成功体験を重ねて自信に

[写真=BBM]
10月17日
帝京大4x-3武蔵大(帝京大1勝)延長10回
首都大学秋季リーグ戦・第7週1日目。帝京大のエースとして1回戦の先発を任され、前週までリーグ3位の防御率1.52をマークしている山口明士(3年・宇部鴻城)。ここまでは白星に恵まれていないが、今季初勝利を目指して、武蔵大1回戦に先発した。
初回、いきなり二死満塁のピンチを迎えたが三ゴロに抑え、無失点の立ち上がりだった。
「今春は抑えをやっていてピンチの場面で投げることが多かったので、ギアは上げるのですが、精神的な部分はほとんどブレることなく投げることができています。実は、抑えを始めた頃はメンタルが弱かったのですが、成功体験を重ねてきたことで今はピンチでも打たれない自信がありますし、自分はランナーを背負ってからが強い投手だと思っています」
4回表には無死一塁からフォークで空振り三振を奪うと、捕手の田中慶至(2年・日本学園)がワンバウンドの投球をしっかりとキャッチして二盗を刺し、三振ゲッツー。さらに次打者もワンバウンドのシンカーで2者連続の空振り三振に仕留めた。
「夏のオープン戦が終わる頃からシンカーを投げ始めたのですが、相手が打ってこなそうだったら横に曲げてカウントを取り、ストレートを待っていそうだったら下に落として空振りやゴロを打たせるようにしています」
フォークはシンカーよりも球速が速いのが特徴で「落ちる幅を小さくすることでカウントを取るボールにも使えます」と落ち球だけで実質4種類の変化球を操っている。また、この試合では自己最速となる149キロを記録。
「150キロが投げたいと思っているので、もっと力を入れておけばよかったです(笑)。ただ、指に掛かった良いボールだったと思います」
ストレートの球威が増したのは齋藤貴志コーチの指導の賜物と振り返る。
「以前はなでるような投げ方だったのですがキャッチボールから投げ方を変え、189cmの長身をいかして上からたたくようになったことで6月頃から良いストレートが投げられるようになりました。そのおかげでインコースを使えるようになりましたし、高めの胸元にも投げるようになったので、落ちるボールがさらに効果的になりました」
6回表も一死一、三塁のピンチをしのいだが、7回表は内野陣にエラーが重なり3失点。「最後まで投げたかったのですが、後ろにも良いピッチャーがいるので、ベンチではずっと声を出していました」とこの回で降板となった。
チームは9回裏に牧原賢汰(2年・日大藤沢高)の適時三塁打で追いつき、延長10回裏に相手のミスで1点を挙げ、4対3でサヨナラ勝ちを収めている。山口に白星は付かなかったが「勝てないのは自分に原因があるから。今のブルペンには自分の1学年下の浅井晴翔(2年・智弁学園)や近藤孝栄(2年・大宮東)が入っているのですが、もっと楽に投げられるように良い流れでつなげられるようにしたいです」と口にしている。
今秋から先発に配置転換
2年春にリーグ戦デビューを果たした山口。今春は抑えを任されて9試合に登板。通算で10回1/3を投げて14三振を奪い、武蔵大2回戦では8回からのタイブレークを含む3イニングを1失点に抑えてリーグ初勝利。夏のオープン戦では先発として起用されて5〜6回を投げ、今秋のシーズンからは先発に配置換えとなった。
「抑えは印象に残りますし、めちゃくちゃカッコいいポジションだと思っています。先発はそこまで気負わずに投げられますし、1回表のまっさらなマウンドに立つのは気持ちがいいです」。この夏は投げ込みにも励んできた。
「指先の感覚をなくしたくなかったのと、連戦でも投げられるスタミナを付けるためにほぼ毎日60〜100球くらい投げ込んでいました。そして、テーマを立てて、キャッチャーとそのテーマを確認しながら投げることで、考えて投げるようになりました」
フォーム面については「体が前に突っ込んだり、開いてしまったりするところがあるので気を付けています。試合になると、ベンチの齋藤コーチがジェスチャーで伝えてくださるので、それを見て注意するようにしています」と話す。帝京大・唐澤良一監督も「落ちる球を持っていて、ストレートは打者の手元で強い。だから、スピードガンの表示よりも威力があるんです」と評価している。現在は3年生だが「社会人野球に進んで、プロを目指したいです」と、目標を語る山口。成長著しい長身右腕の今後も見逃せない。
取材・文=大平明