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立浪和義コラム

巨人・坂本勇人選手の力と技の一発/立浪和義コラム

 

2016年に急成長


4月28日のホームラン。重心を軸足に残しての豪快なスイングだ


 巨人坂本勇人選手が好調を維持しています。5月7日時点で、打率.341、12本塁打はリーグトップとなっています。

 30歳を迎えた坂本選手ですが、プロ2年目から120安打以上を続け、通算でも1754本。来年には早くも2000安打達成があるかもしれません。以前、対談をしたとき「どうせなら3085安打の張本勲さん(元巨人ほか)超えを」と言ったら「無理です」と笑っていましたが、決して夢物語の数字ではありません。

 特に急成長したのが2016年、打率.344で首位打者を獲った年だと思います。

 右打者の坂本選手は、早めに左足を大きく上げ、それを回すようにしながら間(ま)をつくり、また、その反動を使いながらスイングしていくという打法にしていました。大筋が変わったわけではないのですが、16年からは重心を下げ、スタンスを少し広くし、タイミングを取る動きを小さくしたフォームに修正し、さらに安定感を増していました。

 松井秀喜君(元巨人ほか)からの軸足にもっと重心に残したほうがいい、というアドバイスが大きかったと言っていました。

特長であるヒジの抜き


 今季も開幕から好調を維持していましたが、「さすが坂本選手!」と思った一打が4月28日のDeNA戦(東京ドーム)でありました。

 5回、いつもように足を上げた後、多少、始動が早過ぎたと感じたのでしょう。上げた足のつま先を一度つけ、もう1回上げるというスイングをしていました。おそらく最初のタイミングでは体が前に流れていたと思いますが、うまく止まりました。もちろん誰にでもできることではありません。まさに天才ですね。

 その後にも坂本選手らしい高い技術がありました。DeNAの平田真吾投手の球はインハイのツーシーム系の球で、差し込まれるようなタイミングになりました。普通であれば芯よりグリップに近いところに当たり詰まってしまうところですが、左ヒジを引くようにしながらしっかり芯でとらえ、そこから押し込むような強いスイングで、レフトスタンドへのホームランにしています。

 今季の坂本選手は、振る力も大きくアップし、まさに技と力の一発でした。4月は月間7本塁打ですし、素晴らしいスタートになりました。キャリアハイのシーズンを期待したいと思います。

写真=BBM

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