チームに吹き込んだ新風

2年目の今季、36盗塁をマークするなど飛躍を果たした浦田
巨人は
阪神との熾烈な優勝争いを繰り広げたがあと一歩及ばず、CSでもファーストステージで
DeNAに2連敗で敗退。悔しい結果となったが、収穫もある。野手陣で大きな光が、今季ブレークしたプロ2年目の
浦田俊輔だ。
リーグ2位の36盗塁をマークした俊足で、チームに新風を吹き込んだ。足が速いだけでなく、状況判断に優れた走塁でチャンスメークする。「球場によって足場が違うので、その部分は変わってくるんですけど、やっぱり一歩目ですね。スタートを切った一歩目で、『これは行ける』『これはまずい』というのはだいたい分かります。この場面で走ってはいけないというときはもちろんあるんですけど、積極性は消したくない。難しいんですけど、自分で行けると思ったときには行っています。あのアウトも紙一重な部分もあるので、自分の積極性はつぶしたくない。そこは揺るがないですね」と週刊ベースボールのインタビューで、走塁についてのこだわりを語っていた。
課題の打撃も5月以降に3カ月連続で月間打率3割をクリア。広角にヒットゾーンにはじき返し、118試合出場で打率.271は十分に合格点をつけられる。9月14日のDeNA戦(横浜)でフライにダイビングした際に右肘を強打して戦線離脱し、CSに間に合わなかったが、全力プレーの代償で致し方ない部分がある。大学時代は遊撃を守っていたが、二塁で好守を何度も見せたことは自信になっただろう。
「セカンドの守備に関しては慣れてきたこともあって、まだまだですけど昨年よりは守れてきたなと思います。“昨年よりは”ですけど。昨シーズン、初めてセカンドを守らせてもらって、正直に言えば慣れない部分が多かったです。いつも川相さん(
川相昌弘、ディフェンスチーフコーチ)にハンドリングだったりの指導を受けているんですけど、キャンプからの積み上げもあって、昨年よりは自信がついてきたかなと思います」と手ごたえを口にしていた。
7年ぶりに100試合以下の出場

コンディションが万全ではなく、思うような成績を残せなかった吉川
浦田が台頭した背景に、正二塁手だった
吉川尚輝が出遅れた事情があった。昨オフに両股関節を手術し、今年はリハビリ組からのスタートに。4月下旬に一軍昇格したが、大手術から復帰し、コンディションが万全でないように感じた。打撃で試行錯誤し、7月下旬に左太もも裏の肉離れで離脱。7年ぶりに100試合を割る52試合出場にとどまり、打率.241、1本塁打、11打点に終わった。
試練のシーズンとなったが、CSで意地を見せている。一番に抜擢された第1戦(東京ドーム)で、1点を先制された直後の初回に左翼フェンス直撃の打球で二塁に滑り込むと雄叫びを上げた。一死三塁となり、
泉口友汰の一ゴロで同点のホームを踏んだ。同点の6回も右前打で出塁し、チーム唯一のマルチ安打。第2戦も一番で2試合連続マルチ安打を記録したが1対4で連敗し、悔しさを押し殺した表情でスタンドに向けて深々と頭を下げていた。
セカンド守備に対する思い
浦田の台頭で「不動の二塁手」という立ち位置ではなくなっているが、コンディションを取り戻せば、まだまだチームの主力として輝ける選手だ。2024年にゴールデン・グラブ賞を受賞した二塁の守備は球界トップクラスと評価が高い。吉川は二塁の守備に対する思いを週刊ベースボールのインタビューで明かしている。
「セカンドの難しさでもあるんですけど、ゲッツーでの逆の動きとか、面白さというより地味かもしれないですけどカバーリングとか、セカンドはやらないといけないことが多くあります。年に一回あるかないかの暴投に対するカバーだったり、そういうことの積み重ねですね。動き続けるのが仕事ですし、それによってランナーが次の塁に進むのを止めればチームの助けになる。その積み重ねというのは大事にしています」
「ゲッツーはみんながたくさん練習していますし、たくさん練習すれば誰もがうまくなります。でも、カバーリングというのは自分の意識の問題だと思うので。そうしたことを大事にしながら、プロに入ってからはほぼほぼセカンド一本でやらせてもらっているので、長く守れるようにはしたいですね」
V奪回を狙う来季は二塁のポジションを巡り、吉川と浦田の熾烈な争いが繰り広げられる。浦田は遊撃を守れるため、泉口友汰も定位置を保証されているわけではない。二遊間のハイレベルな競争がチーム力を引き上げる。
写真=BBM