
19年は一軍投手コーチ、20年は二軍監督を務めたDeNAの三浦新監督。それらの経験をうまくかみ合わせることができれば楽しみ
有原は制球力を信じて
年が明けました。でも今年は、こんな状況ですから、初詣やお墓参りも、「今だったら人がいないだろう」という日時を狙って行ったり、正月気分には全然なりませんでした。
野球界も今年はどうでしょう。まあ選手は昨年の経験もありますから、ある程度対処していくでしょうけれども、周りの状況もありますのでね。イベントというイベントがまた2020年のようになってしまわないことを祈るばかりですが、大変な1年が続くなという感じがしますね。
年末年始の野球界の動きでは、
日本ハムの有原(
有原航平)がレンジャーズに決まりました。アメリカもコロナ禍の問題がありますから、どの程度プレーできるのかは分からないところもありますが、とりあえずは決まってよかったと思います。
前にも一度書きましたが、彼はメジャーに行ったらそれほど圧倒的な球速を持つ投手ではなく、変化球を主体に、打ち損じを求めていくタイプになると思います。先発した場合にカウント3-2、3-2を繰り返していくようではすぐに球数が交代の基準に来てしまう。そういう意味では、甘く行ったら打たれるという恐怖はありますが、どれだけ自分のコントロールを信じて、インサイドを含めて高低幅広く投げていけるかがカギになると思います。コントロールはいいピッチャーですからね。
そのためにも、ブルペンに入ったとき、少ない球数の中でも、「コイツのコントロールはスゴい」と、まず首脳陣やキャッチャーに印象づけることだと思います。
一方、日本ハムの西川(
西川遥輝)は残留となったようです。西川はスピードが一番のアピールポイントですが、それを生かすためにはやっぱり出塁をしなければいけない。ではそのためにどれだけ打てるんだろう、ということになったとき、ちょっと二の足を踏まれてしまう、ということになったのではないでしょうか。昨年の秋山(
秋山翔吾、レッズ)や筒香(
筒香嘉智、レイズ)の成績も参考にされたかもしれませんしね。まあでも、もし気持ちがあるんだったら、今年日本ですごい成績を残して、来年もう一回、「行かせてください」と言えばいいと思います。
大きい、違う立場での経験
21年は、日本のプロ野球ではDeNAの三浦(
三浦大輔)、
楽天の石井(
石井一久)と、新監督が2人誕生します。どちらも投手出身で、野手出身の監督の後、というところで、期待が持てると思います。ピッチャー目線での選手の動かし方というのは、また違うと思いますのでね。
三浦監督は、19年には投手コーチとして一軍ベンチを経験し、野手出身監督の采配も見て、20年には二軍監督として攻撃面も含めて自分で采配を振るっています。両方で得た経験をうまくかみ合わせていけば、三浦監督らしいチームが出来上がっていくのではないでしょうか。
私も経験がありますが、実は監督というのは代わったばかりの1年目が一番思い切った采配が振るえるものです。それに、力はあっても前の監督の好みに合わなかったりして日陰に置かれていた選手たちが頑張ってくれるという部分もありますから。DeNAは選手の力自体はあると思いますので、思い切った采配を振るっていったら面白いと思いますよ。
もちろん、FAで梶谷(
梶谷隆幸)と井納(
井納翔一)が
巨人に流出したことはありますけれども、いなくなってしまったものはしょうがない。梶谷だって、昨年はよかったですけど、その前は調子の悪い年もあったわけで、井納の穴も、今永(
今永昇太)とか東(
東克樹)が帰ってくれば埋まると思いますので、そんなに大きなマイナスにはならないと思いますけれどね。すっとぼけて自在の采配? 石井監督は、まあ僕はたまに会ったら話す程度で、そんなに接点はないんですけれども、あのとおり、ホントにマイペースな感じの人ですよね。それだけに、GMからの全権監督というのはよかったんじゃないですか。
チーム状況としても、楽天は打つほうはいいと思うんですよ。四番が島内(
島内宏明)でいいのか、という部分はないことはないですが(それは四番に対する固定観念に過ぎないと言われるかもしれませんが……)。でも、楽天にとっての問題はピッチャーですから。野手出身の監督というのは、マウンド上のピッチャーの表情などももちろん見てはいるんですが、やっぱり投手出身の監督に比べると、見逃している部分が多いものです。そのあたりがしっかり見えるというのは、チームにとっていいと思います。石井新監督によって、投手陣が整備されてくれば、けっこういい線を行くのではないでしょうか。優勝となると、
ソフトバンクという巨大な壁があるので、そこまではどうか、と思いますけれども。
コーチを経験せずにいきなり監督をする、ということについては、影響がなくはないと思います。今まで外で見ていて「俺だったらこうする」という考えは持っていると思いますけれども、実際ベンチでは、瞬時の判断が求められますから。その辺はなかなか難しい。外から見ているのとは違うところです。でも、彼のキャラクターだったら、すっとぼけて好きなようにできるんじゃないですか(笑)。野村(
野村克也)監督のいいところも頭に入っているでしょうし、メジャーでもいろいろ経験しているでしょうから、期待が持てます。
いろいろな監督の下で優勝を経験し、順調な野球生活を送ってきたように見えますから、むしろ、スタートから連敗とか、故障者が続出したとか、つまずいたときにどうなのか、のほうが興味がありますけどね。僕みたいにつまずきっぱなしの人間から見ると(笑)。いずれにしても、両新監督が昨年の4位からどう巻き返すかは、気になるところです。
PROFILE 大島康徳/おおしま・やすのり●1950年10月16日生まれ。大分県出身。右投右打。中津工高からドラフト3位で69年
中日入団。3年目の71年に一軍初出場の試合で本塁打を放つ。76年にはシーズン代打本塁打7本の日本記録。翌77年に打率.333、27本塁打の活躍で不動のレギュラーとなり、79年にはリーグ最多の159安打、36本塁打、リーグ3位の打率.317の大活躍。83年には36本塁打で本塁打王にも。88年に日本ハムへ移籍、90年には史上最多の2290試合を要して2000安打に到達した。94年限りで現役引退。2000年から02年まで日本ハム監督も務めた。現役通算成績2638試合、2204安打、382本塁打、1234打点、88盗塁、打率.272。