ロッテ・安田尚憲[内野手/1年目/19歳]
安田は「自分の一番の持ち味は長打力だと思っています」と自らのストロングポイントを自覚している
ロッテ浦和球場で行われていた1月の新人合同自主トレでは、1球たりとも打球がサクを越えない日があった。それがどうだ。188センチ、100キロ。プロ入り時よりも5キロ増量し、体つきもプロらしくなった
安田尚憲のバットからは軽々とアーチが描かれるようになった。
もちろん、高校通算65本塁打の力は秘めていたが、それを目覚めさせたのは技術だけではない。一番の変化は「責任」だった。
「オールスター明けから二軍で四番を任せてもらい、チャンスで回ってくることが多くなった。二軍も勝つことは大切。大事な役割と責任感がありました」
立場が人をつくる。打撃の数字は不思議と軒並み伸びていった。
井口資仁監督の目にもとまり、8月10日には初の一軍昇格。ただ、6試合で20打数1安打の打率.050、2打点。本拠地デビューを待つことなく二軍に戻ってきた。
オープン戦は8試合で13打数1安打だったが、3月6日の
巨人戦(ZOZOマリン)ではサヨナラ安打を放った。そのときは「一軍の高いレベルを経験できた」と語っていたが、今回はあのときとは違い、ペナントを争う本気の一軍を知った。目指すべき場所がどこか、分かった。
「直球に振り負けないことが大事だと思った。スイングをシンプルにしました」
一線級のストレートにタイミングを合わせられなかったのはバットを構えたあと、ボールをとらえに行く前に、一度後ろに引いてしまうクセがあったからだ。冷静に自己分析し、二軍のコーチ陣と繰り返し修正に取り組んだ。それにより、成績はまた一段伸びる。
9月23日に一軍へ再昇格するまでイースタン・リーグでは106試合、打率.271、12本塁打、67打点と四番に恥じない成績だ。10月2日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では、待望の一軍プロ初アーチも放った。
ほぼ二軍暮らしだった1年目シーズンに蓄えたものは、来季の大砲の目覚めへの糧となるはずだ。
写真=BBM