自己管理能力の高さ

高卒1年目ながらファームで首位打者に輝いた横田
高卒1年目でファーム・リーグ中地区の首位打者に輝いた
西武・
横田蒼和が、来季の一軍昇格を目指す。チームの未来を明るく照らすドラフト5位ルーキーは、1年目から確かな結果を残した。
今季はファームで90試合に出場し、打率.310、5本塁打、52打点をマーク。高卒1年目での首位打者獲得は史上4人目で、パ・リーグでは1992年の
オリックス・
鈴木一朗以来、2人目の快挙となった。
小関竜也ファーム監督は「体力はあるほうだと思います。試合に出しっぱなしではなく、多少休ませたり、練習やトレーニングをやる日を作ったりしていたんですけど、それでもへばることなくやってくれた。逆に終盤に向けて打率を上げてきました」と1年間の成長を評価する。
高卒1年目の選手にとって、シーズン終盤までコンディションを維持することは簡単ではない。疲労が蓄積する中でも結果を残したことは、横田の体力だけでなく、試合に向けた準備や自己管理能力の高さを示している。
自ら考えて取り組む姿勢
技術面でも、自ら考えて取り組む姿勢が結果につながった。小関監督は「今年に関しては、彼の技術的なところは触っていません。基本的には自分で考えてやっていった中で、いい感じで打てていた。多分、自分の中で何かいい感覚があったんだと思います」と説明する。
指導者から一方的に答えを与えられるのではなく、自分の感覚を確かめながら打撃を組み立てていった。プロ入り直後から自分の課題を見つめ、試行錯誤を重ねたことが、首位打者という結果につながったといえる。教えられたことを実行するだけでなく、なぜうまくいったのか、何を変えるべきなのかを自分で考えた経験は、今後の成長においても大きな財産になる。
一方、本人はシーズン中、打撃について「打ち方が毎日変わってしまう。感覚がその日によって変わってしまうので、いい感覚を毎日なるべく続けられるようにしていきたい」と語っていた。首位打者を獲得したとはいえ、本人はまだ打撃の完成度に納得しているわけではない。
追い込まれてからの対応については「高校のときからやっていました。バットを短く持って、逆方向を意識しています」と説明しており、状況に応じて打ち方を変える意識はすでに身についている。今後は、相手投手や試合展開に応じて自分で判断し、その場で最適な打撃を選択する能力が求められる。首位打者という実績に満足せず、結果の要因を自分なりに分析し、次の打席に生かすことが重要になる。
起用の幅を広げるために
セールスポイントである打撃をさらに伸ばすためには、一軍にいる時間を確保し、実戦の中で経験を積む必要がある。そのために欠かせないのが、守備の汎用性だ。今季は三塁からスタートし、遊撃にも挑戦。10月のフェ
ニックス・リーグでは二塁を守った。小関監督は「バッティングが今後もっと伸びていって、ここから一軍に挑戦していくというときに、やっぱり、どこでも守れたほうが起用の幅も広がる」と狙いを明かし、今後は一塁守備にも挑戦する可能性を語った。
内野の全ポジションを守れるようになれば、ベンチ入りの可能性も高まる。打撃を生かすためにも、守備力の向上は重要な要素となる。
守備での対応力が高まれば、一軍でベンチ入りする機会が増え、打席に立つチャンスも広がる。代打での途中出場から一軍の舞台に適応し、限られた出場機会で持ち味を発揮するためにも、複数ポジションを守れることは大きな武器になる。打撃を伸ばすために一軍にいる時間を確保し、その土台として守備を磨く。この意識が、横田の成長をさらに後押しする。
大きな可能性を秘めた19歳が、2年目の来季にどのような飛躍を見せるのか。ファーム首位打者という結果を起点に、打撃を生かすために守備の汎用性を磨く。早い段階での一軍戦力を目指す横田の挑戦は、ここから本格的に始まっていく。
文=伊藤順一 写真=BBM