大学時代の同級生に対する特別な思いを口にする。
今季の推定年俸5600万円で人的補償がないCランクのため、国内FA権を行使するとなれば、救援陣の補強を目指す球団が獲得に動く可能性が十分にある。もちろん、育ててくれたヤクルトに対する愛着は強い。野球人生の節目で、どのような決断を下すか。
写真=BBM