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兄、母に続いて18歳の妹も心不全で……。BCLを襲った深い悲しみ

 

亡き3人の思いを刻む


今年10月、18歳の若さで亡くなった水島奈摘さん。兄・樹人さんがきっかけとなったAED普及活動にも力を注いでいた


 今年10月、BCLファンに深い悲しみが広がった。新潟・糸魚川市の高校3年生・水島奈摘さんが下校途中に心臓発作で倒れ、心不全のために亡くなったのだ。享年18歳だった。

 奈摘さんは、12年前に少年野球の練習中に急性心不全で亡くなった水島樹人さん(享年9歳)の妹。母親の正江さんが樹人さんの生前の夢だった「新潟にもプロ野球チームがあればいいのに」という思いをBCLの村山哲二代表に手紙で伝えたことがリーグ設立の大きな原動力になったことは広く知られている。

 BCLは2007年のスタート時から「ミキトAEDプロジェクト」に力を注いできた。グッズの売り上げの一部を心臓に電気ショックを与える器具・AED(自動体外式除細動器)購入費に充て、各施設に寄贈してきた。

 このAED普及活動に尽力し、各地で選手に声援を送り、“BCLのお母さん”としてファンに愛されてきた正江さんも2013年に心不全のため48歳の若さで亡くなった。その後は樹人さんの長兄・修斗さんと妹の奈摘さんが2人の思いを受け継いできた。

 奈摘さんは今夏まで野球部マネジャーとして部員を支えた。高校卒業後は大学に進学し、「将来は野球でたくさんの人を幸せにする仕事をしたい」と夢を語っていた。それだけに、突然の悲報はリーグ関係者、ファンに大きなショックを与えた。

 BCLは亡き3人の思いを胸に刻もうと「水島家をお参りする会」を12月1日に実施した。3人が暮らしていた親戚宅の仏間を家族の協力を得て一般のファンにも開放。3人の冥福を祈り、感謝の気持ちを伝えようと当日はファンや元選手など大勢の人が足を運んだ。

 新潟市から来た中村幸子さんは「リーグができた1年目に正江さんと知り合い、球場や会合で会うたびに話をさせてもらった。奈摘さんも小さいころから球場でお母さんの傍にいた。突然のことでショックだったが、こういう機会に3人にお参りができてよかった」と感想を話した。

 長兄の修斗さんは「母も樹人も奈摘も多くの人から愛されていたことをあらためて感じた。リーグもAED普及活動もたくさんの人の力で続いていってほしい。天国で3人が笑って見ていてくれていると思う」と語った。亡き3人の思いを胸に刻みながら、BCLは前に進む。

文=岡田浩人

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