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【2026ドラフト】NPBスカウトが明かす横浜高・織田翔希の「強行指名」の可能性

 

吹っ切れた表情に強い意思


横浜高・織田はNPBを経由せず、MLBに直接挑戦することを表明した[写真=大賀章好]


 横浜高の157キロ右腕・織田翔希が10月15日、横浜市内の同校で記者会見を開き、メジャー挑戦の意向を明らかにした。午前10時。会見冒頭、起立して自らの言葉で話した3分30秒、その表情からは強い信念が感じられた。これまで織田は、節目のタイミングにおける進路についての質問に対して「それは(今は)何も考えられないです」「まだ(決めて)ないです」「まだ(進展は)何もです」と繰り返していた。だが、この日は違った。ようやく、胸に秘めていた思いを語ることができ、吹っ切れた表情に見えた。頭髪も高校3年間の丸刈りではなく、きれいに整えられ、大人の階段を上がっているように感じた。

「まずはじめに、このような場を設けていただき、そして、お集まりいただきありがとうございます。単刀直入に、昨日までの各球団の皆様との面談でもお伝えさせていただきましたが、自分の最終目標である世界一のピッチャー、世界で活躍するという目標に向け、アメリカの地で挑戦することに決めました。このタイミングで行く理由としては、やはり一番の困難である言葉の壁という部分で、若いうちから生の英語に触れることによって、メジャー・リーグに上がった際に自分の意思を、チームにしっかりと意思疎通を図れる、そこが一番かなと思います。横浜高校に入学させていただいて、1年生のころからたくさん監督さんにも試合で経験させていただきましたし、たくさんの舞台で投げてきて、まずは日本一になるんだ、という夢を持って横浜高校に来ました。 チームの仲間にも支えられ、たくさんの方々にも支えられ、最後の最後まで完走することができ、次は世界で絶対に戦いたいという気持ちが芽生えてきました。今の自分がここにいることも、こうして結果を残してきたことも、本当にたくさんの方々の支えがあって、そして横浜高校の関係者皆様もそうですし、家族のみんな、チームメイト、友達、そういった方々への感謝の思いは絶対に忘れずにこれから戦っていきたいなと思っています」

 さらに、こう続けた。

「アメリカ挑戦ですが、マイナーリーグもそうですけど、大学のほうも考えております。小さいころはNPBを夢見て、本当に素晴らしい球団もありますし、そこでプレーをしたいという思いがありましたが、本当に横浜高校で素晴らしい舞台で活躍することができて、さらに上の舞台で活躍したいなと思えるようになって考えました。今までやってきたことは本当に高いレベルでやってこられたなと思っていますし、やってきたことは間違ってないなとも感じています。どの道に行ってもやるべきことは変わらないですし、自分が頑張って上を目指していくことには変わりがないと思っているので、そこは横浜高校で培ってきたこともそうですし、たくさんの方々の思いも背負って、アメリカの地で挑戦したいなと決断しました」

全力でどこまでも応援


会見で決意表明する織田。左横にいる村田監督は「後押し」を約束した[左端は高山大輝部長][写真=大賀章好]


 3年間、育成してきた横浜高・村田浩明監督はすぐ横で、織田の言葉を聞いていた。時折、うなずいているのが印象的であり、次のステージへと送り出す父親のようだった。

「皆様、本日はこれだけの方々が織田翔希のために来ていただきまして、本当にありがとうございます。 今、織田翔希の方から話がありました。これがすべてです。私は教育者でもあり、そして18歳の子どもたちの夢を後押しする、もうそのことしかできません。今日、このような形で織田がしっかりとコメントしてくれたこの日を迎えるにあたりまして、とてつもない時間をともにいろいろ相談しながら、悩みながら、時には喧嘩しながら、答えを出したのが今の答えです。われわれスタッフもそうですし、支えてくださったすべての方々、そしてマスコミの方々、これから出会う方々、たくさんの方々と出会って、これから織田翔希、大きくなっていくと思いますけども、彼が決断したこの進路、僕は全力でどこまでも応援したいと思いますし、そういう心をみんな持って送り出したいなと思っておりますので、どうか織田翔希をこれから応援してもらえたらなと思います」

1位に穴を開けられるか


10月15日の会見には40社90人の報道陣。注目度の高さを見せた[写真=大賀章好]


 相当な覚悟である。18歳の決断を、NPB球団はどう受け止めるのか。10月22日のドラフトまで1週間。焦点は一つに絞られた。つまり、指名を回避するのか、それとも強行指名に踏み切るのか。ドラフト1位での入札を検討しているチームは「判断」を迫られる。

 ある球団のスカウト部門幹部は「一般論」として語った。

「本人の意思は尊重したいですが、球団にとっては、ドラフト戦略に関わってくる問題。何年に1人かの投手です。我々からすると、残念です。強行指名? それは、まだ分からないです。1位はこれから絞り込んでいくことになります」

 別の球団の編成幹部も口を開いた。

「本人の希望であれば仕方ない。多様性の時代でもあるので……。私たちでは、どうしようもコントロールできないですから」

 強行指名の可能性は、どれほどなのか。ある球団の幹部も「一般論」として言った。

「良い素材なので(強行指名するかは)、1位指名を検討する余地はありますが、当然、リスクも伴う。戦力に余裕のあるチームはともかくとして、ドラフト1位に穴を開けるわけにはいかない。昨年のスタンフォード大・佐々木麟太郎選手の例もありますが、最終的にはMLBに進みました。無茶はできないかなと思います」

 2012年にはメジャー挑戦を表明していた花巻東高・大谷翔平を日本ハムが強行指名。粘り強い交渉を経て、入団へとこぎつけた。本人が望んでいた投打二刀流を実現させ、NPBで結果を残した上で、海を渡った。MLBでの活躍は説明するまでもなく、パイオニアとなった。つまり、織田が将来を見据える「世界で活躍する」という目標を実現させた。この成功事例を、織田に当てはめることはできるのか――。

織田の後を追う選手は続くのか


 強行指名の可能性はゼロではない。10月11日から4日間、NPB12球団との面談があった。村田監督も同席しての約30分。各チームは織田の評価を伝え、球団理念などを説明する貴重な場となったという。ある球団の編成幹部は明かす。

「面談でのやり取りの中で、交渉次第では入団してくれるという手応えがあるチームは、獲得を目指すかもしれません」

 織田はNPBを経由せず、MLBに直接挑戦する道を選んだ。甲子園で活躍し、全国的に知名度のあるNPBドラフトの「超目玉」が高卒でMLBと契約すれば、初のケースとなる。今後の日本の有力選手の進路に、大きな影響をもたらす可能性もあるが、ある球団のスカウト幹部は「限定的」であるとの見解を示す。

「今後も織田投手のようなケースが続く? それは、どうですかね……。今回のようなルートでMLBでの成功例が出れば話は別ですが……。実際、NPBを経由してMLBで結果を残しているケースがほとんどであり、日本の多くのアマチュア選手も、そういう認識を持っていると思います。現実的に、甘い世界ではありませんから。実際、メジャー・リーガーに言わせれば、日本で学びたい、勉強したいと希望する選手も多いと聞きます。日本に素晴らしい環境があるのになぜ、アメリカを選ぶのか、疑問を呈する声もあります。今後、NPBを経由せず、渡米する選手、アメリカで挑戦したい選手がそこまで増えるとは思えません」

 この日の織田の会見は15分。新聞、テレビから各1社の代表質問のみで終わった。決意表明の場に終始。最大の関心事、NPBドラフトで指名があった場合についての質問は出なかった。つまり、今後の対応については不透明。学校関係者によれば現状、10月22日のドラフト会議当日、織田の対応は予定されていない。NPB球団は夢を追う18歳の意思を尊重するのか。それとも将来的に「世界で活躍する」ためのサポートを丁寧に説明する長期戦を覚悟の上で、ドラフトでの交渉権獲得を目指すのか。会見での織田、村田監督の言葉を聞く限り「MLB挑戦」を覆すのは、難しそうにも映る。ドラフトまで6日、その判断を迫られる。
週刊ベースボール編集部

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