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カープ推し!尾関高文[THE GEESE(ザ・ギース)/お笑い芸人]「ピンチをバネに 伸びてくるのがカープ」

 

強かろうが、弱かろうが、どんなときもチームとともに赤く燃える。地元・広島出身で、小さいころからカープを身近に感じてきた。深〜いカープ愛を語り出したら、火の点いた赤ヘル打線同様に止まらない。
取材・構成=菅原梨恵 写真=BBM、本人提供


SNSでうれしいつながり


 小学校まで広島に住んでいて、広島育ちの母親がカープ好き。必然と僕もカープを好きになる環境でした。当時、父親は海外に行っていたんです。だから、テレビ観戦を通じてよく見ていた大野豊さんがお父さん、みたいな(笑)。あと当時の僕は、ウェイド・ロードンっていう助っ人外国人選手が好きでした。眼鏡をかけて真面目な、クリスチャンの選手だったんですけど、帽子に聖書の一節が書いてあったりして。実はそのロードン選手とFacebookを通じて友達になりました。今は向こうで神父さんをやっているそうです。

 SNSってすごいですよね。ほかにも、カープ初優勝のときの助っ人・シェーン選手(リッチー・シェインブラム)ともつながっていました。先月亡くなってしまったんですが、シェーンさんは毎年誕生日にメッセージを送ってくださったんですよ。僕もカープが優勝したときには報告させていただいたりして。そういうあこがれの選手と親交を持てるのは、うれしい限りです。

 昔から外国人選手に魅かれるんですよ。外国人選手ってキャラが立っている選手が多くて、見ていて面白いじゃないですか。それなのに、結果を出さないとすぐクビになってしまうという悲哀もある。背負っているものの大きさとか、それでも明るくプレーする姿とかが、個人的に好きなんですよね。

ドミニカに行ってフランスア家、カープアカデミーを訪問。


 最近ではフランスア選手。3年前ぐらいにドミニカ共和国に行かせてもらって、そのときにフランスア選手の家も行かせてもらいました。奥さん含め家族の方ともお会いして。ドミニカって子どもたちがそこら中で野球をやっていて、フランスア選手もそうやって育ってきた。その中から力のある子はメジャーのスカウトにかかるようなエリート学校に進むんですけど、フランスアはカープアカデミーに進んで、チャンスをつかんで日本へ。そこで、結果を残して成功するわけです。頑張ってきたのを知っているから、話を聞いているうちにみんな感極まって、僕も涙してしまいました。そういうはい上がってきた選手に関しては、余計に感情が入って応援したくなりますね。

 また、外国人選手の話で言うと、今のカープって“多国籍”なんです。昨年加入したスコット選手は南アフリカ共和国出身。入団前から「イケメン」で注目された右腕ですが、同国出身の選手は日本のプロ野球では初でした。今年はリトアニア共和国からネバラスカス選手が加入。こんな感じで珍しい国の出身選手がそろっているから、紅白戦とかになると世界選抜みたいな雰囲気になるそうです。

今後につながる戦力


 カープに関わる仕事などを通じて選手とも親しくさせていただくんですが、ますますカープというチームが好きになります。本当、みんなに頑張ってもらいたい。例えば、デビュー時から交流のある九里亜蓮選手は、昔から同期とかに「負けられない」という強い気持ちを持っていて、野球に対して貪欲なんですよね。シーズン中にライバルチームの投手にカーブを教えてもらいに行くことなんかもあったりして。シーズン中ですよ、シーズン中。そうやってたくさんのことを吸収して、ちょっとずつ実力を上げていって、今季は6月13日現在、チームトップの5勝。活躍が目を引いています。

 菊池涼介選手もここ数年見ていて、変わったというか。後輩たちに“教える”っていうところをすごく感じるんですよね。僕も自主トレに参加させていただいたりしているんですが、その自主トレも、自分の技術を伸ばすというところから、若手を育てるという色が濃くなっている。もちろん自分のことをやりつつなんですけど、プレーの動きの部分だけでなく、どういう気持ちでプレーしているかとか細かい部分も後輩たちに教えたりしていて。そうすることでまた、菊池選手自身も伸びている。特に今年もチームが苦しい状況にある中で、こういうときだからこそ菊池選手の力が光るなと思いますね。

護摩行や自主トレ参加も。貴重な経験を経て、もっと選手が好きになる


 僕にとっては、やっぱり2016、17、18年のリーグ3連覇は印象深いです。あのときはイケイケというか、とにかくどこにも負けない感じがありました。カープ自体が全国的なブームになりましたからね。うれしかったです。

 ただ、そこからここ数年はちょっと……。打線に関しては、ちょうど入れ替わりが起きている時期なんだと思います。幸か不幸か、今年も若手選手が出ないといけない状況になっているので、一気にブレークしてチームを引っ張ってくれる選手が出てきてくれることを期待しています。中村奨成選手や小園海斗選手、林晃汰選手、羽月隆太郎選手……と、候補はたくさん。彼らがいろいろと経験を積んで出てきてくれれば、チームはまた生まれ変わると思います。

 若手が出てくることで、刺激を受けた中堅どころも頑張ってくれたら、なおうれしいですね。堂林翔太選手は一緒に護摩行に行かせてもらったことがあったんですけど、そのときに誰よりも炎を前に向かっていく姿を見て気持ちの強さを感じました。だから、昨年だけとは言わず、今年も結果を残してほしい。みんなで切磋琢磨して、また強いカープを築いていってほしいですね。

 カープってもともと王道じゃないというか、いろいろあった中で成長してきたチーム。それこそ球団存続の危機とか、苦しい時期を乗り越えてここまでやってきました。だからこそ、いろいろな人に勇気を与えてくれる。今年も新型コロナ感染に見舞われたりと、試合以外の部分での逆境もありました。とはいえ、まだまだシーズンは半分以上あります。まずは巻き返しに期待しつつ、今後につながるいい戦力がどれだけ出てくるでしょうか。

 踏まれて強くなるというか、ピンチのあとにそこをバネに伸びてくるチームだと思うんですよね。なので、今は沈んでいても、シーズン後半からチャンスが来て来年以降につながるはず。カープファンがワクワクするシーンをたくさん見せてほしいです。

尾関的2021推しメン!ネバラスカス


広島/投手


「異国の地でひと花咲かせて!」
 1人に絞るのはなかなか難しいんですが、選ぶとしたらやっぱり外国人選手。新しく仲間入りしたネバラスカスを推したいと思います。彼の出身国であるリトアニアはバスケットが人気なんですけど、彼の場合は父親が野球の代表チームのコーチなんですよ。今回、日本でプレーすることになって、ぜひひと花咲かせてほしい。何とか頑張ってほしいと思います。ユニフォームも買いましたよ。届いた次の日に一軍でメッタ打ちにあって二軍落ちしちゃったんですけどね(苦笑)。

PROFILE
おぜき・たかふみ●1977年8月6日生まれ。広島県東広島市出身。相方の高佐一慈とともにお笑いコンビ『THE GEESE(ザ・ギース)』として活動。キングオブコント2008、2015、2018、2020 ファイナリスト。個人としては、『アメトーーク!/広島カープ芸人』(テレビ朝日系)のほか、地元・広島のテレビ番組などにも出演し、カープへの幅広い知識を披露している。

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