目を引くスローイング
プロ5年目、売り出し中の選手だ
ドラゴンズに楽しみな選手が出てきました。2015年、青学大からドラフト5位で入団した捕手の
加藤匠馬選手です。昨年まで一軍では5試合しか出場しておらず、ヒットもありませんでしたが、今季は開幕から一軍入りし、初ヒットを記録、スタメンマスクもかぶっています。
ドラゴンズは、兼任監督もしていた
谷繁元信さんが長く正捕手を務めましたが、その後は、なかなか定着する選手が出てきませんでした。何度も書いていますが、私は、センターラインは固定して戦うべきといつも思っています。キャッチャーに関しては、併用する球団も増えていますが、固定したほうが間違いなく、ピッチャーも守備面も楽になります。昨年は最多出場が
松井雅人選手の92試合でしたが、チームのウイークポイントの1つだなと感じていました。
加藤選手で目を引くのは、まず肩です。地肩の強さに加え、捕ってからの速さやスローイングの正確性もあります。
ソフトバンクの“甲斐キャノン”こと
甲斐拓也選手とは同年齢だそうですが、あのスローイングは勝るとも劣らぬレベルにあると思います。担当編集者に聞いたところでは、ドラゴンズファンの間では、すでに“加藤キャノン”“加藤バズーカ”などと呼ばれているらしいですね。
実戦経験で磨いてほしい
バッティングも4月22日現在で打率.308。まだ打数が少ないので、そのまま評価はできませんが、スイングに変なクセもありませんので、今後、試合経験を積み、さらにキャッチャーの利点を生かし、打席での読みを磨くことで、まだまだ成長できると思います。
次の課題はリードです。こちらは、まだ今一つにも思いますが、ある程度、実戦経験が必要なものでもあります。チーム方針として、投手との相性を見たり、疲労度を考えながら捕手は併用していくようですが、あの肩があり、打撃も好調さを維持していけるなら、どんどん使いながら育ててほしい選手です。
ただ、少し矛盾してしまいますが、問題は体力でしょう。一軍と二軍では心身の疲労度がまったく違います。それでなくても、キャッチャーは肉体的な疲労度が高く、精神的にもチームの勝敗や投手の出来、不出来を自分のことのように考えてストレスがたまりがちです。
大変だとは思いますが、やはりやるからには上のレベルを目指し、正捕手と言われる選手を目指してほしいと思います。
写真=榎本郁也