スキのない野球の徹底を図る！

　厳しさは昨春以上になりそうだ。初日からシート打撃、4日目には12球団で最速の紅白戦を行った昨春キャンプ。福良淳一監督が掲げる“スキのない野球”へ、犠打や進塁打などのチーム打撃や走塁を重点的に強化した。

　犠打を失敗選手には、昼食なしで、約5時間の犠打練習を厳命し“鬼の福良”と呼ばれたが、シーズン中盤以降は打線が機能せず。Ｔ−岡田、吉田正尚、ロメロ、マレーロの長距離砲が並ぶ打線を活発にさせるべく、今春も徹底的に実戦形式の練習を行う可能性は高い。

　中でもレギュラーの当落選上の面々は目の色を変えて挑むだろう。昨季、攻守に精彩を欠いた二塁手の西野真弘は、昨秋キャンプから三塁にも挑戦するなど定位置再奪取を期し、規定打席未到達ながら打率.295と昨季、成長を示した俊足巧打の外野手・武田健吾も虎視眈々とレギュラーの座を狙う。後藤駿太と、熾烈な定位置争いを演じれば、自ずと“チーム力”も向上していくだけに、中堅、若手の奮起が最大の見どころだ。

　投手陣も熾烈な争いが予想され、候補者多数の先発陣のアピール合戦は必至。「本人の意向次第で開幕投手を任せる」と、早くも指揮官が大役を明かした金子千尋は先発ローテに当確も、「あとは決まっていない」と白紙を明言。西勇輝、ディクソンの実力者に、新人年の昨季、シーズンを通して先発ローテを守った山岡泰輔、さらに左腕の松葉貴大、山崎福也、昨季途中に先発再転向した吉田一将、有望株の2年目・山本由伸や新助っ人左腕のアルバースも加わり、最激戦区に。

　ブルペンは最大10人が一度に投球できるとあって序盤から各投手の“熱投”が見られるかもしれない。

　そんな“熱い春”に新風を吹き込むのがルーキーたちだ。田嶋大樹、Ｋ−鈴木の左右の投手に、巧打の内野手・福田周平、俊足が武器の山足達也が一軍スタート。昨年も黒木優太、澤田圭佑らの新人が開幕一軍を手にし、若き力がチームを活性化させた。

　チーム力の底上げを期す今季。春から新戦力が台頭するか。注目点は尽きない。

写真＝BBM