選手に求められる意識改革

8年目の今季も一軍で結果を残すことができなかった根尾
今、最も注目度が高い球団が
中日だ。今年は最下位に低迷し、チーム再建に向けて
工藤公康新監督が就任した。
長年続いている低迷期からの脱却へ、選手たちは意識改革を求められている。工藤監督は就任会見で、「どんな選手になってどんな活躍がしたいか、そのためには何をしなくてはいけないかということを考えるのが僕の仕事です。強制的にああしろ、こうしろということは今の時代において監督の仕事ではないと思っていますので、決して強制するつもりはありませんが、足りないものはしっかりと身につけてもらわなければいけない。失敗したことを悔やむより、失敗した経験をして、次に何を学ぶのかというところが大事だと思います。失敗しない人間なんていないです。だからこそ前をしっかり向けるように選手に話をしていきたいと思っています」と語っている。
失敗した経験をして、次に何を学ぶのか――。伸び悩んでいる選手たちにとっては、監督交代は自身の野球人生を変える転機と言える。ドラフト1位で入団して8年目を終えた
根尾昂も野球人生の分岐点を迎えている。
課題は良い球を投げる再現性
大阪桐蔭高では「投打の二刀流」で活躍し、甲子園で3度の全国制覇を達成。4球団競合の末にドラフト1位で入団したが、その後は伸び悩んでいる。遊撃、外野、投手転向とポジションが変わり、首脳陣は可能性を探ってきたが一軍に定着できない。今年は4月8日の
DeNA戦(横浜)でプロ初勝利をマークしたが好調を持続できず、防御率5.00で5月4日に登録抹消。ファームリーグでも29試合登板で0勝3敗1セーブ、防御率7.86と結果を残せなかった。
大きな課題は良い球を投げる再現性だ。150キロ近い直球、スライダー、フォークがきっちり制球されればアウトを積み重ねられるが、明らかなボール球が目立つマウンドではカウントが苦しくなり甘く入った球を痛打される。状態が悪いなりに抑えられなければ、首脳陣の信頼をつかみ取れない。工藤監督の
ソフトバンク監督時代には育成枠で入団した
千賀滉大(現メッツ)、
石川柊太(現
ロッテ)が先発ローテーションで一本立ちしている。根尾を見てどう感じるか。
名将との出会いが転機となったスラッガー

楽天で“考える野球”を学び、39歳で本塁打&打点のタイトルを獲得した山崎
監督との出会いが野球人生の大きな転機になった選手がいる。中日OBで現役時代に通算403本塁打をマークした
山崎武司氏だ。キャリアをたどると、遅咲きのスラッガーと言える。規定打席に初めて到達したのはプロ10年目の96年。39本塁打で自身初の打撃タイトルを獲得した。その後は
オリックス、楽天でプレーし、2007年に43本塁打、108打点で2冠王に。39歳で本塁打王、打点王獲得は、40歳で両タイトルを獲得した
門田博光氏(元南海ほか)に次ぐ歴代2位の遅い記録だった。
山崎は週刊ベースボールのインタビューで、監督との出会いが本塁打量産の要因になったことを明かしている。
「田尾さん(
田尾安志、初代楽天監督)に軸足重心の打撃指導を受けたことは大きかったかな。それまでは前さばきで打っていて、軸足に体重を乗せることなど考えたこともなかった。前さばきだと変化球の対応ができなくなるぞ、ボールは必ず来るんだから自分のポイントで待って振れと。どうせ1年限りと思っていたから、素直に受け入れたらうまくいってね。スタンスも狭くなるから突っ込まなくなり、ボールをつかまえやすくなった」
「それにやっぱり野村さん(
野村克也、2代目楽天監督)の教えで考えるようになりました。三振を怖がっていたけど、野村さんは理由があるなら別にいい、次につながる三振なら構わないと。そうなると考える。考えての三振だから、昔みたいに“嫌な”三振がなくなった。だから最初のホームラン王は来た球を打っていただけだけど、この年はちゃんと状況、配球を頭に入れて狙い球を絞り、考えて打ったホームラン王かな」
工藤監督がフォーカスされるが、グラウンドでプレーするのは選手たちだ。1人でも多くの選手が一軍の舞台で台頭することが、チーム力の底上げにつながる。根尾の覚醒に期待したい。
写真=BBM