
井口監督にとって、2020年はチャンスでもあり勝負の1年に
カモメのカモとは?
例年になく静かなストーブ・リーグとなっているが、流れは完全にパ・リーグだね。イ
ケイケのパが、補強でもフルスイングしまくり、セを圧倒している。
俺が一番注目しているのは、千葉
ロッテだ。ドラフトで大船渡高の
佐々木朗希を獲ったと思ったら、FAでも
楽天の
美馬学、
ソフトバンクの
福田秀平をダブルで獲得した。
鈴木大地が抜けたのは、でかい穴だと思うが、若手内野陣に、そろそろ出てきてもらわなくちゃいけない選手も多いし、何とかなるという算段もあるのだろう。
西武、ソフトバンクの2強となっているパだが、来季、ロッテがここに食い込み、優勝争いをする可能性は十分にあると思うよ。
ロッテは2017年、最下位となった後、
井口資仁を監督にしたが、18年も全球団に負け越しの5位と散々だった。投手陣もだが、とにかく打てず、特にホームランは1位の西武の196本に対し、わずか78本。長打力に欠ける分、走力に活路を求めたが、それがなかなか得点につながらなかった。
そこから19年はホームランラグーンを作って球場を狭くし、
日本ハムの
レアードを獲った。結果158本塁打だからね。盗塁が一気に減って別のチームみたいな戦いだったが、借金1で、CSにあとわずかの4位。大躍進と言っていいんじゃないかな。
次の課題は先発投手になっていたところでの佐々木、美馬の獲得。佐々木は、1年目からどうこうじゃないだろうが、間違いなく、いまくすぶっている若手投手の刺激剤になるだろうし、美馬の加入は大きいと思うよ。変化球もいいし、いつもいつも完ぺきに抑え込むのは難しいけど、試合は作れるタイプだしね。
このチームの最大のスト
ロングポイントは、リーグ2位ながら日本最強のソフトバンクへの強さ。特にZOZOマリンでは完全なカモにしている(カモメのカモとは、これいかに?)。ここに野手でソフトバンク出身の福田、対ソフトバンクに3勝1敗、防御率1.97の美馬が入ったんだから、さらに、勝ってもおかしくないだろう。
一方で、井口監督にとって勝負の1年になる。今まではフロントの補強不足のせいにできたが、これからはもうできない。またBクラスじゃ、ファンも納得してくれないだろうしね。
真の地域密着に向け
俺がロッテに注目しているのは、ゴルフ場への行き帰りの風景もある。千葉はいいゴルフ場がたくさんあって、俺もよく行くのだが、まだ屋根にブルーシートをつけた家がある。あの台風だね。被害を受けたのは千葉だけじゃなかったが、停電もそうだし、千葉の被害は甚大なものとなった。
きれいごとに聞こえるかもしれないけど、ファンの後押し、そして、それに応えようという選手の思いは、確実に追い風になる。
阪神・淡路大震災の後の95年
オリックス、東日本大震災の後の13年楽天がそうだった。優勝を飾り、2球団は地元と本当の意味で一つになったんじゃないかな。
俺は敵として、その風を感じた。オリックスとは翌96年の連覇時に
巨人の現役、楽天は巨人のコーチとして当たり、どちらも負けたし、相手のホームではアウェー感が半端じゃなかった。
たぶん、ロッテも被災地に金銭的な寄付はたくさんしているんだろうが、本当の意味で癒すのはプレー。森田健作県知事は、台風のときに別荘で過ごして県民の心が離れちゃったが、ロッテにとっては来年が大切になると思う。「頑張ろう、千葉」で、優勝に向けた必死のプレーを見せてほしいな。それが真の地域密着にもつながると思う。
あと補強では、鈴木大地が入った楽天が活発だった。
石井一久GMがいい仕事をしているね。彼は何を考えているか読みづらいところがあるが、すごい実行力だ。今度は
牧田和久を獲ったが、大きな戦力になると思うよ。……まてよ、考えてみると、このコラムは今、カズヒサがカズヒサを獲った話をカズヒサが書いているわけか。まあ、だからどうというわけではありませんが。
PROFILE 川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に
広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。