先発陣の再編が急務
10月22日に都内で行われる「2026年ドラフト会議」が迫ってきた。
2024年にシーズン91敗、借金42で最下位に沈む歴史的低迷に陥った西武は、わずか2年で79勝60敗4分け、貯金19のリーグ2位へと浮上した。しかし、貯金42を積み上げ、西武に11.5ゲーム差をつけて優勝した
ソフトバンクとの差は依然として大きい。さらなる再建の加速に向け、ドラフト、FA、外国人補強などを通じた選手層の強化が、オフの重要課題となる。
来季の続投が決まった
西口文也監督は、CS敗退が決まった12日、ドラフト会議について「即戦力の投手が欲しいというのはあります」と語り、編成サイドに現場の要望を伝えている。
今オフは、海外FA権を取得した
高橋光成、ポスティングシステムによるメジャー移籍を希望する
平良海馬という先発の2本柱が、そろって流出する可能性がある。両投手の去就次第では先発陣の再編が急務となるだけに、球団はFA市場に加え、大学生の即戦力投手が豊富とされるドラフトでの補強を視野に入れている。
1位指名は即戦力の大学生投手が有力候補となる一方、
山川穂高のFA移籍以降、懸案となっている和製大砲候補の確保も重要なテーマだ。将来性豊かな大型二刀流選手、
菰田陽生(山梨学院高)を含め、目先の戦力補強と将来のチームづくりをどう両立させるのか。西武の1位指名が注目される。
ブルペンに欠かせない存在

高卒2年目の今季は一軍で31ホールドと大きく飛躍した篠原
一方、近年の西武ドラフトで脚光を浴びているのは、上位指名選手だけではない。ドラフト5位で入団した高卒選手たちが、早い段階から存在感を示しているからだ。
平成の西武では、ドラフト3位指名野手のレギュラー定着が目立った。2008年の
浅村栄斗(大阪桐蔭高)、10年の
秋山翔吾(八戸学院大)、12年の
金子侑司(立命大)、14年の
外崎修汰(富士大)、16年の
源田壮亮(トヨタ自動車)はいずれもチームの主力へと成長し、長年にわたってチームを支えた。指名順位だけでは将来の活躍を測れないことを、彼らは身をもって示してきた。
そして令和の西武で、存在感を増しているのがドラフト5位の高卒選手たちだ。
22年のドラフト5位で入団した山田陽翔(近江高)は、3年目の2025年に一軍デビューを果たすと、49試合に登板して3勝1セーブ17ホールド、防御率2.08をマーク。ブルペンを支える存在へと成長した。今季は右肘のクリーニング手術で出遅れたものの、後半戦に戦列復帰。11試合に登板し2ホールド、防御率2.38と、限られた登板機会の中で結果を残した。
24年の
篠原響(福井工大福井高)も早くから頭角を現した。高卒1年目の25年に一軍デビューを果たすと、2年目の今季は中継ぎとしてチーム2位の46試合に登板。3勝1セーブ31ホールド、防御率2.22を記録し、ブルペンに欠かせない存在となった。
その潜在能力に惚れ込んでいたのが、担当の
安達俊也スカウトだった。「将来的に
山本由伸になれるかもしれない素材」と篠原に密着し、獲得に動いた。下位指名ながら、将来のエース候補となり得る素材を見極めたスカウトの眼力が、早くも実を結びつつある。
高卒1年目でファーム首位打者

ファームで巧打を見せ、高卒1年目ながら首位打者に輝いた横田
さらに、25年の
横田蒼和(山村学園高)は今季、ファームで大きなインパクトを残した。90試合に出場して打率.310、5本塁打、51打点を記録し、ファームリーグ・中地区の首位打者を獲得。高卒新人による同タイトルの獲得は、プロ野球史上4人目。パ・リーグでは1992年の
イチロー(
オリックス)以来の快挙となった。
ライオンズジュニア出身でもある横田について、球団関係者は「高校時代から体の強さが目立っていた。長距離打者というより栗山のイメージをもって見ていた選手」とその将来性を見込んでいたことを明かしている。
同関係者は「5位指名の選手が結果を出してくれているのは、彼らの努力の賜物で、こちらが意図したものではない」としながら、「何と言うか、夢を追いたい順位ではありますよね」と近年の5位指名の“偶然”を語る。
上位指名で即戦力を確保するだけでなく、中位・下位指名からも一軍戦力を輩出できるか。選手層の強化が問われる西武にとって、ドラフト5位選手たちの躍進は、選手自身の努力に加え、スカウトの目利きと育成力が結びついた成果と言える。指名順位にかかわらず、将来の主力となる可能性を秘めた選手を発掘できるか。今回のドラフトでも、西武のスカウト戦略に密かな注目が集まる。
文=伊藤順一 写真=BBM