ファームで20試合6勝6敗

ヤクルト2年目の今季、結果を残せず戦力外となった青柳
プロ野球は厳しい世界だ。実績があっても現状で結果を出せなければ、ユニフォームを着られる保証がない。今オフにヤクルトから来季の契約を結ばない旨を通知された選手の中に、
青柳晃洋の名前があった。
今年は一軍登板なしに終わり、ファームリーグで20試合登板して6勝6敗、防御率4.42。「狙えるものは狙いたい。どのタイトルでも一人で取れるものは何もない。自分ができること、ベストを尽くした結果、タイトルがついてくる。できることを全力でやっていきたい」と誓っていたが、突きつけられた現実は厳しかった。
周知のとおり、かつては
阪神のエースとして活躍した。2021年に13勝6敗、防御率2.48で最多勝&最高勝率(.684)のタイトルを獲得すると、翌22年は13勝4敗、防御率2.05で最多勝、最優秀防御率、最高勝率(.765)の投手3冠に輝いた。23年は8勝にとどまったが、日本シリーズ第7戦に先発登板して4回2/3を無失点の粘投。「優勝が決まる試合だったけど、『絶対にお前で行くぞ』って先発が決まったわけじゃない。7戦目まで“回ってきたから”じゃなく、初戦を任されるような立ち位置でいたいなという気持ちがあった。優勝の輪の中に、何とか入れたぐらいの感覚だった」と満足していなかったが、38年ぶりの日本一に貢献したことは間違いない。
前阪神監督が期待を込めるも……
24年オフにポスティングシステムでメジャー挑戦を決めた。
「自分の中では、がっつりローテを回って、ちゃんと投げられたらメジャーに挑戦すると決めていたけど、何も良いところがなかったシーズンだった。あと少しでFAという自分の権利も手に入る。もちろん、家族がいるから給料的な問題もある。メジャー契約1本で行けるんだったら100%選ぶけど、そうじゃないってなったときに、ただ自分が挑戦したいだけのために、選んでも良いのか。独身だったら絶対にすぐ行くって言ったんだけど……」
思い悩んだが、妻が背中を後押ししてくれて決断した。フィリーズとマイナー契約を結んだが、メジャー昇格は叶わず7月末に退団。挑戦したことに悔いはない。新たな世界に飛び込まなければ、味わえなかった経験がたくさんある。ヤクルトに入団が決まった際、阪神の
岡田彰布前監督は週刊ベースボールのコラムで期待を込めていた。
「どうですか、青柳は? と問われれば、そら戦力になるやろ……というのがオレの見立てやわ。2023年の阪神日本一シーズンの開幕投手をオレは青柳に託した。そして、そのときの日本シリーズ。決戦の7試合目も青柳を先発に立てた。開幕投手から最後のマウンドに。青柳はその期待に応えてくれたわ。それだけ思い入れのある投手だけにオレも気になるよな。藤浪(晋太郎)、そして青柳が甲子園で投げる機会があれば、どういった雰囲気になるのかな。2人は投げにくいと思うけど、これからの見どころのある対戦と思うよ」
もう一度輝く姿が見られるか
だが、日本球界にシーズン途中に復帰した昨年は3試合登板で0勝2敗、防御率8.10。10月2日の古巣・阪神戦(甲子園)で先発登板も、5回途中6安打6失点と悔しい結果になった。
「振り返ったら本当に情けないシーズンだったと思う。ヤクルトに対して何も貢献できていなかった。次の目標はヤクルトが優勝すること。自分がタイトルに絡んだり、活躍して、ただ優勝するだけじゃなくて、自分が輪の中心にいたい。ヤクルト自体も新体制になりますし、自分がフィットして、気持ち新たに、また一から頑張っていけたらいい」
オフは体の可動域を広げること、投球フォームの見直しに重点を置き、一軍の春季キャンプではキレ味鋭いスライダーを披露。「いいところに曲がったと思う。いいフォームで投げているからこそ、いいボールが投げられている。ツーシームの次に軸になるボールなので、ストライクゾーン率がしっかり上がってこないと、ゲームの中では苦しい場面が増えると思う」と手ごたえを口にしていたが、キャンプ終盤に故障で離脱したことが響いた。4月上旬に実戦復帰したが、一軍昇格の機会が最後まで巡ってくることがなく、退団が決まった。
先発の層が薄い球団は少なくない。実績は十分だけに万全のコンディションを取り戻し、NPBの舞台でもう一度輝く姿を見られるか。
写真=BBM