あと一本から5打席無安打

法大は東大2回戦で連勝。全日程を終え、エール交換では主将・藤森が涙を流した[写真=矢野寿明]
あと一本、届かず……。あらためてヒットを打つ難しさを痛感した。
法大の主将・
藤森康淳(4年・天理高)は東大との最終カードを通算98安打で迎えた。
東京六大学リーグ史上35人目の100安打まであと2本。法大としても史上5人目の快挙がかかっていた。
先勝した東大1回戦(10月25日)は4打数無安打。重圧で思い描くスイングができなかった。迎えた2回戦(同27日)で連勝すれば、このゲームが学生ラストゲームとなる。1回表の第1打席で中前打。あと一本としたが、第2打席以降は左飛、四球、二ゴロ、遊ゴロ、投ゴロと神宮のスコアボードで自身100回目の「H」ランプを灯すことができなかった。6打席で5打数1安打。
感涙のエール交換

法大の主将・藤森は東大2回戦のエール交換後、大島監督[右]から労われた[写真=矢野寿明]
チームは20安打15得点で快勝。一番・中堅の藤森は通算99安打で4年間8シーズンの戦いを終えた。試合後は両校のエール交換。主将・藤森は感極まった。すべてを出し切った上での結果に、後悔はないはずだが……。一連のセレモニーを終えると、4年間、指導を受けた法大・
大島公一監督とガッチリと握手。指揮官はこの1年間、チームをけん引してくれた背番号10のキャプテンの尽力を労った。
当事者にしか分からない重圧

昨秋まで早大でプレーしたトヨタ自動車・尾瀬は社会人で背番号99を着けている[写真=矢野寿明]
あと一本を打つ難しさ。昨秋まで早大不動の一番打者として活躍した
尾瀬雄大(トヨタ自動車)も、この現実と向き合った。通算99安打で卒業。社会人野球では自ら背番号「99」を選択した。ヒットへのこだわりを数字で示し、人生の教訓としている。尾瀬は大学4年時にプロ志望届提出も、名前が呼ばれず、来年は大卒のドラフト解禁年である入社2年目を迎える。再びプロを目指して、10月31日に開幕する社会人日本選手権でアピールを続ける。
藤森は東大1回戦後、以前から親交のあった尾瀬に連絡していた。当事者にしか分からないプレッシャー。相談に乗ってもらうだけで、心が落ち着いたという。東大2回戦。尾瀬は心から応援していたが、その願いも通じなかった。藤森は10月22日のドラフトで
ソフトバンクから4位指名を受けた。「99安打」を真摯に受け止め、次なる舞台への糧にする。
取材・文=岡本朋祐