記憶に刻まれた“移籍後初打席”
ヤクルト先発の石川から火の出るようなフェンス直撃打。古巣相手の開幕戦で放った一打が最高にカッコよかった
つなぎ役に徹した打撃、チャンスを広げる犠牲バント、堅実な二塁守備は、チームに欠かすことのできない「いぶし銀」の存在だった。最後までプレーすることにこだわった名プレーヤーが今季限りで静かにユニフォームを脱いだが、
田中浩康が忘れられない試合とは?
「
DeNAでの初の開幕戦は古巣ヤクルトが相手(2017年3月31日、神宮)でした。『六番・二塁』でスタメンに抜てきされ、1打席目で左安打を放つことができました。
打席に入る前には、ヤクルトファンからも声援をいただきました。メジャー・リーガーのように、カッコつけてヘルメットを取ってスタンドに一礼しようと考えていたんです。でも、あまりに緊張し過ぎてすべてが飛んでいましたね……。
本当はヤンキースに移籍したときの
イチローさんのようにやりたかったんですけどね。監督の粋な計らいも含めて、いろんなことが詰まっていた、忘れられない試合となりました」
PROFILE
たなか・ひろやす●1982年5月24日生まれ。京都府出身。177センチ77キロ。尽誠学園高から早大を経て、2005年ドラフト自由枠でヤクルトに入団。プロ2年目から一軍に定着し、しぶとい打撃と堅実な守備で二塁のレギュラーとして活躍。07年にはベストナイン、12年には2度目のベストナインとゴールデン・グラブ賞を受賞した。2017年にDeNAへ移籍、同年には内野のバックアップながらチームの日本シリーズ進出に貢献。18年はスタメン出場が減り、現役引退を発表。
写真=BBM