仙さんに会えた?
先日、週べの編集長が打ち合わせで、家(仮)に来ましたが、祭(=12歳トイプードル♂)がはしゃいではしゃいで大変でした。
「人を見ますね、祭ちゃんは。いい目をしてるな」と、編集長は得意気に話していましたが、誤解なきよう! 別に編集長だけに懐いているわけではなく、祭は、お客さんが大好きなのです。心臓が悪いのにと、こちらが心配になるくらいハイテンションになってしまいます。勘違いしてはいけません。
では、気を取り直して(?)、前回触れたように、まずは岡山の話からしましょう。NHKの仕事で6月18日の
阪神-
楽天戦(マスカットスタジアム)の解説をさせていただいたときの話です。
試合前日、初めてだったのですが、倉敷の街を歩き、花嫁船で有名な倉敷川や武家屋敷を見てきました。詳しいわけではありませんが、なんとなく京都より、金沢に似た雰囲気がある街並みでしたね。
もちろん、
星野仙一記念館にも行きました。倉敷は仙さんの地元。今回の試合は、どちらも仙さんが監督をしたチームでもあります。記念館には、仙さんゆかりの品々が400点くらい並んでいて、あと300点くらいは倉庫に置いて出していないらしいですね。館長さんは、僕も知っていた方だったので、いろいろ説明を聞きました。ドラゴンズ時代の写真や雑誌もあって、僕も載っていました。いろいろ見てたら、なんだか久々に仙さんに会えたような気がしてうれしかったです。「おい、ヤス、元気か!」と声を掛けられそうな気がしたくらいです……。
翌日の試合は、楽天が5対3で阪神を破っていますが、交流戦全体でも、またパがセを圧倒しましたね。予想どおりというか、毎年同じことを書いているような気がしますが、セの打者が、強い球を投げるパの投手に戸惑い、逆にパの打者は、セの投手の変化球に対し、ボロボロにならなかった、という感じでしょうか。毎年、同じ解説をしているのも疲れます。セは来年こそ頑張ってほしいものです。
実は、僕の交流戦前の予想は微妙に外れたものが多かったです。まずは
日本ハム。僕は交流戦で1位になるんじゃないかと思っていました。
ソフトバンクは確かに強いのですが、あまりにケガ人が多かったですし、日本ハムというチームは非常にしぶとい戦い方をします。交流戦直前に6連勝もしていましたしね。でも、前半は素晴らしい戦いをしながら、後半は投手陣に故障者が続出したこともあって失速。1つの負け越しに終わってしまいました。やはりケガは怖いですね。
吉田輝星の魅力
ただ、
吉田輝星のデビュー戦は、良かった!
ファームの情報などを見ると、もっと前に上げても良かったのかと思いましたが、このチームは期待の新人について、長期的な育成プランをつくっています。万全のタイミングを探していたんでしょう。
吉田で「いいな」と思ったのは、ストレートが8割というピッチングスタイルです。あの真っすぐは魅力です。指にかかったときのストレートは、140キロ台半ばでも打者を押し切ってしまう威力があった。まだ、そうじゃない球も多かったから、まずはその確率を上げることでしょう。
もちろん、昨夏の甲子園では150キロを出していますし、これから、もっと球速が上がっていく可能性はありますが、僕は、そちらは無理に追い求めるのではなく、自然にそうなればいい、くらいの考え方にし、むしろストレートを速く感じさせる変化球、配球の妙をキャッチャーやコーチと一緒に勉強していってほしいですね。変化球で勝負するという意味ではなく、より真っすぐを生かすために、という考え方です。
セで予想外だったのは、
広島の最下位です。入る前の勝ち方が良かったので、このまま頑張るかと思ったんですが、とてつもなくやられました。バイオリズムのようなもので、一番いい状態まで登り切ったところで交流戦に入って落ちたというところでしょう。ただ、考えてみれば、昨年は
丸佳浩、
鈴木誠也らがドンといて、彼らが調子を落としたり、故障で抜けたとき、
野間峻祥らがうまく穴を埋めた。でも、今は野間がレギュラーにいて、彼が調子を落としたとき、さらにそれを埋めるところまでは選手層が厚くなっていなかったというところでしょう。
こちらも新人の
小園海斗をデビューさせましたが、これはチームに刺激を与えたかったんでしょうね。将来的にはともかく、現時点では、
緒方孝市監督の中に、足があって積極性もある
田中広輔の一番があると思います。
もう一つ、予想外だったのは、巨人の交流戦3位です。僕は、もう少し苦労するかと思っていました。
菅野智之の不振もそうですが、リリーフ陣が危なっかしい。これではパの強力打線は抑えられないだろうと思っていましたが、好調な打線にも助けられ、うまく戦い抜きました。
巨人では
桜井俊貴に注目しました。中継ぎから先発に変わって2勝していますが、僕は彼が先発した6月20日のオリックス戦(東京ドーム)を球場で見ています。その試合、序盤から好投を見せて、0対0で来た5回にオリックスに2点を取られた。ここで二死三塁ながら迎えたバッターは
吉田正尚です。
ここが彼の分岐点になると思って見ていました。この試合の勝敗ではありません。今シーズンの桜井は、ここを抑えたら、この後も必ずうまくいく、打たれたら、今後も結果は出せないだろう、という分岐点です。大げさではなく、野球選手には、そういう場面があるのです。
桜井は、ここでインサイドの強い球を投げ込み、詰まらせてのセンターフライ。これはいけるぞ、と思いました。実際、続く6回表を無失点に抑えたときは球も、顔つきも違っていました。勝ち投手にはなれませんでしたが、丸佳浩の本塁打で負けが消え、チームは逆転勝ちです。
もしかしたら、このあと巨人投手陣の救世主になるかもしれないですね。僕は、そのくらいのインパクトを感じました。
PROFILE 大島康徳/おおしま・やすのり●1950年10月16日生まれ。大分県出身。右投右打。中津工高からドラフト3位で69年
中日入団。3年目の71年に一軍初出場の試合で本塁打を放つ。76年にはシーズン代打本塁打7本の日本記録。翌77年に打率.333、27本塁打の活躍で不動のレギュラーとなり、79年にはリーグ最多の159安打、36本塁打、リーグ3位の打率.317の大活躍。83年には36本塁打で本塁打王にも。88年に日本ハムへ移籍、90年には史上最多の2290試合を要して2000安打に到達した。94年限りで現役引退。2000年から02年まで日本ハム監督も務めた。現役通算成績2638試合、2204安打、382本塁打、1234打点、88盗塁、打率.272。