今年もまた、ドラフト会議が近付いてきた。1965年秋からスタートし、今年で56回目。制度をさまざまに変えながら歴史を紡いできた。ここでは2019年のドラフト会議まで、1年ごとに振り返っていく。 名球会入り野手も多数
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東都でしのぎを削った今岡(左)、井口はそれぞれ逆指名で阪神、ダイエーへ
のちにプロ野球を支える名選手が多く出たドラフト年だ。1996年のドラフトの目玉はアトランタ五輪で活躍をした銀メダリストたちであった。
その筆頭は現
ロッテ監督の
井口資仁(当時忠仁=青学大)。東都大学リーグ新記録となる24本塁打を放った井口は、逆指名の1位でダイエーに入団。2位では、のちに平成唯一の三冠王に輝いた
松中信彦(新日鉄君津)が指名され、ともにチームの軸へと成長した。
同じく五輪選手としては、井口のライバルでもある東洋大の
今岡誠(現真訪)が阪神を逆指名し1位入団。同じく逆指名で横浜の1位には日本石油の
川村丈夫。東海大の
森中聖雄は横浜の2位、日本石油の
小野仁も
巨人に2位で入団した。
そのほかの五輪選手としては、三菱自動車岡崎の
谷佳知が
オリックスに2位指名を受けた。早大の
三沢興一は巨人が3位指名。五輪の正捕手として活躍した日本石油の
大久保秀昭が近鉄から6位指名を受けた。
五輪選手以外にも、チームの顔になる選手たちが指名されている。
広島2位で指名されたのは専大の
黒田博樹。プロ入り後は持ち前の負けん気で広島のエースとなった。その後は
ヤンキースなどでも活躍。広島復帰後は広島の25年ぶりのリーグ優勝に貢献するなど日米通算203勝をマークした。
【1996年ドラフト12球団1位】
阪神 今岡誠(東洋大/内野手)
ダイエー 井口忠仁(青学大/内野手)
横浜 川村丈夫(日本石油/投手)
ロッテ
清水将海(青学大/捕手)
ヤクルト 伊藤彰(山梨学院大付高/投手)
近鉄
前川克彦(PL学園高/投手)
広島
澤崎俊和(青学大/投手)
西武 玉野宏昌(神戸弘陵高/内野手)
中日 小山伸一郎(明野高/投手)
日本ハム 矢野諭(帝京五高/投手)
巨人
入来祐作(本田技研/投手)
オリックス
杉本友(筑波大/投手)
打者では、日本ハムに3位入団したNTT関東・
小笠原道大、西武4位の神戸製鋼・
和田一浩がいずれも2000安打を達成している。そのほか中日1位の小山伸一郎(明野高)、近鉄2位の
大塚晶文(日本通運)、西武2位の
森慎二(新日鉄君津)など中継ぎやクローザーで活躍した投手たちも多く入団した。異色では、巨人4位の
鈴木尚広(相馬高)。努力で足のスペシャリストとして存在感を発揮し、巨人で2度のリーグ3連覇にも大きく貢献した。
この年は抽選ゼロの無風ドラフトながら、多くの名選手を輩出した。
写真=BBM