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【東京新大学野球】2人合わせて145歳。元プロの指導者コンビが学生野球で挑戦する理由

 

一部昇格へ2度目の挑戦


日本ウェルネススポーツ大東京は高浦監督[右]と古屋ヘッドコーチ[左]を中心に指導している[写真=BBM]


 東京新大学野球連盟は一部から四部まで各6校、計24校が春・秋のリーグ戦を展開している。日本ウェルネススポーツ大は2012年に開学。24年に日本ウェルネススポーツ大学東京野球部として、東京新大学野球連盟に加盟した。24年春に四部優勝→三部昇格、同秋には三部優勝→二部昇格とトントン拍子でステージを上げた。ところが、初の二部となった25年春は6位と厳しい現実と向き合う(二部三部入れ替え戦は連勝で二部残留)。同秋のリーグ戦を控えて、高浦美佐緒監督(元横浜大洋ほか)と古屋英夫野手総合コーチ(元日本ハムほか)が就任し、さらなる強化を図った。

 同秋は二部3位と足がかりをつくると、今春は二部初優勝。駿河台大との一部二部入れ替え戦では連敗し、一部の壁の厚さを体感した。そして、今秋は1位同率で並んだ東京学芸大との優勝決定戦を制して、二部リーグで春秋連覇を達成した。

 駿河台大との一部二部入れ替え戦1回戦(11月7日)が行われた飯能市民球場には、OB・OG、保護者のほか多くの関係者が観戦に訪れた。全力プレーも及ばず1対8の7回コールド敗退。あとがなくなった日本ウェルネススポーツ大東京は、悲願の一部昇格へは2回戦、3回戦で連勝するのみである。

 日本ウェルネススポーツ大教授で、野球部の武井克時統括部長(東京都高等学校野球連盟前理事長)は言う。

「二部リーグで春秋連覇したのは立派だと思います。指導者がすごく熱いので、それに選手たちも付いて行っている。本当にスタッフが一生懸命やってくれるんです。高浦監督と古屋コーチは良いコンビで、本当に熱い。それが、選手たちに伝わっているんじゃないですかね。3年生以下のチームで、この秋は2年生以下も伸びてきているので、来年以降も楽しみなのかと思います。学生野球は本当、一生懸命やるしかないですよね」

 武井統括部長をはじめ、指導体制が確立されている。日本ウェルネススポーツ大教授の千葉智久野球部長は現在、東京都高等学校野球連盟副理事長で、2016年には育成功労賞を受賞した元高校野球指導者だ。22年から統括マネジャー、24年に野球部長に就任した。高浦監督と古屋ヘッドコーチは元プロでキャリア十分。また、昨年4月に就任した大原匠コーチは法政大高で非常勤講師、硬式野球部コーチ、助監督を歴任し、学生野球の指導に長けている。

大学生としての本分


ベンチで指揮を執る高浦監督。元捕手であり、投手育成にも長ける[写真=BBM]


 高浦監督は1952年生まれの74歳。現役時代は捕手で千葉商高、法大、三菱自動車川崎を経て80年ドラフト外で横浜大洋に入団。法大では3学年下の江川卓(元巨人)とバッテリーを組み、リーグ優勝、ベストナインを獲得した。横浜大洋で85年までプレーした後はコーチ、スカウトとして尽力し、楽天、DeNAのコーチも務めた。退団後は学生野球資格を回復し、城西国際大、東海大などでコーチを務め、日本ウェルネススポーツ大東京でのコーチ、ヘッドコーチを経て監督に就任した。

「まずは野球をやる前に、きちんと大学生としての本分を、各自に意識をさせています。 言うまでもなく、授業が最優先。その上で野球を一生懸命取り組み、結果を求めていきたいと思っています。これまでのつながりで、実績のある大学さんとオープン戦を組む機会に恵まれ、多くの経験を積み、こうした大舞台でも動じないような精神力を身につけてほしいです。4年間の活動を経て、大学卒業後の就職の分野でも、力になっていければと思っています」

ユニフォームへの感謝


古屋ヘッドコーチは三塁コーチスボックスで指示を送る[写真=BBM]


 古屋コーチは1955年生まれの71歳。現役時代は内野手で木更津中央高、亜大を経て78年ドラフト2位で日本ハム入団。85年に最多勝利打点、ゴールデングラブ賞4度受賞の名手だった。91年に阪神へ移籍し、92年限りでユニフォームを脱いだ。NPB通算1521試合出場で180本塁打、686打点。現役引退後は日本ハム、オリックス、楽天、阪神でコーチ、オリックス、阪神の二軍監督を歴任した。オリックスのスカウト、編成部副部長を務めるなど、フロントでも豊富な人脈で手腕を発揮した。2019年限りで退団し、25年9月から日本ウェルネススポーツ大東京の野手総合コーチ(ヘッドコーチ)に就任した。練習ではノックを精力的に打ち、試合の攻撃中は三塁コーチャーズボックスに立って的確な指示を送る。

「アマチュアの現場指導には、魅力を感じていたんです。スカウトを65歳で辞めて、もうユニフォームを着ることもないと思っていました。高浦さんから一緒に手伝ってほしいと声をかけていただき、最後のチャンスというか、まだ体は動くと思い、お受けしたんです。その春、チームが二部最下位で、逆にやりがいがあるな、と。選手もまだ成長段階ですけど、 よく頑張っています。おそらく、卒業後も野球を続ける選手はそこまでいないと思うので、この4年間で、満足度を満たしてやろうかなと思っているんです」

 2人は千葉県出身。かねてから親交が深く、スカウト時代も接点があり、楽天では2010年にユニフォームを着た。高浦監督がオファーする形で就任への運びとなった。

「何とか、一部の景色を見せてあげたいです。それは、高浦さんも同じ考えだと思います」

チームスローガンは「Be a Challenger」


駿河台大との一部二部入れ替え戦1回戦を落とし、試合後のミーティング。次の試合に切り替えることを強調していた[写真=BBM]


 東京都練馬区内にある成増の校舎では充実のカリキュラムが組まれ、授業のほかにも、トレーナー養成、保育士養成のプログラムがあり、各資格取得を目標としている。ボランティア活動としては中学校の大会でアンパイアを務め、人間力を高める。トップアスリートを目指すのと同時に、専門分野を持った指導者を志しているのだ。

学校からトレーニングセンターまでは徒歩2分、練習拠点であるウェルネスグラウンドは自転車で45分の場所にある。2026年のチームスローガンは「Be a Challenger」。野球部の組織図は運営のトップに部長、監督、コーチ、主務、マネジャーがおり、その下に主将・副将、グラウンドマネジャー、練習運営・ランナーコーチのスタッフが配置。選手のA班・B班のほかにもチームスタッフ班、トレーナー班、審判班、アナライザー班と細分化されており「一人1役 全員主役」を志している。

 三番・遊撃手の主将・神崎順(3年・日本ウェルネス)は言う。

「元プロの指導者2人から指導を受けられるのは、とてもありがたいことだと思います。高浦さんはチーム全体のこと、人としての教育の部分で学ぶことが多く、グラウンドではバッテリーを中心に見ていただき、古屋さんに関しては、野手のほうを見てもらっているんですけど、以前は簡単にエラーで失点する場面があったんですが、基本を大切にし、明らかにミスが減りました。『勝つ集団』としての取り組みを、浸透させていきたいと思います」

連盟への加盟3年目・日本ウェルネススポーツ大東京の歩みは、始まったばかりだ。

取材・文=岡本朋祐
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