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衝撃のROOKIES 新風を吹き込む男たち

12球団最新ルーキー事情 虎視眈々とNEXTブレークを狙う男たち【セ・リーグ編】

 

今回は球団別に新人の現在地をチェックしていこう。スタートは目立たなくても、まだまだ序盤戦だ。次なるブレーク候補たちが虎視眈々、“その時”をにらむ。
※情報は4月4日現在、支配下ルーキー一覧は現時点の支配下のみ

巨人・緊急事態で秋広昇格も一軍出場選手はゼロ



 3年連続で新人の開幕一軍はゼロ(2019年は2カード目の3戦目に高橋優貴が先発でローテーション入り)。これが何を意味するか。層の厚さか、はたまた即戦力を期待した選手の力不足か。いずれにしろ、オープン戦では先発ローテを争った1位の平内龍太は二軍で開幕を迎え、菅野智之の登録抹消による代役はアキレスけん断裂により605日ぶりの一軍マウンドとなった13年目の野上亮磨だった。平内は現状、七番手にも入っていない評価というわけだが、3月30日には二軍戦で公式戦初勝利。一軍では井納翔一の二軍降格も決まり、ローテ再編は必至の状況。ドライチ右腕にもチャンスが巡ってきそう。

 一方、プレシーズンの活躍で話題をさらった200cmの高卒新人・秋広優人も開幕は二軍で迎えた。阿部慎之助二軍監督に指導を受け、クリーンアップを任されており、ここまで2本塁打と徐々に思い切りの良さを取り戻している。今は試合に出続けることが重要で、ベンチ要員ならば二軍にいたほうがいいというのが球団の方針。ただ、4月4日にコロナ陽性で9人が入れ替わる緊急事態が起こり、急きょ一軍昇格。デビューが期待される。

巨人の支配下ルーキー


(1)平内龍太 投/右右 亜大 23歳 二軍で先発ローテ入り E試2勝1敗0S0防0.00
(2)山崎伊織 投/右左 東海大 23歳 TJ手術からのリハビリ過程 ―
(3)中山礼都 内/右左 中京大中京高 19歳 左肋骨骨折で故障班入り ―
(4)伊藤優輔 投/右右 三菱パワー 24歳 二軍で先発調整中 ―
(5)秋広優人 内/右左 二松学舎大付高 19歳 4月4日に一軍昇格 E試11安9本2点4盗1率.188
(6)山本一輝 投/左左 中京大 23歳 三軍で調整中 ―
(7)萩原哲  捕/右左 創価大 23歳 二軍で出場争い E試4安1本0点1盗0率.111

阪神・4人が開幕一軍入り、二軍で高卒・高寺が好評



 新人8人中4人が開幕一軍入りを果たした。ドラフト2位の伊藤将司が先発五番手で好投。同8位の石井大智は精彩を欠いているが、残りの4人は二軍で奮闘し、早い段階での一軍入りを目指している。同3位の佐藤蓮は、春季キャンプを一軍で過ごした。188cm101kgと恵まれた体格から150キロを超す真っすぐが持ち味も、一軍キャンプでは制球力に課題が出て、二軍で開幕を迎えた。3月21日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)に二番手で登板し1回1失点もキレのある球を披露している。

 二軍で最初に1勝を挙げたのが5位の村上頌樹。ドラフト前のケガで出遅れていたものの制球力には定評がある。4月1日のオリックス戦(鳴尾浜)の7回に登板し1回無安打。その裏に打線が逆転し、初勝利が舞い込んだ。早い段階で一軍入りを目指している。

 今年のルーキーで唯一の高卒で7位の高寺望夢は、先発で出場し活躍を見せている。4月1日のオリックス戦では3安打を放つなど打率.318と育成の段階を確実に昇っている。4位の榮枝裕貴は強肩捕手として期待されているが、右肋骨の疲労骨折でリハビリ中だ。

阪神の支配下ルーキー


(1)佐藤輝明 内/右左 近大 22歳 開幕スタメン六番・右翼 試9安4本2点4盗1率.129
(2)伊藤将司 投/左左 JR東日本 25歳 開幕先発ローテ入り五番手 試1勝0敗0S0H0防3.60
(3)佐藤蓮  投/右右 上武大 23歳 二軍で中継ぎ登板 W試3勝0敗0S0防3.00
(4)榮枝裕貴 捕/右右 立命大 23歳 疲労骨折でリハビリ中 W試2安0本0点0盗0率.000
(5)村上頌樹 投/右左 東洋大 23歳 二軍で中継ぎ登板 W試1勝1敗0S0防0.00
(6)中野拓夢 内/右左 三菱自動車岡崎 25歳 一軍の代打の切り札&守備固め 試7安4本0点0盗0率.500
(7)高寺望夢 内/右左 上田西高 19歳 二軍・三塁でレギュラー W試7安7本0点3盗1率.318
(8)石井大智 投/右右 四国IL・高知 24歳 開幕一軍中継ぎ要員 試2勝0敗0S0H0防16.20

中日・開幕5日後に支配下の出世ルーキー


近藤廉[202時代]


 残念ながら開幕一軍入りを果たしたルーキーはゼロ。可能性があったのは春季キャンプから唯一、一軍に参加していたドラフト6位の社会人ルーキー三好大倫だったが、最後に息切れとなった。日体大からドラフト2位で入団した森博人も即戦力として期待されていたが、開幕は二軍スタート。すでに3試合に登板し、今後の活躍によっては一軍昇格もありそうだ。

 注目のドライチルーキー高橋宏斗も二軍でプロデビュー。3月27日の阪神戦(ナゴヤ)では1回も持たずに4安打3失点のホロ苦いマウンドとなり、2度目の登板となった4月3日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)も2回3安打2失点だった。ドラフト4位の福島章太、5位の加藤翼は高卒投手。登板機会は少し先になりそうだ。3位の土田龍空は開幕からショートのポジションで躍動している。打撃向上がカギとなりそう。

 特筆すべきは育成1位のサウスポー・近藤廉。対外試合での好投が続き、開幕からわずか5日後にして支配下登録を勝ち取った。もしかすると今年のルーキー一軍一番乗りは、この近藤になるかもしれない。

中日の支配下ルーキー


(1)高橋宏斗 投/右右 中京大中京高 19歳 2試合登板もいずれも失点 W試2勝0敗0S0防16.88
(2)森博人  投/右右 日体大 23歳 調整遅れで早期一軍目指す W試3勝0敗1S0防12.00
(3)土田龍空 内/右左 近江高 19歳 九番・遊撃でアピール W試10安5本0点1盗0率.200
(4)福島章太 投/左左 倉敷工高 19歳 ファームで育成中 ―
(5)加藤翼  投/右右 帝京大可児高 19歳 ファームで育成中 ―
(6)三好大倫 外/左左 JFE西日本 24歳 18打席目で初安打 W試8安3本1点1盗0率.125
育(1)近藤廉 投/左左 札幌学院大 23歳 好調持続で支配下登録なる W試4勝0敗0S2防0.00

DeNA・3人が一軍デビュー、高卒は二軍で育成中



 大卒・社会人のルーキ―は一軍で実力を見極め、高卒はファームで技術を磨くというチーム方針に沿った起用となっている。

 育成を含めて新入団選手8人の中で、キャンプから一軍に帯同したドラフト1位・入江大生と同5位・池谷蒼大の投手2人、同2位・内野手、牧秀悟がそのまま開幕一軍入り。牧は三番・一塁で開幕スタメン出場を勝ち取り、初安打&初本塁打も経験した。一軍の3人はいずれもプロデビューを飾った。

 残り5人はファームで過ごしている。ドラフト4位・小深田大地はイースタンの試合で三塁、一塁で積極的に起用され、経験を積む。将来のクリーンアップ候補に期待されるスラッガーも打率.125(4月5日時点)と苦しんでいるが、プロのスピードに慣れていけば数字は上がってくるだろう。育成1位の左腕・石川達也も公式戦のマウンドに上がった。大学時代のケガのため育成での契約となっているが、早期の支配下登録があるかもしれない。ドラフト3位・松本隆之介、同6位・高田琢登、育成2位・加藤大の高卒投手トリオは、体づくりに時間を割いており、実戦登板はまだない。

DeNAの支配下ルーキー


(1)入江大生  投/右右 明大 23歳 一軍で先発ローテ 試1勝0敗1S0H0防9.00
(2)牧秀悟   内/右右 中大 23歳 一軍で三番に定着 試9安15本1点10盗0率.405
(3)松本隆之介 投/左左 横浜高 19歳 二軍で育成中 ―
(4)小深田大地 内/右左 履正社高 18歳 二軍でレギュラー E試9安4本0点2盗0率.125
(5)池谷蒼大  投/左左 ヤマハ 22歳 中継ぎで開幕一軍入り 試3勝0敗0S0H0防0.00
(6)高田琢登  投/左左 静岡商高 19歳 二軍で育成中 ―

広島・4人が開幕一軍 投手は勝ちパターン投入



 投手が3人、野手が1人と、計4人が開幕一軍をゲット。近年になく多人数のルーキーが開幕から存在感を見せている。ドラフト1位の栗林良吏、2位の森浦大輔、3位の大道温貴は、いずれもリリーフで起用され、好投を続けている。中でも栗林はルーキーながらクローザーに指名され、リーグトップに並ぶセーブ数。森浦、大道も「勝ちパターン継投」の中で起用されており、すでに広島の勝ちパターン継投の中心はルーキー勢になっていると言っても過言ではない活躍だ。

 野手では矢野雅哉が開幕一軍。遠投130メートルの強肩が武器の内野手だが、守備固めや代走で起用され、4月2日のDeNA戦(横浜)では、満塁のピンチにサードライナーをダイビングキャッチしてチームを救っている。

 高卒選手のドラフト4位・小林樹斗、また、ドラフト5位の行木俊は、四国ILからの入団だが素材型の選手ということでファームへ。特に投手はまずは体づくりというチーム方針もあり、まだゲームでの登板はない。投手は夏場の実戦デビューがチームの基本方針だが、小林はキャンプから評判がよく、実戦デビューが楽しみだ。

広島の支配下ルーキー


(1)栗林良吏 投/右右 トヨタ自動車 25歳 クローザーとなり好投 試5勝0敗0S3H0防0.00
(2)森浦大輔 投/左左 天理大 23歳 勝ちパターンの中継ぎに 試4勝0敗0S0H3防0.00
(3)大道温貴 投/右右 八戸学院大 22歳 プロ初登板でホールド 試3勝0敗0S0H1防0.00
(4)小林樹斗 投/右右 智弁和歌山高 18歳 ファームで育成中 W試1勝0敗0S0防0.00
(5)行木俊  投/右右 四国IL/徳島 20歳 ファームで育成中 W試1勝0敗0S0防0.00
(6)矢野雅哉 内/右左 亜大 23歳 一軍で内野の守備固め 試7安0本0点0盗0率.―

ヤクルト・東北福祉大コンビが一軍デビュー済み



 東北福祉大出身コンビが、そろって一軍デビューを果たしている。元山飛優は、3月27日の阪神戦(神宮)でプロ初本塁打も放ち、攻守で見せ場を作った。山野太一は、4月1日のDeNA戦(横浜)でプロ初登板初先発。初回は2者連続三振と上々のスタートを切ったかに思われたが、中堅、左翼へ不運な当たりが続き、初回に2点を失った。2回は制球が定まらず、3つの四死球で一死満塁のピンチを招くと連続適時打を浴び、計7失点。1回1/3で降板となった。「自分のボールをうまく扱うことができなかった」と肩を落としたが、この反省は、次回登板に生かすと誓っている。

 俊足の並木秀尊は、4月4日の巨人戦(東京ドーム)に代走で出場。足のスペシャリストを目指していく。

 慶大からドライチで入団した木澤尚文は、ファームで調整中。最速155キロを誇る直球は抜群の威力を誇るが、変化球のコントロールに課題を残す。3月31日のイースタン・日本ハム戦(鎌ケ谷)は5回4失点と、合格ラインには至らなかった。

 内山壮真はファームで四番に座ることも。打率は2割台だが、持ち味の打撃に磨きをかけている。

ヤクルトの支配下ルーキー


(1)木澤尚文  投/右右 慶大 23歳 二軍で課題と向き合う E試2勝0敗1S0防5.14
(2)山野太一  投/左左 東北福祉大 22歳 一軍で先発デビュー済み 試1勝0敗0S0H0防47.25
(3)内山壮真  捕/右右 星稜高 19歳 二軍で四番も務める19歳 E試8安5本1点1盗0率.227
(4)元山飛優  内/右左 東北福祉大 23歳 開幕一軍入りし本塁打も 試6安2本1点2盗0率.182
(5)並木秀尊  外/右右 獨協大 22歳 一軍で足を生かす 試1安0本0点0盗0率.―
(6)嘉手苅浩太 投/右右 日本航空石川高 19歳 二軍で体づくり ―

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