惜しくも勝ち点落とす

武蔵大のブルペンを支える廣田。卒業後は独立リーグでのプレーを目指している[写真=BBM]
10月10日
日体大4-3武蔵大(日体大2勝1敗)
首都大学秋季リーグ・第6週1日目。武蔵大は2カードで勝ち点を落としている一方で、雨天順延により、2カードの未消化分があった。3勝4敗、勝ち点0ながら、今後の結果次第では上位進出を狙える状況にある。そこで迎えた、1勝1敗で勝ち点をかけた日体大3回戦だった。
試合は2対2で迎えた5回表、武蔵大が羽村伊夏(4年・創価高)のソロアーチで1点を勝ち越し。しかし、直後の5回裏に酒井成真(4年・東海大菅生高)と藤巻一洸(4年・日大三高)のタイムリーで日体大が逆転すると、日体大の先発でドラフト候補の
馬場拓海(4年・福岡大大濠高)が6回以降を無失点に抑えてリーグ初完投。武蔵大はチャンスをつくりながらも、あと一本が出ずに3対4で惜敗した。
勝ち点を落とした武蔵大だが、6回からの3イニングで相手打線に得点を与えず、力投したのが廣田直士(4年・日立一高)だ。
変則フォームで存在感
廣田は1年秋に二部でリーグ戦デビュー。中継ぎとして武蔵大の「勝利の方程式」の一角を担い、今春は8試合に登板して2勝。12回1/3を投げて防御率1.46の成績を残した。
「打者の手元のベース上で強い球になるようにフォームを修正し、ボールにキレを出すようにしています。手先ではなく体全体で投げることを意識し、テイクバックの前のボールがまだ体の後ろにある状態で投球が終わっているようなイメージで、とにかく腕に力を入れないようにしています。今の投げ方にしてからバッターの反応が変わってきて、球速以上に感じているように見えます」
体を屈めてから投げる左腕のスリークォーターという特徴的なフォームであり、昨年までは「左キラー」のワンポイントの役割を与えられていたが、この夏は体づくりに励んだ。
「ワンポイントだけでなく、
ロングリリーフもできるようになるため、走り込みや投げ込みをしてきました。ブルペンで20球を投げたら、8〜9割の力で走って、またすぐにブルペンに戻って投げ込み。それを4〜5セット繰り返しました」
今秋の開幕戦となった筑波大1回戦こそ「ラストシーズンということで気負ってしまいました」と一死も取れずに3失点と打ち込まれたが、次週からはしっかりと立ち直った。
「同級生の4年生から『もっと周りを頼っていいので、自分のピッチングをしてほしい』と言われました。それからは自分のボールを信じて投げています」
第3週の筑波大2回戦では3回からの3イニングを1失点に抑えて勝利投手に。さらに、第5週の東海大2回戦も3回を1失点。そして、この日の日体大3回戦は3イニングを投げて無失点に抑えた。「以前は2イニング目になると球威が落ちたり、四球が多くなったりしていたのですが改善できてきました」。これで今秋は12回を投げて5失点。ここ5試合では同じく12回を投げて2失点と安定した投球が続いており、三振も13個を数える。
「2ストライクに追い込むと、もっと良い球を投げなければいけないと思って力んでいたのですが、今は余計なことは考えずに再現性の高さを求めていることが良い結果につながっているのだと思います」
セールスポイントは強心臓
9月25日には独立リーグへ進むことを見据えて、プロ志望届を提出した。
「昨年までは上で野球を続けるのは難しいと感じていたのですが、より高いレベルで野球がやりたいと思い、もう一度、自分を奮い立たせてきました。今は球速至上主義のようなところがあると思いますが、キレとコントロールを突き詰めることでどこまで行けるのかとても興味があるので、そこをモチベーションにしています」
最速138キロ。この速球に得意のスライダーとチェンジアップ。さらに緩急をつける100キロ台のカーブを織り交ぜて打者を打ち取っていく。
「自分の
セールスポイントは強心臓。ずっとランナーがいる場面で登板してきたのでピンチには慣れています。マウンドに上がる時は状況をしっかりと確認し、ケアレ
スミスだけはしないように心掛けています」
武蔵大はまだ勝ち点を挙げられていない苦しいシーズンを送るが、廣田は「関東大会(明治神宮大会代表決定戦)に出場するのが目標」と、あくまでも2位以内を目指す。卒業後も「高いレベルのなかで長くプレーできるように頑張りたい」と話している。技巧派サウスポーの挑戦は続く。
取材・文=大平明