8月には月間MVPを受賞

来日2年目の今季は、昨季の4勝を上回る7勝を挙げた
工藤公康新監督が就任した
中日で、来季の去就が注目される助っ人左腕が
カイル・マラーだ。
身長201センチの長身から150キロを超える直球を投げ込むが、パワーピッチャーではない。カットボール、
ナックルカーブ、ツーシーム、スライダー、チェンジアップと多彩な変化球を操って凡打の山を築く。来日2年目の今季は19試合登板で7勝8敗、防御率2.69をマーク。夏場以降は登板を重ねるたびに安定感が高まり、8月に月間MVPを受賞した。
「夏場の奮闘にご褒美が待っていました。8月度の月間MVPを受賞できました(先発5試合で3勝1敗、防御率0.84)。キャッチャーや守ってくれた野手、攻撃もたくさん点を取ってくれた。あとはこの日本のファンの方もすごくいい形で応援してくれましたし、そういったことを考えると、自分一人だけじゃなくて、チームとして受賞したのかなと思っています。毎試合、自分自身でプランを考えていくんですけど、実際に投げて、相手の反応を見て、弱点だったりを把握して、対応されるまではそこに投げ続けるということをしていました。それが今回のいい結果につながったのかなと思っています」と週刊ベースボールの取材で振り返っていた。
野手顔負けの打撃も大きな魅力
セ・リーグは来季から指名打者制が導入されるが、野手顔負けの打撃も大きな魅力だった。5月20日の
阪神戦(甲子園)で、6回二死一塁から
石黒佑弥の直球をとらえた打球は左翼席へ一直線で飛び込んだ。
来日初アーチに「打った感触はすごく良かったけど、入るかどうかは微妙だった。バット投げをすることはできなかったけど、あとで映像を見たら本当にフェンスを数メートル越えたぐらいの当たりだったので、本当に入って良かった。最後のホームランは2016年の高校時代かな。アメリカ(メジャー時代)でも強い打球が飛ぶ打席は何回かあったけど、ホームランにはなっていなかった。左投げで右打ち。僕はお父さんから野球を教わった。お父さんが右打ちだったから、『打席の位置はここだよ』と教わっていた。そういう形でバッティングを教えてもらったのが始まりなんだ。とにかく本当にうれしかったよ」と明かしている。

9月14日の阪神戦ではバックスクリーンへ2号2ランをたたき込んだ
投打で強烈なインパクトを残した9月14日の阪神戦(甲子園)の活躍も忘れられない。変化球を低めに集めて自身のキャリアで初の完封勝利を飾ると、打撃でも5回に甲子園のバックスクリーンへ2号2ラン、9回も左翼への2点適時二塁打と4打点の大暴れ。初完封勝利を飾った試合で本塁打を打った投手は、1987年7月8日の
桑田真澄(
巨人)以来39年ぶりの快挙だった。
メジャー復帰で活躍ケース増
マラーはNPBの他球団からだけでなく、メジャー球団の注目度も高い。日本で経験を積んだ投手がメジャーに復帰して活躍するケースが増えているからだ。昨オフに巨人からナショナルズに移籍した
フォスター・グリフィンは先発ローテーションで稼働し、シーズン途中にガーディアンズに移籍。2球団で計15勝を挙げた。
DeNAからホワイトソックスに移籍した
アンソニー・ケイは5年ぶりのプレーオフ進出の立役者に。33試合登板で10勝9敗、防御率4.44と奮闘した。
ヤクルトに昨年のみ在籍し、3勝11敗と大きく負け越した
ピーター・ランバートも新天地のアストロズで飛躍のシーズンに。29試合登板で8勝10敗、防御率3.82と期待以上の成績を残した。
マラーは中日への愛着を口にしているが、メジャー球団からオファーが舞い込んだ場合は熟考することになるだろう。制球難が課題だったが中日で大幅に改善され、走者を出しても投球の精度が落ちない。NPBで投手タイトルを狙える水準に到達している。最下位に低迷した中日は
高橋宏斗、
金丸夢斗、
大野雄大、
柳裕也と先発陣に力のある投手がそろっているが、マラーが抜けると大きな痛手になる。来年も中日のユニフォームを着て、マウンドに立つか。決断が注目される。
写真=BBM