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川口和久のスクリューボール

川口和久コラム「BIGBOSS! 俺のコメとどちらが豊作か競争だ!!」

 

5月20日の勝利者インタビュー。中央右が宇佐見、左が伊藤


初めての田植え


 5月21日、鳥取で田植えをした。いわば農業ルーキー、川口和久の開幕戦だね。最初、長靴で田んぼに足を踏み入れたとき、ヒザのあたりまでずぶずぶと潜ってしまい、なかなか抜けずに焦った。土って、あんなに柔らかくなるんだね。

 田植え機は自分で運転してやったが、初めてにしてはうまいと周りからは褒めてもらった。これから実りの秋に向け、台風や虫とか心配もたくさんあるけど、一面に緑の苗が広がる田んぼを見ていると感慨深いものがある。

 もしかしたらだけど、日本ハムのBIGBOSSも、3月25日、ソフトバンクとの開幕戦(PayPayドーム)で、そんなふうに思っていたのかな。自身は監督1年目で、選手もまた、若手中心で、ほとんどがまだしっかりとした自分の色を持っていない。彼らを春季キャンプから鍛え、オープン戦を戦いながらどう使っていくか考え、自分が思うようにやってみたと思う。試合前のパフォーマンスや抑え候補だった新人・北山亘基の開幕投手とか奇抜な策も“らしい”と思った。負けはしたけど、サングラスとマスクの奥で、田植えのときの俺みたいに、不安はありながらも、ニヤニヤしてたんじゃないかな。

 まあ、プロは甘くない。結果は開幕から3連敗で、その後も最下位を抜け出す気配はなかったけど、ここに来て戦い方がはまってきた。伊藤大海上沢直之と先発投手の安定感は大きいが、首位打者を走る松本剛、故障離脱してしまったが、近藤健介以外は、振りまくるだけで、つながらなかった打線も、徐々につながってきた。

 5月13日からのソフトバンク戦3連勝(札幌ドーム)が日本ハムの序盤戦のハイライトだ。最初の3連敗のあと、BIGBOSSは「北海道日本ハムスクールウォーズにしようかな」と言ってた。ひと昔前に流行った廃部の危機から全国制覇を成し遂げたラグビー部のドラマだったけど、そのとおりと言っていいんじゃないかな。戦うごとに力をつけ、ついにソフトバンクにリベンジを果たした。正直、最初は甘く見ていたパの他チームも、今ではかなり脅威に感じ始めているんじゃないかな。

采配もズバズバ!


 BIGBOSS采配もズバズバ当たっている。特に3連勝目の5月15日は鮮やかだった。一、三塁から相手のミスもあってだけど、新人の水野達稀が本塁へスチールを決め、BIGBOSSチルドレンの万波中正がサイクルヒットを目前までいっての10対2の大勝。ほかにも18日のオリックス戦(ほっと神戸)で、前日死球で鼻が折れた野村佑希が「怖さはあったがアピールしたかった」と2安打1打点。20日の西武戦(札幌ドーム)では「(打撃好調は)BIGBOSSの助言のおかげ」と宇佐見真吾が逆転の二塁打。この試合後、「いいチームができているね」とBIGBOSSが言っていたけど、少しずつ蒔まいた種が芽生え始めている実感があるんだろう。まだ借金は多いけど、完済間近を感じさせる戦いと言っていいんじゃないかな。最初の話題優先から完全に中身が伴ってきたしね。

 そうそう、「そうですね」禁止の勝利者インタビューもいいね。今まで杉谷拳士の一人勝ちだったお立ち台戦線(?)が変わってきた。まあ、杉谷はそうそう抜けないだろうが、彼の場合、そこに立てるかもあるしね。

 これからの交流戦でも日本ハムは台風の目になる可能性があると思う。この秋、俺のコメとBIGBOSS日本ハムのどっちが豊作になるか。もちろん、俺は負ける気ないけどね!

PROFILE
川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。
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広島、巨人で活躍した川口和久氏が独自の視点でプロ野球に斬り込む連載コラム。

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