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立浪和義コラム

丸佳浩選手の圧巻の出塁率と本塁打率の理由は?/立浪和義コラム

 

タイミングが取れればヒッチも問題ない


8月31日のヤクルト戦(神宮)、延長10回に決勝弾を放った広島丸佳浩


 広島の強力打線の軸となっているのが、三番・丸佳浩選手、四番・鈴木誠也選手です。ただ、2人とも欠場の時期があり、野間峻祥選手の台頭など分厚い選手層で、しっかりと2人の穴を埋めたこと、また、二遊間の田中広輔選手、菊池涼介選手が、打撃は本調子でないながら全試合に出ているのも大きいと思います。

 丸選手は四球が一時は安打数以上に多く、現在でも106(9月4日現在)。出塁率は.484と高い数字になっています。下位打線と一、二番で作ったチャンスを大量点にすることもできるし、四番の鈴木選手につなぐこともできます。理想的な三番打者と言えます。

 ホームランは100試合で31本塁打と40本にも到達する可能性があるペースですが、これだけ長打があって(長打率.653)、しかも打率が残せているのも素晴らしいですね。

 これまで丸選手は何度か大きなフォームの修正をしてきましたが、いまのヒッチしながらタイミングを取るフォームが昨年の後半くらいから非常に安定してきました。ヒッチの動作は始動の遅れにつながると言われ、欠点とされることも多いのですが、私は、それほど気にすることではないと思います。投手の投球フォームで足を上げたとき、手が下がるのと同じです。それでタイミングが取れ、例えば体が前に突っ込むのを防げているのであれば大きな問題はないと思います。

 丸選手も最初はヒッチの動きが少し大きく、打撃練習では問題なく打てても、試合では振り遅れてしまうことがありました。この「練習ではできる」は、意外とバッターが陥りやすいものです。投手とタイミングが合わせやすく、球も遅い打撃練習でできることが必ずしも試合ではできません。技術はシンプルに考えたほうが対応力も広がります。

 丸選手は、実戦を重ねたこともあって今年はタイミングが合っています。そして自分のタイミングができているからこそ、自信を持って自分のポイントまで呼び込め、率も残せ、四球も選べています。

 加えて、丸選手をはじめ広島の打者の強みは、スイングの強さ、体の力です。だからホームランも増えるし、しかも丸選手は逆方向にホームランを運ぶ技術があります。内角も外角も甘くなれば一発があるということですから、ピッチャーにしたら非常に厄介なバッターですよね。

写真=BBM

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