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冷静と情熱の野球人 大島康徳の負くっか魂!!

大島康徳コラム「2年目、3年目の選手こそルーキーに負けないアピールを」

 

ブルペンで投球練習する佐々木朗希[ロッテ]。早く実戦で「モノが違う」というところを披露してもらいたいものです


間が取れだした根尾


 キャンプも後半に入りました。僕も今年は、例年と違って、テレビの映像や新聞を通してのチェックになっていますが、こうしてみると、詳しく情報が出てくるのが、今年で言えば楽天に戻った田中将大を中心に、阪神佐藤輝明や楽天の早川隆久などルーキーばかりだな、という感じがします。チームのリポートをするマスコミの目が新しいものに行くのは仕方のないことではあるんですが、そういう状況だと、余計に「プロ入り2年目、3年目あたりの選手はどうしているんだろうな」というのが気になってきますね。

 このあたりの選手で、今年目立っているのが、中日の根尾(根尾昂)です。対外試合でもヒットが出ていますね。映像を見る限りでは、フォームが目に見えて変わったという感じではないので、ピッチャーとの間の取り方がよくなってきた、ということでしょう。この2年間、アマチュア時代のやり方のままではプロのピッチャーの厳しい攻めに対応できなかった。そこで始動のタイミングを早めに変えたりする中、では逆に早過ぎたときにはどう体重を残しながら打ちにいくのか、みたいなところを勉強しながら、だんだんと対応できるピッチャーが増えてきたのではないでしょうか。とにかく結果が出ているということは、自信につながると思います。

 今年は立浪(立浪和義)臨時コーチの指導も受けていますし、何かヒントがあったのかもしれません。コーチが教えることというのは、内容自体は人によってそんなに違わないはずですが、言葉の違い、伝え方の違いで、ポン、と心の中に入ってきてきっかけになることもあります。左打者には左打者独特の感性もありますから、何か受け入れやすい部分があったのではないでしょうか。

「ショート一本で勝負」と言っているようですが、それもいいことです。それぐらいの気構えがないと、ほかのポジションだって手に入りません。僕も、内野から外野に回されるとき、「俺は内野のグラブでしか守りません」と意地を張ったことがありましたから、気持ちはよく分かります。とにかく今年の根尾は楽しみですね。

 入って2年目、3年目の選手というのは、一昨年や昨年のキャンプでは、今年の新人選手同様に、マスコミの注目を浴びていたはずです。それが、今年はそういう目も離れて過ごせることになった。でも、それで「これで自分のペースで伸び伸びやれる」というところに安住してしまってはダメなわけでね。2年目であろうが3年目であろうが、「ルーキーじゃなくて、俺に注目してくれ」という部分を出していかなければいけない。「コイツ、今年はヤルな」というものを見せて、今、爆発的に目立っておかないと、なかなか定位置は手にできませんよ。ここでぬるま湯につかってしまうと、そこからまた立ち上がってくるのに何年もかかってしまう可能性があります。

早く実戦で見たい佐々木朗


 そういう意味では今年2年目の奥川(奥川恭伸ヤクルト)や佐々木朗希(ロッテ)も気になります。奥川はまだ、ブルペンで投げてどうだった、という話が時々入ってきますが、佐々木のほうは、ほとんど詳しい話が伝わってきませんしね。

 佐々木朗は3月には実戦で投げるという話も出てきていますが、早く見たいですよね。もちろん、ピッチングコーチ以下、綿密にプランを練っているのでしょうが、「やっぱりモノが違うな」というのを、早く感じたいじゃないですか。僕なんかは、昨年のキャンプのブルペンで、彼の指に掛かったときのボールのすごさを見ていますから、余計にそう思ってしまいます。昨年は確かに線も細かったし、大事に、という部分があったのは分かります。でももう、1年間の体力強化、われわれが言うところの“陸上部”はやったわけでしょう。「まだ体ができていないから」というのは、もうないんじゃないですか。本来だったら、彼だって、「3月に投げます」じゃなくて、今年のルーキー選手と張り合って、対外試合の最初から投げるぐらいになっていなければいけないところでしょう。

 まあ、われわれが外部からあれこれ言う筋合いのものではないんでしょうけれども、周りももうちょっと尻をたたいてやってもいいんじゃないかという気もします。あまり「大事にしなきゃ」とばかり言っていたら、1年が2年になり……で、気がついたら「そんな年数になっていたの!?」ということにもなりかねません。僕はそういう選手も何人も見てきましたから。佐々木朗には期待が高いだけに、早くお披露目してほしい。そこで、開幕は無理でも、「夏場ぐらいから出てくるんじゃないの」というものを、ぜひ見せてほしいですね。

 そして、もう一人気になるのが、広島の小園(小園海斗)です。あれだけの身体能力と体の強さ、ふてぶてしさがありながら、一軍キャンプスタートのメンバーから漏れてしまった。「何でそうなったんだろう」ということは、ここで小園自身も考える必要がありますし、またチームのほうも、きっとやっているとは思いますけれども、明確に本人に伝えておく必要があると思いますね。そうしないと「何で自分がファームなの?」と、モヤモヤしたままでは絶対に伸びてきませんからね。

 今年は選手たちもいろいろな制約がある中でのキャンプで大変だと思いますが、折り返し点を過ぎても、このコロナ禍の中で新規陽性者を出さずにキャンプを進められているのはお見事だと思います。各チームの若手選手には、窮屈さをグラウンドで吹き飛ばすくらいのアピールを見せてもらいたい。一度注目された選手が、何年かでポシャってしまったのでは、やはり寂しいですからね。

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