週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

メジャーで2年連続2ケタ勝利 来年の去就が注目される「日本球界を代表する右腕」は

 

ゲームメーク能力は健在


2年連続メジャーで2ケタ勝利を挙げた菅野


 37歳と全盛期は過ぎたが、ゲームメーク能力はまだまだ健在だ。メジャー挑戦2年目のロッキーズ・菅野智之は今季29試合の先発登板で12勝12敗、防御率5.37。シーズンを通じて先発で稼働し、154回1/3を投げた。

 ロッキーズの本拠地・デンバーは標高1600メートルの高地で空気が薄いため、打球の飛距離が伸びる。投手の投げる球も気圧の影響を受けて平地よりも操るのが難しいと言われる。投手不利と評される球場で、菅野は対策を講じた。高地の影響を受けにくいとされるスプリットを多用し、ジャイロ系のスライダーを習得。「(投手不利と)考え過ぎてピッチングをすると、どうしても苦しい。スプリットとか今年覚えたスライダーにフォーカスしてここまでやっている。なるべく言い訳しないように心掛けている」と語った。

 工夫を凝らしながらも、150キロ前後の直球にスライダー、スイーパー、カットボール、カーブ、シンカーと多彩な変化球を抜群の制球力で投げ分ける投球スタイルがベースにある。「日本と違ってアメリカはデータの量が多いし、(後半に球種を)取っておこうという考えはない。全球種を使っていかないと抑えられない」。初回からすべての球種を操り、全力で抑える登板を積み重ねた。

心身ともにタフであることも強み


 現地時間7月31日の本拠地・ロイヤルズ戦の投球が印象的だった。激しい風雨のため試合開始が1時間遅れたが、立ち上がりから安定した投球を続けた。初回を三者凡退に抑えると、2回は先頭を安打で出したが三ゴロで併殺に仕留める。次の打者に三塁打を浴びたが無失点で切り抜けた。3回から5回まではひとりの走者も許さない。6回二死からカーター・ジェンセンに本塁打を喫したが、7回二死まで投げて1失点。移籍1年目を超える11勝目をマークした。6月2日のエンゼルス戦から勝敗なしの1試合を挟んで7連勝。シーズン途中にポストシーズン進出を目指す球団への移籍候補と報じられたが、最終的には話がまとまらず、ロッキーズで1年間プレーした。

 37歳右腕の強みは投球技術だけではない。心身ともにタフであることだ。今年は侍ジャパンのメンバーでWBCに出場。2017年以来となる「JAPAN」の戦闘服に袖を通した。「僕は一度も、日本一にも世界一にもなったことがない。(世界一になれば)きっとすごい景色が見えるんだろうなって思っているので、なんとか力になれるように、しっかりやっていきたい」と覚悟を口にした右腕は、1次ラウンドの第3戦・豪州戦(東京ドーム)に先発登板して4回4安打無失点の快投。「組み立て通りの投球ができたので、こういう結果になったと思います。(豪州は)勝てば次の準々決勝に進めるということで気合を入れてくると思っていた。立ち上がりをゼロに抑えることだけを意識していました」と試合後の公式会見で振り返った。

 侍ジャパンは準々決勝・ベネズエラ戦で逆転負けを喫したが、菅野にとっては野球人生の大きな財産になる大会だった。シーズンでも故障で離脱することなく、先発できっちり結果を残したことは大きな価値がある。

日本球界復帰の選択肢も


 メジャーで2年連続2ケタ勝利は立派な成績だが、来季の去就は不透明だ。MLBの現行の労使協定は、12月1日23時59分に失効する。合意がなければ、ロックアウトに突入し、すべての契約交渉が中断される。例年と違う状況となるため、メジャーでプレーを希望しても来季の移籍先が決まるまでは時間がかかるとみられる。37歳という年齢を考えると、日本球界復帰の選択肢も出てくるだろう。古巣の巨人は松井秀喜新監督が就任し、新たなスタートを切った。先発陣の補強に向け、菅野が戻ってくれば最強のピースになる。

 ただ、メジャーで2年間プレーして大きな手ごたえをつかんでいることも間違いない。イニングイーターとしての力は証明されており、先発4、5番手で獲得に乗り出す球団が出てくる可能性がある。来季はどのチームのユニフォームを身にまとい、マウンドに立っているだろうか。

写真=Getty Images
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング