
6月9日[日本時間]のロイヤルズ戦で、自身最長飛距離とも言われるホームランを打った大谷[エンゼルス]。打つときに上体を反るようにしているのがポイントだと思います[写真/GettyImages]
二刀流の相乗効果
大谷(
大谷翔平、エンゼルス)の17号ホームラン(日本時間6月9日、ロイヤルズ戦)、テレビで見ましたけど、スゴかったですね。ムチャクチャ飛んでましたよ。百四十何メーターって、エンゼル・スタジアムの右中間の中段より上に行ったの、初めて見ました。「あそこまで飛ばさんでも、ホームランはホームランだろう」って思うぐらいですけど(笑)。いやもう、大谷はメジャーの中でもちょっと抜けているんじゃないですか。
打ったのは、だいたいベルトあたりの高さの球で、甘いと言えば甘いんですけど、それでも打ち損じることはありますからね。もう完全に、自分の飛ばせるポイントとタイミングをつかんだのではないでしょうか。スイングどうこうというよりも、何かをつかんだ。その辺は感覚の部分で個人差があるので、外からはちょっと分からないところですが。
このホームランは、三十何度かの角度で、高く打ち出されたという分析が出ています。前にも一度書きましたが、打つときに、キャッチャー方向に少し上体を反ることで、それが可能になっているのではないかと思います。見た感じはポイントが体に近いように見えても、打っている本人にしてみれば、あれで十分、ミートポイントとの距離が取れているという感覚なのでしょう。
そのあと、右中間に打った二塁打もうまかったですね。インサイド寄りの球に対して、右ヒジをうまく抜きながら、体の壁は崩さずに振り抜きました。あれもやろうとしてできる技術ではないですから、どこかでつかんだ使い方だと思います。
菊池雄星(マリナーズ)からレフトに二塁打を打ったときも(日本時間6月6日)、ヒジをうまく使ってバットを操作していました。あれも教わってできるものじゃない。何か、そういう天性のものが、自由自在にゲームの中で出せるような感じになってきました。
最近感じるのが、結果が数字で出ていることによって、グラウンド内、ダグアウトの中での立ち居振る舞いが、自分のペースでできるようになってきたんじゃないかということです。チームメートへの接し方などにしても。今まではどこか遠慮がちな感じもあったんですが、それがもうまったくない。これは気持ちの上で大きいですね。
大谷のすごいところは、登板したあとも、バッティングの内容がいいところです。バッティングの内容がよかったら、ピッチングもいい。そういう二刀流の相乗効果が生まれていると思います。
これは調べたわけではなくて、あくまで僕の印象なんですが、投げた次の日は、バッティングの成績がいいのではないですかね。そして、さらに次の日は、ちょっと落ちる気がします。もしかしたら、「投げたあとに打たなかったら、また何を言われるか分からんぞ」と気合が入る部分があるのかもしれません。僕もそうでしたけど、野球選手って、夜遊びした次の日は、集中して頑張れるところがあるんですよ。その代わり、その次の日になったら反動が出てしんどいという(笑)。まあ、僕らの夜遊びと大谷のピッチングが似たようなものかどうかは分かりませんが。
楽天は交流戦成績が自信に
日本のプロ野球のほうは、この本が出るころには交流戦の優勝が決まると思います。パ・リーグの中では、
楽天が頑張りましたよね。打線が非常に活発になってきました。前は浅村(
浅村栄斗)頼みという感じもありましたが、ほかの選手がよくなって、つながりが出てきました。そうなるとピッチャーは先発の数もいて、リリーフも強いですから、いい形になりますよね。交流戦の好成績は、チームにとって自信となるでしょう。
今は、実力ナンバーワンの
ソフトバンクが、外国人選手が抜けたりして非常に状態が悪く、辛抱の時期に入っていますから、楽天あたりは差をつけられるときにつけておきたいでしょう。今年は変則的な日程ですから、ソフトバンクにしても、オリンピック休みのあとに、咋年までのように追い込みが利くという保証はありませんからね。パ・リーグでは、
ロッテもチームのしぶとさが出ていますので楽しみがあります。後半戦も混戦が続いて、パ・リーグは面白くなるのではないでしょうか。
セ・リーグでは、
中日と
DeNAが交流戦に頑張りました。中日は、普段打てない打線が打ち出したら強いですよね。ただ、打線にはどうしても波がありますから、この調子がセ・リーグ同士の対戦になったあとまで続いてくれるかどうかはちょっと分からないと思います。
DeNAは、やっぱり外国人選手が打ち出すと、いい打線が出来上がってきますよね。もう、開幕直後とはまったく違うチームだと言っていいでしょう。ピッチャーは相変わらず足りませんが、打ち合いになったときには勝てるチームはセ・リーグにはないと思います。後半戦の台風の目です。
首位の
阪神は、まあこれぐらいの成績で交流戦を乗り切れば御の字というところではないでしょうか。セ・リーグ同士の対戦に戻っても、大きくチーム状態を崩さなければいいわけですからね。
あとは、交流戦でリリーフが崩れていくつも勝ちゲームを引き分けたり、落としたりした
巨人が、この部分をどう立て直してくるかでしょう。中川(
中川皓太)も安定せず、畠(
畠世周)をリリーフに使ってみたり。ホントに
ビエイラぐらいしかいませんけど、ビエイラだってストライクが入るかどうか、投げてみないと分かりませんからね。まあ、原(
原辰徳)監督のことですから、巨人はもたもたしながらも、そのうち追い上げてくるような気はしますけれども、どうなるでしょうかね。
PROFILE 大島康徳/おおしま・やすのり●1950年10月16日生まれ。大分県出身。右投右打。中津工高からドラフト3位で69年中日入団。3年目の71年に一軍初出場の試合で本塁打を放つ。76年にはシーズン代打本塁打7本の日本記録。翌77年に打率.333、27本塁打の活躍で不動のレギュラーとなり、79年にはリーグ最多の159安打、36本塁打、リーグ3位の打率.317の大活躍。83年には36本塁打で本塁打王にも。88年に
日本ハムへ移籍、90年には史上最多の2290試合を要して2000安打に到達した。94年限りで現役引退。2000年から02年まで日本ハム監督も務めた。現役通算成績2638試合、2204安打、382本塁打、1234打点、88盗塁、打率.272。