チームの命運を握る選手

今季は90試合出場と納得いかない成績に終わった岡林
今月2日から高知・春野で始まった
中日の秋季キャンプ。
工藤公康新監督の一挙手一投足が注目されているが、グラウンド上でプレーするのは選手たちだ。悔しさを糧にはい上がれるか。チームの命運を握る選手の一人が、
岡林勇希だ。
「一番・中堅」でチームを引っ張ってきた。昨年は12球団唯一の全試合フルイニング出場を果たし、打率.291、5本塁打、35打点をマーク。自身2度目の最多安打、3度目のベストナイン、2022年から4年連続となるゴールデン・グラブ賞を受賞した。ただ、向上心旺盛な若武者に満足感はない。週刊ベースボールの取材で以下のように振り返っている。
「開幕からすごく良い状態でできていたけど、オールスター明けが良くなかった。疲れとかもありますけど、ズレが大きくなっていった。そこを修正できなかった。でも、夏場に落ちてから、早出とかで打ち込めたし、そこで良い調整ができた。いろいろな調整方法をコーチにも教えてもらったし、そこは26年につながると思う。最後、良い状態でシーズンを終われたのは良かった。チームも最下位からは抜けたけど、目指すのはAクラス。もっともっとチームを引っ張っていきたいし、自分の成績が上がればチームの成績も上がる。26年は球団創設90周年なので優勝目指してやっていきたいと思います」
守らなければいけない伴侶ができた。昨年12月上旬の契約更改交渉で会見を行った際に結婚を発表。
井上一樹前監督から野手のキャプテンを託され、「これからは自分がチームを引っ張らないといけない。自分と(投手キャプテンの)宏斗が試合に出始めてから、ずっと順位はBクラス。その事実がすごく悔しい。4年も試合に出してもらってきた中で、今度は自分たちが引っ張らないと…誰が引っ張るんだ、という思いです」と決意を口にしていた。
大きな試練に見舞われた今年
だが、今年は大きな試練に見舞われた。開幕して間もなく「右太もも裏の肉離れ」で戦線離脱。リハビリ期間を経てファームでの実戦復帰を回避して2カ月後に復帰したが、患部近くを痛める悪循環に。6月は月間打率.328と好調も、夏場以降は打撃不振が長引いた。指定席だった一番の打順は
福永裕基に奪われ、中堅の守備位置も
上林誠知やドラフト6位ルーキーの
花田旭に譲る日々が続き、ベンチで悔しさをにじませていた。
90試合出場で打率.231、3本塁打、19打点、2盗塁。レギュラーに定着した22年以降で自己ワーストの成績に終わり、71安打で5年連続100安打に届かなかった。チームも最下位に低迷したが、存在感を発揮した試合もあった。「七番・中堅」でスタメン出場した9月8日の
巨人戦(東京ドーム)。2回二死満塁のピンチで、
戸郷翔征が放った右中間への大飛球に、前進守備から最高のスタートを切り、落下点まで最短距離で追いつくと倒れ込みながら好捕。抜けたら3点を失う危機を救い、満面の笑みで出迎えた先発の
柳裕也に抱き締められた。4回二死一、二塁では戸郷の146キロ直球を右翼席に運び、3対0で快勝。攻守にわたる大活躍に、試合後は安どの表情を浮かべていた。
定位置を確約されていない立場
中日のスター選手として活躍してきたが、定位置を確約された立場ではない。上林はFA権を行使する可能性があり去就が不透明だが、花田はプロ1年目の今季47試合出場で4本塁打とパンチ力をアピール。さらに、今秋のドラフトで社会人野球を代表する外野手・
柴崎聖人(王子)を2位で指名した。昨年の都市対抗では2試合連続本塁打を含む打率.333の活躍で若獅子賞に輝き、21年ぶりの優勝に大きく貢献。走攻守3拍子そろったプレースタイルで、プロ1年目の目標に「新人王」を掲げている。
岡林はプロの世界で7年間プレーし、タイトルを獲得した実績がある。熾烈な競争となるが、定位置を譲るつもりはない。来年を最高のシーズンにするため、秋季キャンプでは限界まで自分を追い込む。
写真=BBM