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立浪和義コラム

カープ日本一に必要なものは?/立浪和義コラム

 

リリーフ陣の疲労の蓄積


離脱の時期はあったが、調子の波が小さい丸の存在は大きかった


 いま143試合制が定着し、しかもクライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズと、上位チームの年間の試合数はかなり多くなっています。これに昨年のようにWBCが加わると、選手の疲労度は相当なものがあります。

 1年だけならまだいいのですが、特に常に優勝を争っているチームは、終盤まで気が抜けない展開が続きます。登板はなくてもブルペンで連日準備しているリリーフ投手に蓄積する負担は大きなものがあります。今季は、ソフトバンクが、その影響もあってだと思いますが、一時、リリーフ陣が総崩れとなって西武を走らせてしまいました。

 セ・リーグでは、先日3連覇を果たした広島のリリーフ陣に前年から少し疲労を感じていましたが、案の定でした。リリーフ陣が打ち込まれ、終盤にひっくり返されての負けもありました。終盤の逆転負けはチームの雰囲気を悪くしますし、夏場に台頭したフランスア選手の存在がなければ、もしや……の展開になったかもしれませんね。リリーフ陣の蓄積疲労は、広島だけでなく、CSに絡むどのチームにとっても頭の痛い問題となっているように思います。

 ただ、それにしても、ほかの5球団がだらしなかった。特に巨人ヤクルトが徹底的にやられ、前半戦から独走を許してしまいました。

 私が今季の開幕前、広島の対抗馬と期待していたのが、昨年、広島をCSで破り、日本シリーズに進出したDeNAです。しかし、結果的には、昨年終盤の巻き返しに貢献した今永昇太選手、濱口遥大選手、石田健大選手の若手先発左腕がまったく結果を出せなかった。彼らはまだ若く、しかも先発ですから、これはCS、日本シリーズの影響というより、「昨年抑えたから、今年も大丈夫なはず」という油断があったようにも思います。

多彩な攻撃パターン


 一方で打線はよかったですね。9月になって優勝の重圧なのか少し湿りましたが、離脱の時期があったものの丸佳浩選手、鈴木誠也選手の三、四番がコンスタントに打ち、あとは松山竜平選手がシーズンを通し、勝負強さを発揮し、存在感を見せました。

 過去2年、打線の導火線となっていた田中広輔選手、菊池涼介選手の一、二番コンビはこれまでのようには機能しませんでしたが、西川龍馬選手、野間峻祥選手という若手がいい場面でいい活躍をし、相変わらずの層の厚さを感じました。

 ワンヒットでも一つ先の塁を狙う走塁も素晴らしかった。打線のつながりと粘りは広島打線の持ち味であり、強みと言えるでしょう。攻撃にバリエーションがあって、どの打順からでも、長打あり足ありと、いろいろなパターンで得点が奪えます。だから相手バッテリーも気を抜けず、終盤の逆転劇にもつながっていました。

 ただ、CS、日本シリーズを勝ち抜くとなると、これからの短い期間ではありますが、いかにリリーフ陣を立て直すかになってきます。果たして先輩・新井貴浩選手の引退に花を添えることができるのか。私も注目して見ていきたいと思います。 

写真=BBM

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