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衝撃のROOKIES 新風を吹き込む男たち

12球団最新ルーキー事情 虎視眈々とNEXTブレークを狙う男たち【パ・リーグ編】

 

今回は球団別に新人の現在地をチェックしていこう。スタートは目立たなくても、まだまだ序盤戦だ。次なるブレーク候補たちが虎視眈々、“その時”をにらむ。
※情報は4月4日現在、支配下ルーキー一覧は現時点の支配下のみ

ソフトバンク・二軍戦デビューの2人に漂う大物感



 支配下5選手は全員、高卒入団。チームとしても即戦力とはとらえていない。数年後を見据えてじっくりと育成していく方針だ。日本一4連覇中ながら、目指すのはさらなる高み。藤本博史二軍監督は彼らを「10連覇を目指すなら、この選手たちが中心になってくれないと困る」と位置付けている。

 新人合同自主トレで左足親指を骨折した笹川吉康(ドラフト2位)は現在もリハビリ中だが、経過は順調。治り次第、ほかの選手と同様に、まずは三軍をメーンに実戦経験を積んでいくことになる。今春キャンプでA組(一軍)練習を1日体験したドラフト1位の井上朋也と同3位の牧原巧汰は、すでに二軍戦デビューも。ともに初打席で初安打を放ち、井上は初打点も記録。牧原巧は教育リーグの試合で調整中だった千賀滉大とバッテリーを組み、ワンバウンドのフォークにもしっかりと対応するなど、それぞれ“大物感”を漂わせる上々のスタートだと言えるだろう。

 今後も焦る必要はないが、ファームで結果を残すことができれば、シーズン終盤、2019年の野村大樹のように高卒1年目にして一軍デビューの可能性は十分にある。大きな一歩を踏み出せる選手は現れるか。成長が楽しみだ。

ソフトバンクの支配下ルーキー


(1)井上朋也  内/右右 花咲徳栄高 18歳 二軍で初打席初安打初打点 W試3安2本0点1盗0率.500
(2)笹川吉康  外/左左 横浜商高 19歳 リハビリ中。打撃練習再開 -
(3)牧原巧汰  捕/右左 日大藤沢高 19歳 二軍で初打席初安打 W試1安1本0点0盗0率1.000
(4)川原田純平 内/右右 青森山田高 19歳 三軍で調整中 -
(5)田上奏大  投/右左 履正社高 19歳 三軍で調整中 -

ロッテ・即戦力の期待に応え働き場を得た大卒組



 3人の大卒新人のうち、先発ローテ入りした鈴木昭汰、救援で登板を重ねる河村説人の2人が開幕一軍入り。特にキャンプ、オープン戦で評価を上げたのが河村で、オープン戦で6試合連続無失点と好投を続けて働き場を得た。初登板となったソフトバンクとの開幕戦(PayPayドーム)では甲斐拓也に一発を浴びるも、その後は2試合で無失点投球。192cmの長身を生かした角度のある直球と、大きく割れるカーブ、落差のあるフォークを武器に、早くも登板を重ねている。大卒野手では遊撃手の小川龍成が堅守巧打を披露して開幕が濃厚だったが、開幕直前の巨人とのオープン戦(東京ドーム)で、走塁時に右ヒザを痛め現在はリハビリ中。すでに実力を証明済みだけに、実戦復帰後は一軍昇格の可能性は十分にあるだろう。

 一方の18歳右腕の中森俊介は、まずは体づくりからスタート。ファームでの登板は、まだ先になるだろう。ただ、外野手・西川僚祐は一軍オープン戦でベンチ入りさせ、イースタンでもすでに3試合に出場。安打こそ出ていないが、キャンプのフリー打撃で大飛球を連発し、井口資仁監督も視察に訪れるなど素材は確か。実戦経験を積み、飛躍を期している。

ロッテの支配下ルーキー


(1)鈴木昭汰 投/左左 法大 23歳 一軍で先発ローテ入り 試2勝0敗0S0H0防1.50
(2)中森俊介 投/右左 明石商高 19歳 二軍で体づくり ―
(3)小川龍成 内/右左 国学院大 23歳 右ヒザを痛めて離脱中 ―
(4)河村説人 投/右右 星槎道都大 24歳 一軍で僅差の場面で救援登板 試3勝0敗0S0H0防3.00
(5)西川僚祐 外/右右 東海大相模高 19歳 二軍で代打などで出場中 E試3安0本0点0盗0率.000

西武・ドライチの巨漢大砲がデビュー戦で本塁打



 西武の新人では若林楽人、ブランドンが開幕一軍入りを果たした。一軍で戦力として機能していたが4月3日、ブランドンは熱中症のため登録抹消に。ドラフト1位の渡部健人は、二軍でクリーンアップに座って真価を発揮。四番・三塁でスタメン出場した4月1日の楽天戦(森林どり泉)では2打席連続本塁打。4本塁打、11打点はそれぞれリーグ1位、同2位と好結果を残していたが、外崎修汰の左腓骨骨折により4日に一軍に緊急昇格した。同日のソフトバンク戦(PayPayドーム)に七番・DHで出場し、6回に1号2ランを放つなどいきなり活躍。今後にさらなる期待がかかる。二軍では高卒新人の3位・山村崇嘉が開幕から一番・遊撃を中心に出場。打率.116と数字は上がらないが時にシュアな打撃を見せている。同じく高卒では6位の仲三河優太が4月1日の楽天戦(同)で3安打猛打賞をマークした。

 投手では5位の大曲錬が光る。大学では準硬式でプレーした右腕は、リリーフとして5試合に登板して6イニングを無失点。150キロに迫るストレートには威力があり、スプリットのキレ味も抜群だ。一軍で、背番号59の姿を見られる日は近いかもしれない。

西武の支配下ルーキー


(1)渡部健人  内/右右 桐蔭横浜大 23歳 4月4日にプロ初本塁打 試1安1本1点2盗0率.250
(2)佐々木健  投/左左 NTT東日本 25歳 3月20日の二軍戦で2回1失点 E試1勝0敗0S0防4.50
(3)山村崇嘉  内/右左 東海大相模高 19歳 二軍で一番・遊撃を務める E試10安5本0点4盗0率.116
(4)若林楽人  外/右右 駒大 23歳 攻守、快足でチームに貢献 試6安1本0点2盗4率.143
(5)大曲錬   投/右右 福岡大 23歳 二軍で救援。リーグ最多登板 E試5勝0敗0S1防0.00
(6)ブランドン 内/右右 東農大北海道オホーツク 23歳 プロ初HRも熱中症で二軍へ 試5安2本1点4盗0率
(7)仲三河優太 外/右左 大阪桐蔭高 19歳 4月1日の二軍戦で猛打賞 E試8安5本0点2盗0率.250

楽天・即戦力3投手は二軍でスタンバイ



 開幕3戦目にプロ初勝利を挙げた1位の早川隆久以外は二軍スタートとなった。3月27日に田中将大福山博之が登録抹消となると、翌28日に4位の内間拓馬がブルペン要員として出場選手登録された。しかし登板機会がないまま4月3日に抹消されると、その日のイースタン、巨人戦(森林どり泉)に登板。ここまで3試合で1セーブをマークしている。2月の練習試合で150キロ超の速球を連発し、小山伸一郎コーチに「(ブルペン投球に)だまされた」と言わせた実戦派。アピールを続けながら再昇格の機会をうかがう。

 2位の高田孝一はこれまで二軍公式戦2試合に先発して2連敗。ただ、5回2失点、6回途中1失点と試合をつくっている。現在、一軍の先発ローテでは6枚目が流動的であり、デビューは遠くなさそう。3位の左腕・藤井聖は二番手として3回無失点、先発として5回2失点とまずまずの投球を見せている。こちらも高田孝と同様に先発候補であり、ロングリリーフにも期待できそうだ。

 そして高卒の2選手、5位の内野手・入江大樹、6位の右腕・内星龍はいずれもスケールが大きいタイプ。ファームでじっくり育成する。

楽天の支配下ルーキー


(1)早川隆久 投/左左 早大 23歳 開幕先発ローテ入り初勝利 試2勝1敗1S0H0防3.00
(2)高田孝一 投/右右 法大 23歳 先発要員として二軍調整中 E試2勝0敗2S0防0.84
(3)藤井聖  投/左左 ENEOS 25歳 先発要員として二軍調整中 E試2勝0敗0S0防1.13
(4)内間拓馬 投/右右 亜大 23歳 中継ぎ要員として二軍調整中 E試3勝0敗0S1防3.86
(5)入江大樹 内/右右 仙台育英高 19歳 左肩を手術してリハビリ中 ─
(6)内星龍  投/右左 履正社高 19歳 二軍ですでに実戦初登板 E試1勝0敗0S0防0.00

日本ハム・伊藤以外は二軍で調整中も細川が躍動



 春季キャンプは伊藤大海五十幡亮汰古川裕大今川優馬の即戦力候補4選手が一軍スタートを切ったが、開幕一軍メンバー入りを果たしたルーキーはゼロ。開幕2カード目の西武戦での先発が決まっていた伊藤を除いては、悔しい船出となった。

 伊藤以外は二軍で調整の日々が続いている。キャンプで左太もも裏を負傷した五十幡は復帰し、イースタンの試合に出場。一軍捕手陣を脅かしたい古川だが、持ち前の強打を発揮できず二軍でも結果を残せていない。一軍のオープン戦で適時打を放つなどチャンスをつかみかけていた今川も開幕一軍から漏れたが、イースタン開幕の西武戦(鎌ケ谷)で、いきなりプロ初本塁打のデビューを飾り、4月4日のDeNA戦(鎌ケ谷)で2号本塁打を放った。ムラのない打撃が課題だ。

 二軍キャンプで「一番目立っていた」と原田豊二軍監督から好評価を得て勢いに乗るのはドラフト4位の細川凌平。イースタン・リーグの公式戦でも主に一番を任され、俊足巧打で持ち味を発揮している。

 投手では、育成1位の大型右腕・松本遼大が3月30日のヤクルト戦(鎌ケ谷)で9回から公式戦デビュー、初セーブをマークした。

日本ハムの支配下ルーキー


(1)伊藤大海  投/右左 苫小牧駒大 24歳 一軍先発ローテ入りで好投 試1勝0敗0S0H0防1.50
(2)五十幡亮汰 外/右左 中大 23歳 二軍の3試合で一番起用 E試4安4本0点0盗0率.500
(3)古川裕大  捕/右左 上武大 23歳 二軍で調整中 E試9安3本0点2盗1率.167
(4)細川凌平  内/右左 智弁和歌山高 19歳 二軍で主に一番打つ E試9安9本0点2盗2率.265
(5)根本悠楓  投/左左 苫小牧中央高 18歳 二軍で育成中 E試1勝0敗0S0防0.00
(6)今川優馬  外/右右 JFE東日本 24歳 二軍開幕戦で本塁打 E試9安7本2点2盗1率.233

オリックス・今年も“下克上ルーキー”現る!



 育成方針の指名で上位3人は高校生とあって、元謙太来田涼斗の野手2人はファームで連日スタメンに名を連ねている。それも、来田が四番、元が三、四番とクリーンアップを形成し打点を稼ぐなど、経験を積みつつ結果も残している。即戦力として期待された大卒組は、アンダーハンドの中川颯が開幕一軍入りを果たすも、登板がないままファームへ。緩急自在の技巧派は、ブルペンにいない存在だけに、経験を積んだ後、一軍再昇格する可能性は十分。マウンド度胸ある29歳のオールドルーキー・阿部翔太も、救援右腕としてシーズン中盤以降に一軍戦力となる可能性は高い。

 そんな中、一軍戦力となっているのが育成入団の佐野如一だ。阪神とのオープン戦(京セラドーム)で、右へ左へ広角に3安打を打ち分けアピールし、開幕直前の3月15日に支配下登録。一軍スタートを勝ち取り、スタメン起用に守備固め、代打、代走と出場機会を得て、思い切りのいいスイングで期待を抱かせている。これまでも山本由伸中川圭太ら下位指名から飛躍を遂げており“下克上ルーキー”は球団の1つの特徴。今季も早くも“成り上がり”の新人が現れている。

オリックスの支配下ルーキー


(1)山下舜平大 投/右右 福岡大大濠高 19歳 社会人との練習試合で実戦初登板 ─
(2)元謙太   外/右右 中京高 19歳 二軍で三、五番に座る W試10安5本0点5盗0率.132
(3)来田涼斗  外/右左 明石商高 19歳 二軍で四番に座る W試10安9本0点4盗2率.231
(4)中川颯   投/右左 立大 23歳 開幕一軍も登板なく二軍へ W試1勝0敗1S0防0.00
(5)中川拓真  捕/右右 豊橋中央高 19歳 二軍で途中出場で経験積む W試1安1本0点0盗0率1.000
(6)阿部翔太  投/右左 日本生命 29歳 二軍で救援登板 W試2勝0敗0S0防4.50
(7)佐野如一  外/右左 仙台大 23歳 開幕直前に支配下登録で一軍戦力に 試6安0本0点0盗0率.000

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