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ファーム通信

オリックス・宜保翔 明確な課題を胸に/ファーム

 

俊足巧打を武器にファームで経験を積む宜保翔


 試合前のこと。誰よりも先にベンチ前に現れ、左足(軸足)に体重を乗せるように軽くジャンプしてスイングを繰り返す。

 打撃向上を期す18歳が、しきりにスイングとフォームを確認していた。

「これまで課題は漠然としたものでした。でも今は明確になっている。だから意味ある素振りができるようになりました」

 ドラフト5位で入団した1年目の今季。キャンプから「もっと打てるように」と打撃向上に努めてきた。が、ファーム開幕後、プロの直球に差し込まれることが多く、意識したのは「タイミングを早く取ること」。

 一軍での実績ある西野真弘宮崎祐樹といった先輩に助言を求め、指摘されたのは「トップが定まっていない」ことだった。以降、早くトップを固めるとミート力はアップ。と同時に、次の課題が見つかった。

「ボールを飛ばすパワーがない」

 威力あるプロのボールをはじき返すべく、ベンチプレスやスクワットなどのウエート・トレーニングで筋力アップを図り、体は春季キャンプ時より体は一回り大きくなった。

 ただ、求めるのは「スイングの力強さ」だ。試合前の軸足に体重を乗せた素振りは、体重移動を意識したものにほかならない。

「タイミンの課題から『強くはじき返す』という次の課題に移っている最中。だから、しっかり軸足に力をためてスイングしていたんです」

 新人ながらファームで97試合に出場(8月17日時点)し、77安打で打率は.233。「率は.240台に乗せたい」という背番号53は「一軍に上がることより、まず自分のレベルを上げること」と地に足をつけて1年目を過ごす。

 センター中心に打ち返す巧みな打撃に、50メートル走5秒9の俊足も併せ持ち、将来の二塁候補の期待を寄せられる男は、しっかりと自分と向き合いながら成長を期している。

文=鶴田成秀 写真=BBM

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