助っ人のサヨナラ弾

カナリオのサヨナラ本塁打でファイナルステージ進出へ王手をかけた西武
4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした西武が、最高のスタートを切った。10月10日のファーストステージ第1戦(ベルーナ)で
日本ハムと対戦し、延長10回、アレクサンダー・カナリオのサヨナラ本塁打で3対2と勝利。2011年以来となるファイナルステージ進出に王手をかけた。
試合を決めたのは、前日の監督会見で
西口文也監督が期待を寄せていた助っ人だった。2対2で迎えた延長10回裏、日本ハム六番手・
細野晴希が投じた初球のスプリットにバットを一閃。低い弾道でライオンズファンが沸く左翼スタンドへ突き刺した。
今季は6月26日の同戦でもサヨナラ本塁打を放っているカナリオは「ホームランは狙わずにしっかり打つことを意識した。前の4打席がうまくいっていなかったので取り返そうと思っていた。前回のサヨナラ本塁打が人生初めて。また打てて、信じられない気持ちです」と喜びを語り、ファンへの感謝を口にした。
カナリオのバットを信じていた西口監督も「そこまでタイミングが合っていないような感じだったんですけど、最後に決めてくれました。カナリオが打つとチームが乗ってくるので、今日のこの雰囲気のまま明日を迎えたいと思います」とコメント。第2戦も勝って一気にファイナルステージ進出を決めたいという思いをにじませた。

6回以降は5投手が好救援を見せて日本ハム打線を封じた[写真は豆田]
劇的な幕切れを呼び込んだのは、一発だけではない。投手陣の粘りと、
源田壮亮を中心とした堅守が勝利をお膳立てした。
首脳陣は今短期決戦のポイントを「ホームゲームなので守りが大事。守備から攻撃のリズムを作っていきたい」(
熊代聖人外野守備・走塁コーチ)と話していた。先発・
平良海馬は
奈良間大己に一時は逆転となる2ランを浴びたものの、5回を6安打2失点でまとめ、ブルペン陣にバ
トンを渡した。
2対2の同点で迎えた6回以降は、
黒木優太、
篠原響、
森脇亮介、
甲斐野央、
豆田泰志の5投手が登板。日本ハム打線をわずか1安打の無失点リレーでつなぎ味方打線の援護を待った。狙いどおり、守りから攻撃のリズムをつくる展開となった。
投手陣をバックアップした源田
そして、その投手陣をバックアップしたのが、途中出場の源田だ。6回、四球で出塁した
石井一成の代走として途中出場すると、3度の守備機会で安定したプレーを披露。遊撃から二塁に回った
滝澤夏央との鉄壁の二遊間で、守備を固め日本ハムに追加点を許さなかった。
なかでも圧巻だったのが、延長10回表の守備。
フランミル・レイエスの難しいハーフバウンドをシングルハンドで合わせ、ボールがこぼれそうになりながらも体で押さえ込み、何事もなかったかのように1アウトを奪った。2024年まで7年連続でパ・リーグ遊撃手部門のゴールデン・グラブ賞を独占した名手ならではの安心感のあるプレー。マウンドの豆田を救うとともに、チームに流れを引き寄せた。
熊代コーチが「今シーズンも先行している試合はかなりの勝率で勝っている。まず先制点をあげないように、ピッチャーを含めて守りからいいリズムをつくっていければ、必ず自分たちの流れが来る」と話していた通り。延長戦までもつれた一戦で、投手陣と野手陣が一体となって失点を防ぎ、最後はカナリオの一撃で試合を決めた。
西武にとっては、2018年のファイナルステージ第3戦以降、続いていたCSでの連敗を9で止めた一戦でもある。西口監督は「そのことは一旦忘れていました。今日新たな気持ちで勝ててよかったです。第2戦のポイント? 全員でまたしっかり戦っていきたいと思います」と前を向いた。
堅守と継投で接戦をものにし、カナリオの一発でつかんだ大きな1勝。この勢いのまま、2011年以来、15年ぶりのファイナルステージ進出を一気に決めたい西武だ。
文=伊藤順一 写真=高原由佳