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輝け!ファームの星

ソフトバンク・大関友久 すべてにこだわって「やっている以上は、すべて極めたい」

 

一軍に負けじとファームも熱い!将来が楽しみなスター候補を発掘する好評企画が、今年もスタート。インタビューでは選手の素顔にも迫っていく。第1回は、12球団屈指の“育成王国”で今、もっとも支配下に近いと注目を集める左腕だ。オープン戦での一軍経験をしっかりと糧としている。
取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭

投手/育成2年目/24歳


オープン戦で見せた奪三振アピールに、打ち込まれた試合。5試合での経験から、たくさんのことを学んだ。育成ながらも、支配下に負けない確かな成長を予感させる左腕から目が離せない。



──2年目を迎えるにあたっては、どんなテーマを掲げていますか。

大関 1年目の昨季は、秋に紅白戦でしたが一軍にも呼んでもらえて、プロの世界に慣れることはできました。だからこそ、今年は自分の投げたいように投げられるように。能力を上げることに、よりこだわっていきたいです。

──投げたいように投げるとは?

大関 究極の理想を言ってしまうと、真っすぐでも、変化球でも、空振りが取れる。コントロール、スピード、変化球……すべての面でバランス良く、ですね。オープン戦では打ち込まれた試合もあったことで、課題が一つはっきりした。今後に向けて、どうしていこうかというところで、今は変化球に取り組んでいます。

──今投げている変化球は、カーブ、スライダー、チェンジアップ……。

大関 あとフォークですね。今春から投げ始めました。

──投げるようになったきっかけは?

大関 キャンプに入った段階で、真っすぐに関してはスピードもコントロールもある程度安定していました。球速はプロ入り前より6キロぐらい速くなって、最速は152キロ、常時140キロ後半は出せるように。完全に満足しているわけではありませんが、自分が思うように投げられていたので、課題を変化球に移したんです。そのときに、自分の中で自信を持ってストライクに投げ込めるボールがなかった。真っすぐに近い感覚で、というところで、挟んで投げてみたら意外と投げられて。落とすというよりかは、少しタイミングをズラしたり。真っすぐを投げるのがコワいと感じるときに投げられるボール。そういう意味では、スプリットに近いかもしれません。

──手応えはどうですか。

大関 だいぶいい感覚はありますね。決め球にもなるんですけど、どちらかと言えばカウント球。フォークを覚えたことで、(打者が)真っすぐを待っている状況下でもかわせるようになりました。

失敗から学ぶ


──オープン戦ではどんな思いを持ってマウンドに上がっていたのでしょうか。

大関 いろいろと考えてしまうタイプで、それで自滅してしまうことが大学時代から多かったので、「とにかく考えるな」「自分の感覚を信じろ」と。打者を抑えることに集中しました。それがうまくハマったときもあったし、まだまだだなと感じたときも。でも昨季は、二軍戦でも恐る恐る投げている感覚があった中で、意外に自分が思ったように投げられたんですよね。そこは成長しているのかなと。

──ほかにも一軍を経験した上での学びがあれば教えてください。

大関 自分と戦っているうちは勝負できる世界ではないなと思いました。マウンド上で考えるべきは、自分ではなく相手。打たれた試合を振り返ったときに、それができていませんでした。ベンチに戻ってきて「もっと闘志をみなぎらせないと」「もっと魂込めないと」と。相手と勝負しているんだから、そりゃあ自分の投げたいボールだけ投げていても打たれるよなと感じましたね。

──大関投手の理想の投手像は?

大関 マウンドに上がったときに圧倒的な存在感を発揮できる。これからショーが始まるぞ、というか。チームからの信頼はもちろん、見ている人も魅了できるようなピッチャーになりたいですね。

──今は中継ぎ、抑えも経験していますが、将来的には?

大関 先のことは分からないというのが正直なところです。ただ、現時点ではいろいろなポジションをやってみたい。どこでも、全部やりたいです。

──こだわりはないと。

大関 いや、むしろ逆で。すべてにこだわっていきたい。どこでもやってやる、と。欲張りなんですけど(照笑)。

──普段から欲張りですか。

大関 野球に関してだけだと思います。やっている以上は、すべて極めたい。

──支配下昇格を目指したアピールが続いていきます。

大関 いつ声が掛かってもいいように、自分に自信を持って準備していくだけです。もっともっと野球選手として成長することが必要。そのために、抑えたときよりも打たれたときのほうを大事にしたいなと思います。オープン戦でも打たれてしまって悔しかったんですけど、あそこで打たれなくても、遅かれ早かれああいう結果にはなっていたはずで、あれがあったからこそ何をすべきかに気づけた。失敗から学べることがたくさんあると分かったんです。今のところ、二軍戦では失敗はしていませんが、もしそのときがきたら、成長できるチャンスだと思ってしっかりと向き合っていきます。

二軍では抑え候補[写真右]。だが、投手としてはすべてのポジションにこだわっていく


【一軍マウンドを経験して】
自分と戦っているうちはダメ

【理想の選手像】
マウンドでの圧倒的な存在感

PROFILE
大関友久/おおぜきともひさ●1997年12月14日生まれ。185cm/96kg。左投左打。茨城県出身。土浦湖北高-仙台大-ソフトバンク20育[2]。真っすぐと変化球のバランス、緩急を使って打者と勝負。ルーキーイヤーは三軍戦がメーン、二軍戦5試合。それでも、11月にはポストシーズンを控えた一軍の紅白戦に登板した。春季キャンプ後半から一軍に帯同し、オープン戦で経験を積んだ今季は、開幕前の支配下昇格は叶わずも、再びチャンスのときを待つ。

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