隔離された智徳寮でリーグ戦観戦

落合は東邦高、立大を通じて主将と、リーダーシップが抜群である。東大1回戦で放ったホームランボールを手に笑顔[写真=矢野寿明]
東京六大学リーグ戦は第5週を終えて立大・落合智哉(4年・東邦高)が打率.450(20打数9安打)でトップに立っている。
立大は7試合を消化しているが、主将・落合は慶大1回戦(9月27日)を欠場した。開幕カード(第2週)の法大2回戦(同22日)で引き分けた(1敗1分)後から部内でインフルエンザが流行し、落合を含む約10人が感染し、戦線離脱を余儀なくされた。台風による中止2日を挟んだ慶大3回戦(同30日)で復帰も、チームは連敗で勝ち点を落とした。第2週の未消化分の法大3回戦(10月7日)も落とし、4敗1分と厳しい戦いが続いていた。
第5週に組まれた東大1回戦(同10日)。六番・落合は初回の左越えの先制満塁弾を含む4安打5打点で、チームを今季初勝利へと導いている。
「法政戦も勝てる試合を落とし、チームとしては悪い雰囲気じゃないですけど『どうやったら勝てるんだろう』みたいなところもあったんです。今日、何とか1勝でき、この後(17日から)の早稲田戦と続くので、そこに向けては良い白星だったかなと思います」
慶大1回戦。埼玉県新座市内の立大の活動拠点である智徳寮で一人、動画を見ていた。
「5日間の隔離期間を早めたいと思っていたんですけど、そこはダメだったので、副キャプテンの丸山(丸山一喜、4年・大阪桐蔭)に『頑張ってくれ』と伝え、代わりにマスクをかぶったキャッチャーの大山(大山陽生、4年・広陵)ともいろいろとコミュニケーションを重ねていました。やはり自分が出たかったので、様々な思いが交錯して見ていました」
東邦高に続いて主将を務める落合は、責任感が強い。
「個人としてはドラフトがありますし、チームとしても良い結果を残さないといけない、個人としても打たないといけない。試合前はなかなか夜、寝られないんです。昨晩も11時にベッドに入ったんですけど、2時まで寝つけなくて……。アドレナリンも出て『明日はやってやるぞ!』と。いろいろな思いをずっと抱きながら、目の前の試合に臨んでいます」
東大2回戦で連勝。落合は4打数2安打と、チームの今季初の勝ち点奪取に貢献した。打撃好調の要因は、徹底したスタイルにある。
「1回戦のホームランは、右方向意識の中で(外角の)変化球をうまく拾えて、引っ掛けるような感じで入ってくれたんです。昨秋、
伊藤樹さん(早大-
楽天)から打った本塁打に近いような感覚に戻ってきたと思います。今春を通じて引っ張りに掛かる悪い癖が出て、打撃を崩していたんですが、慶應戦後の打撃練習で以前の感触をつかみ、良い状態を維持できています」
恩師が明かす強肩エピソード

東大1回戦の初回に先制グランドスラムを放った。リーグ戦通算4号である[写真=矢野寿明]
9月8日にはプロ志望届提出。10月22日にはドラフト会議が控える。今夏の侍ジャパン大学代表には青学大・
渡部海(4年・智弁和歌山高)、亜大・
前嶋藍(4年・横浜隼人高)、立命大・
西野啓也(4年・高知高)、法大・井上和輝(2年・駿台甲府高)の4人が日の丸を背負った。落合は昨年12月の大学代表候補合宿(愛媛・松山)に参加したが、今年6月の同合宿(神奈川・平塚)には招集されなかった。負けず嫌いの落合のハートに火がついた。
「4年生は本当に良いキャッチャーが多い世代なんですけど、スローイングは勝てる自信があるので、そこをアピールしつつ、打率も残していければいいかなと思います。高校時代は、ほとんど盗塁をされた記憶はありません。六大学のリーグ戦でも盗塁阻止率は6、7割だと思うので、そこを武器にやっていけたらと思っています」
東邦高の恩師である山田祐輔監督は、落合の強肩エピソードを明かす。
「相手のスチールを阻止するというよりも、走ってきませんでした。ゲーム前のノックで強いボールを見せれば、確かに仕掛けるのは難しくなると思います。毎年12月末、ウチのグラウンドでOB戦があるんですが、実際に見て、高校時代に比べても精度が上がっています。コントロールが良くなり、強肩ですから、軽く投げても良いボールが行くんです。すべてに一生懸命な選手。残り2カードもチームのために、汗を流してほしいと思います」
山田監督は東邦高、立大を通じて捕手として活躍。東邦高は10月17日からの東海大会に出場する(1回戦で大垣日大高と対戦)。来春のセンバツ出場へ重要な資料となる大一番に向け、教え子の活躍は刺激になっている。高校、大学の後輩にあたる落合へエールを送る。
「最後のリーグ戦なので、迷わず、持ち味である思い切りの良さを前面に出してほしいです。落合の成長した姿を見るのが、私を含めて、後輩たちの励みになっています」
次世代への継承
落合には残る2カード、引退までに最上級生としての「使命」がある。
「下級生が多く出ているので、勝ちに向かう姿勢などを、3年生以下につないでいきたいと思います。3年生には
小林隼翔(広陵高)がいるので、この秋もまだ終わってはないんですが、来年は優勝争いにしっかり絡めるチームになってほしいと思います。彼の活躍次第で、立教が勝つか負けるかが決まってくるぐらい、背負っていかないといけない選手なんです。そこは重圧になるとは思うんですが、現実と向き合い乗り越えるしかないです」
2023年の高校日本代表で主将を務め、今夏の大学日本代表にも名を連ねた不動の遊撃手・小林は今秋、7試合で打率.080と苦しんでいる。先輩・落合からの熱きメッセージを、どう受け止めていくのか。次世代へとバ
トンが渡される「引き継ぎ」から目が離せない。
取材・文=岡本朋祐