
6月14日ソフトバンク戦[ヤフオクドーム]で初勝利を飾った巨人・鍬原。左は高橋監督
スコアラーは大変
阪神のスコアラー、
山脇光治が盗撮で球団から契約解除された。別に、かばう気はないけど、山脇はいいヤツだった。礼儀正しいし、マジメ。俺が人を見る目がないのかもしれんけどね。
被害を受けた女性には申し訳ないけど、俺が思ったのは、「ストレスがたまって魔が差したんだろうな」ということ。だってスコアラーって、ほんと大変な仕事だからね。「試合を見てスコアをつけるだけなんて簡単でしょ」と思っているかもしれないけど、そんなもんじゃない。
対投手でいけば、全打者への全球のコース、球種をチェックし、その投手のカウント球、勝負球で、打者のタイプによって、どのように変えられていくかを分析していく。打者の分析は、その逆だけど、打球方向や打球の質も見なきゃいけない。
巨人が2012年に交流戦で優勝したときは、スコアラーを増やしたのが勝因になった。チャート表は各球団大差ないと思うけど、どう分析するかはスコアラーの腕もある。主観、経験値、さらにセンスと文章力が要求されるからね。
でも、試合中も集中してなきゃいけないし、分析は試合後だから徹夜になる人もいる。大変だよね。しかも報告書を書かなきゃいけないでしょ。もともと野球選手は体を動かしてナンボで、数字や文章を書くのが嫌いなヤツが多い。各チーム試合前のミーティングは、その資料をもとにやるから、それまでに出さなきゃいけないしね。
先乗りスコアラーだと敵チームに帯同するから家族から離れた出張ばかりだよね。球団によるけど、担当球団に対し、大抵1人。相手チームのスコアラーと飲みに行くわけにもいかんから、すごく孤独なんだ。ストレスはかなりたまると思う。
プロ野球は、選手ファーストの世界だから、スコアラーに限らず裏方さんは大変。俺はいつも思うけど、球団はカネを持っているんだから裏方さんの人数を増やすなり、シフトを考えるなりしてほしいな。みんなストレスためてるよ。
あとは酔っ払って裸になった選手がいたらしいが、これはストレスと関係ない。くだらんから無視しよう。
ファンをいやさないと
ペナントレースに話を移すが、
楽天の
梨田昌孝監督が辞任した。島根出身の梨田さんは、俺にとって山陰の先輩でもあるし、頑張ってほしかったんだけどな。若い
平石洋介が監督代行になったけど、いま楽天は41敗でしょ。正直、優勝絶望の数字だ。
こうなると、いままでどおりにやっても仕方がない。先を見据えた戦いにしないと。ただ、もう一つ大事なのは、ファンを楽しませることさ。よく言われるけど、楽天ファンは優しい。負けても負けても球場に来てくれる。あの震災の後、チームが日本一になってから、なおさらそうなったように思う。苦しいときに勇気をくれたから、今度は自分たちが応援しなきゃと思ってくれているんだろうね。
彼らに満足してもらうには、新しい方向性を見せるしかないんじゃないかな。若い選手をどんどん起用してね。もちろん、負け覚悟というわけじゃないよ。球場に来てくれたファンは、もしかしたら1年に1回の観戦を楽しみにして来てくれたのもしれない。そういうファンに満足してもらい、いやされて帰ってもらうのが、プロ野球の仕事だしね。難しいけど、それを目指さなきゃプロじゃないよ。
若い選手と言えば、巨人は
マギーの不振、
ゲレーロが故障で和製ラインアップになったね。二軍で打っていた
和田恋が上がってきたり、投手陣では新人の
鍬原拓也も初勝利を挙げた。まだ、結果につながっているとは言えないけど、一気に若返ったのは確か。二軍の若い選手も「次は俺だ!」と張り切っていると思うよ。いい循環になっていくかもしれないし、首脳陣は、そうなるようにしなきゃね。
陽岱鋼の復調も大きい。長打力もあるし、ゲレーロの代わりになると思うよ……そうか、陽は台湾出身か。まあ、同じ漢字文化の国だし“ほぼ和製打線”でいいでしょ!
高橋由伸監督、今年はこのままで行こうよ。
PROFILE 川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に
広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。