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立浪和義コラム

センスの塊・吉川尚輝選手が怖いのは故障だけ/立浪和義コラム

 

一番として好調維持


少しヒッチする吉川尚選手の新打法


 まだペントレースは始まったばかりですが、混戦模様のセ・リーグの中で戦力的に頭一つ抜けているのが、巨人です。

 今回は、その中で「一番・セカンド」を担う、プロ3年目の吉川尚輝選手について書いてみたいと思います。

 大学時代は中日に入った京田陽太選手と並び称された遊撃手ですが、巨人には坂本勇人選手がいますのでセカンドに回りました。1年目は体調不良で出遅れ、一軍は終盤に出ただけながら、坂本勇選手が「広島菊池涼介のような雰囲気がある」と言っていたことがあります。吉川尚選手は菊池選手の中京学院大の後輩ですが、名手・菊池選手のような動き、打球勘があるという評価でした。

 私も吉川尚選手の守備に大きな魅力を感じています。一歩目の速さ、グラブさばき、身のこなし、すべてが素晴らしいと思います。ショートの坂本勇選手とも息が合ったプレーを見せていますね。

 打線では、原辰徳監督は今季、吉川尚選手を「一番」に抜てき。期待に応え、一時期、リーグの打率首位にも立ち、4月10日現在でも.390のハイアベレージを残しています。

 巨人は、広島で三番を打っていた丸佳浩が入ったことで、坂本選手と丸選手をどの打順に置くかが話題となり、結果的には二番・坂本、三番・丸になりました。原監督は「三番が2人いるイメージ」と話していましたが、それだけ一番・吉川尚選手の役割が重要になるのではないでしょうか。実際の試合を見ていても感じますが、吉川尚選手の出塁いかんで得点力に大きな差が出ます。

タイミングの取り方もいい


 バッティングの技術面に関しては、今年からヒッチする動きを取り入れ、タイミングの取り方がスムーズになり、ためもできています。前も書きましたが、下げて上げては自然な動きなので、グリップが下がった状態で振りにいっていない限り、ヒッチは問題ないと思います。おそらく、広島から移籍の丸選手の影響があるのでしょうが、新しいフォームをすんなり自分のものにしてしまうあたりにもセンスを感じますね。

 あと怖いのはケガだけです。18年も開幕からスタメンで起用され、バッティングもまずまずの結果を出しながら、8月にヘッドスライディングで左手を骨折。もったいないと思いましたし、本人が一番悔しい思いをしたはずです。細身ですし、アグレッシブな動きが身上ですから、ちょっとしたことがケガにつながります。なかなか本人からは言い出しにくいと思いますが、疲れがたまったときは休みながらでもいいと思います。今年に関しては、まずは1年間戦い抜くことが大切になってくるでしょう(現在、腰痛のため二軍調整中)。

写真=BBM

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